緒方俊平さんという人の「夾竹桃物語 わすれていてごめんね」という
お話があります。今年ももうそこまで迫ってきた8月6日、広島の原爆が
投下された時、夾竹桃を救った犬たちを描いた絵本です。「助けて、熱
いの!」と叫ぶ夾竹桃に、自分もやけどを負いながら、何度も川の水を
かけてくれた優しい犬たち。でもそのあと、他の人間や動物たちと一緒
に川を流されていきました。人間の慰霊碑は建てられたけれど、犬や他
の動物たちも一緒に犠牲になったんですね。助けられて生き延び、今年
の夏もきれいな花をつけた夾竹桃が、そんな犬たちのことを子どもたち
に語ります。惨いお話の、でも美しい絵本です。色々な意味で、人間と
は、科学とは、原子力とはいったい何なのかを考えさせられる今夏です。