小諸なる古城のほとり
雲白く遊子悲しむ
緑なすはこべは萌えず
若草も藉くによしなし
しろがねのふすまの岡邊
日に溶けて淡雪流る
ご存知、島崎藤村の「小諸なる古城のほとり」の最初の一節です。
今は「懐古園」となっている小諸城から千曲川を見下ろした風景です。
軽井沢へ行った次の日の早朝、車なら2、30分の小諸懐古園を訪れました。
城跡の石垣だけになっていても堂々とした佇まいで、築城の名手
山本勘助の手になるというのがうなづけます。
藁葺き屋根の風情ある東屋から、緑濃い千曲川を望み、500年ほども前
に築かれた城の跡に立っているのだと思うと、同じく「千曲川旅情の歌」
の次の一節が心に響きました。
昨日またかくてありけり
今日もまたかくてありなむ
この命なにを齷齪(あくせく)
明日をのみ思ひわづらふ
それにしても、"齷齪"(あくせく)って、すごい字ですね。
藤村は書けたのでしょうね。私は読めませんでした。