■虹の彼方に (Over The Rainbow)
■1939年
■作詞…エドガー・イップ・ハーバーグ
■作曲…ハロルド・アーレン
ポピュラーなL.フランク・ボームの名作童話をミュージカル風に映画化した1939年のMGM映画『オズの魔法使い』のテーマ曲が「虹の彼方に」です。主演のジュディ・ガーランドによって歌われました。
「オズの魔法使い」
作曲家のハロルド・アーレンは、ある日劇場で映画を観るため、妻と車で出かけましたが、彼はその途中でひとつのメロディと、「虹の彼方のどこかに」という言葉を思いつきました。翌日アーレンは曲をまとめあげ、作詞家のハーバーグに聴かせましたが、ハーバーグは「カンサスの小娘(当時14歳のジュディ・ガーランド)には向かない」と言ったそうです。そこでアーレンとハーバーグは、この曲をアイラ・ガーシュウィン(作曲家ジョージ・ガーシュウィンの兄で作詞家)に聴いてもらうことにしました。ガーシュウィンはこの曲を大いに気に入ったため、ハーバーグは改めて作詞に取り掛かったということです。
こうして完成した「虹の彼方に」をガーランドが歌い、撮影も無事終了しましたが、今度はMGM映画サイドが「この歌は14歳の少女が歌うにはふさわしくない」と言ってカットを命じました。しかし、この歌に惚れ込んだ共同プロデューサーのアーサー・フリードが強硬に「虹の彼方に」の使用を主張し、ようやく映画に使われることが正式に決定しました。
「虹の彼方に」は何度もボツになりかけながら、結果は大成功。この曲はアカデミー賞主題歌賞を受賞、ガーランドは特別子役賞を受けました。また、この曲はガーランドのショウのテーマ曲にもなりました。
ちなみにガーランドは、ミュージカル女優ライザ・ミネリのお母さんなんですね。
ジュディ・ガーランド
起伏に富んだ極上のメロディーを持つ曲です。夢見る少女のファンタジックな気持ちが曲の中に溶け込んでいるかのようです。中間部のメロディーは変化に乏しいようにも思われますが、その単純なメロディーの繰り返しは、後半の転調感ともあいまって徐々に盛り上がり、そして再び素晴らしいメロディが姿を現します。
エリック・クラプトン「Ballads」
近年では三菱モータースのCMに、エリック・クラプトンの歌う8分の12拍子(いわゆる3連)の「虹の彼方」が使われたので、この曲を新たに知ったという方も大勢おられるだろうと思います。また、リッチー・ブラックモア率いるレインボーのライヴのオープニングにこの曲の一節が使われていることも知られていますね。
他にはグレン・ミラー・オーケストラ、ドリス・デイ、サラ・ヴォーン、ローズマリー・クルーニー、フランク・シナトラ、モダン・ジャズ・カルテットなどの歌・演奏が有名です。よくスロー・テンポで演奏されます。今ではすっかりスタンダード・ジャズと化していますね。
【虹の彼方に】
虹の彼方のどこかに高く いつか子守唄に聞いた国がある
虹の彼方のどこかの青い空で あなたの夢が真となる
いつか私は星に祈る 目覚めると雲の上にいるようにと
そこは悩みもレモン・ドロップのようになる所
あなたが私を見いだす所
虹の彼方に青い鳥が飛ぶ
鳥は虹を越えるのに どうして私にはできないの
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