明るくなるのが早いせいか、歳のせいか、朝とても早く目ざめます。
するとコノハズクの鳴き声、ピチピチとかわいい小鳥の声、カラスの声、
赤ちゃんの泣き声、自動車の音、バイクの音、人の声、犬の吠える声、
色々な音が。耳を傾けていると、昔読んだ小説の一部が浮かんできま
す。若い音楽家のルイスが、アルプスの丘の上で、夕暮れに語らい
ながら、「僕には1ダースよりもっとたくさんの音が聞こえるよ。静か
な夕暮だからね」という場面です。これは邦題が「永遠の処女」なん
ていう意味深な、一昔前欧米で大ベストセラーになったマーガレット・
ケネディーの小説。原題がConstant Nymph(常に変わらない妖精?)
とこれまた日本語にしにくい言葉です。「永遠の処女」というのはちょ
っとロマンス小説風のこの恋愛小説には似合っています。サンガーとい
う不世出の音楽家の娘テッサと新進の音楽家ルイスのはかない悲恋
物語ですが、そこに様々な個性的な人々が絡まり合い、当時の英国や
ヨーロッパの音楽界や世情が盛り込まれ、読みごたえのある物語になっ
ています。今ではあまり読まれないのがふしぎなくらい面白い小説です。
もう廃版になっているようで、中古品を手に入れました。
価格はなんと1円!送料が250円でした。
この小説の舞台はほとんどアルプスの高原にあるカリンデ山荘。アル
プスの代表的な花は、エーデルヴァイスとエンティアンあるいはゲン
ティアと呼ばれるこのリンドウと、
そしてアルペンローゼ。アルプスのバラと呼ばれるくらいなのでバラ
の一種かと思ったら、どうもツツジの仲間のよう。日本のミツバツツ
ジやシャクナゲに近い花のようです。