ここは秩父の羊山公園芝桜の丘。4月のシーズンには色とりどりの芝桜が
見事な花の絨毯を織りなし、眼を見張るばかりでした。花に負けないほど
の数の観光客もいて。でも今は人っ子ひとりいない緑の草原です。
丘のむこうには武甲山が見えるはずなのですが、こんなふうにね。それも
雨に煙って見えません。この武甲山、日本二百名山にも数えられる名山
す。大和武尊が甲を奉納したのでこの名がついたのだとか。有名な秩父の
夜祭りは、武甲山の男神様と秩父神社の女神様の年に一回の逢瀬を祝
う祭りです。
でもこの山、石灰岩質であるために、昔は漆喰の材料に、明治以降はセ
メントの材料として、大規模に採掘され、北斜面は山姿が変貌するほど
切り崩され、高さも変わってしまったとか。
切り出しの現場あたりは、驚嘆するほどの建物設備群です。今もどんどん
山が削られているのだと実感します。身を削られ続ける神の山武甲山。
人間とは恐ろしいものです。