ぞうれっしゃがやってきた (絵本ノンフィクション 23) | |
箕田 源二郎 | |
岩崎書店 |
第二次大戦中、空襲で動物が逃げ出して、人を襲ったら大変だということで
猛獣処分令が出されました。飼育員たちの必死の抵抗にもかかわらず、どこ
の動物園でも、次々と動物が処分されていきました。名古屋の東山動物園
でも、ライオンや熊や、罪もない動物が殺されて行きました。でも、ゾウだ
けはと、園長さんを始めとして必死に守りぬきました。しかし十分な餌がな
く、4頭のうち2頭が衰弱死。2頭が終戦まで何とか生き残りました。東京の子
ども議会が、日本に2頭しか残っていないゾウを見たい、貸してくれないかと
東山動物園に頼んできました。餌不足で衰弱してしかも高齢のゾウを東京に
連れて行くのは不可能でした。そこで、人々と子どもたちの熱意と、国鉄の
計らいで、子どもたちを乗せた列車がゾウに会いに行くことになったのです!
この実話が本になり、それを元に合唱組曲が作られました。毎年いろいろな
ところで上演され「ぞう列車」を専門に歌う合唱団もあります。
川崎でも、8月30日のかわさきの風コンサートで、上演され、息子と孫娘が
出演しました。4、5歳の子どもから高齢の方まで幅広い人が出ていました。
とても重い悲しい内容ですが、健気に一生懸命歌う子どもたちがいじらしく、
大人たちの思いのこもった歌声が感動的で、涙なしには聴けませんでした。
戦争は悲惨だ、二度と絶対にしてはならないと、百万回言うより、ずっと強
いメッセージでした。多くの人々が犠牲になった戦争、何の罪もない動物た
ちも犠牲になっていたのですね。