今日6月19日は父の日、それから桜桃忌。太宰治の誕生日で、心中した彼の
遺体が見つかった日。経歴だけからすると、とんでもない人ですね、太宰って。
あちこちに愛人を作って、心中未遂を繰り返し、女性だけ死なせたり、あげくの
果てに玉川上水で心中自殺。でもその作品は素晴らしく、私小説だけでなくユ
ーモアにあふれた作品もあるのだとか。恥ずかしながら「走れメロス」と「斜陽」
ぐらいしか読んだことがないんです。
桜桃とはサクランボのこと。山形産の佐藤錦を食べるたびに思い出すのは
十数年前、山形の実家へ戻った(らしい)友人のことです。すらっと背の高い
美人で、それでいて東北の人らしく素朴で働きものでした。そんな彼女、ある
時ご主人がある東南アジア系の女性と浮気をしていることを知り、悩んでいた
のですが、潔癖症もあって、そんなご主人と同じ屋根の下で息をするのもけが
らわしいと感じるようになり、(というところまでは私も知っていたのですが)
ついに子どもを二人残して家を出てしまいました。その後は実家に帰ったので
はという以外、だれに聞いても何もわからず今に至っています。どうしている
のだろうと時々考えます。私だったら、悪い旦那を追い出して、自分は家にい
続けただろうと思うのですが、とても控え目な人だったのでね。故郷に帰って
心が落ち着いたのかもしれません。今の生活やしがらみを一時に一切捨て
るなんてとても不安だと思うのですが、そういう意味で彼女は結構強い気持ち
を持った人だったのかもしれません。パウンドケーキとサクランボでお茶しなが
ら、とりとめもなくそんなことを考えている桜桃忌です。