前々から見たかった、『ベンジャミン・バトン~数奇な人生~』を見てきました~。
・・・長かった・・・3時間近くある映画なのですよね。でも、とても興味深かったです。
1918年。
ニューオリンズ。
第一次大戦の終結を喜ぶお祭り騒ぎの中、一人の赤ん坊が誕生します。その子を産んだ母親は、夫に「あの子のことをお願い」と言い残して死亡。残された夫は、生まれたての我が子の顔を見るのですが・・・。
ゆりかごに入っていたのは、赤ん坊の体でありながら80代の老人の姿をした不気味な子。
そんな不気味な我が子を、父親は、老人ホームの前に捨てるのでした。
そして、赤ん坊を拾ったのは、その老人ホームで働く、黒人の女性。彼女は、子供を授かることが出来ない体だったこともあり、その醜い赤ん坊を「これも、神様の奇跡だ」と言って、ベンジャミンと名付け、自ら育てることにします。
拾ったばかりの時は、白内障で目も見えず、手足の関節も衰えており、老衰間近の老人の体で、そう長くは生きられないだろうと医者から宣告されたベンジャミンですが、月日が経つ事に、少しずつではありますが、体力が回復していきます。若返っているように。
住まいが老人ホームということもあって、彼は周りの老人達と馴染みながら日々を過ごしていきます。
やがて、車椅子で動けるようになり、杖で歩けるようになり、杖が1本に減り、とうとう、自らの力で歩けるようになり・・・と、本当に若返っていくのでした。
そんなある日、彼は、ホームの入居者の孫であるデイジーという5才の女の子と出会います。
「こう見えても、実は、僕、まだ子供なんだ」
「そうだと思った。貴方は、私のお婆ちゃんみたいな、他のお年寄りとは違うもの」
と仲良くなった二人ですが、ベンジャミンの育ての母が、赤ちゃんを授かり、彼を取り巻く環境も少しずつ変化しつつあることを悟って、彼は、船乗りになる決意をするのでした。
そして、船に乗って世界を旅し、色々な人との出逢いを経験し、また、故郷へと帰ってきます。その頃には、もう、かなり若返っているベンジャミンです。
そうして、そこで、美しい女性へと成長を遂げたデイジーと再会。
紆余曲折を経て、長い時間がかかりましたが、最終的に、互いの人生の中間点くらいの時期に、ベンジャミンとデイジーは結ばれるのでした。
けれど、世の中に「永遠」なんて物は無い。
自然の摂理通りに、どんどん老けていくデイジー。
そして、その摂理を逆回りに辿ってきたベンジャミンは、どんどん若返ってきます。
共に老けていくことが叶わぬ二人の男女。
このままでは、最終的には夫婦なのに、お婆ちゃんと赤ちゃんという組み合わせになってしまう・・・。
だからこそ、ベンジャミンが決断した選択とは・・・?
しっとりとして、落ち着いた綺麗な映画だったと思います。
老人の体で生まれ、老人ホームで育つ、主人公ベンジャミン。
幼い(と言っても、見た目は老人ですが)彼を取り巻く老人ホームという世界には、必ず、「死」がついて回ります。
どんなに仲良く交流していても、いつの間にか、居なくなってしまう老人達。
同じメンバーで揃っていることは少なく、誰かが亡くなり、また、新しい誰かが入ってきて、また、その内、誰かが居なくなり・・・と。
だからこそ、ベンジャミンは、幼い頃から、人と人との出逢いを大切にし、知り合った人達のことをいつまでもしっかり記憶しているのですよね。
だからだと思うのですが、ベンジャミンの「人との出逢い」が、とても丁寧に描かれているのですよ。
とはいえ、前半は、それが少し長いというか、退屈というか・・・少し眠くなってしまいましたがA^^;;
でも、色々な人との出逢いの中、年齢を重ねながら若返っていくベンジャミンの姿は、味わい深い物がありました。
そして、映画の後半は、彼が幼いときに出会った女性、デイジーとの恋愛が描かれます。
これは、本当に、哀しいというか、切ないというか・・・。
ちょうど、人生の中間地点で結ばれた二人。
その時は、年齢的にも外見的にも、ちょうど釣り合うくらいの時期だったのですよね。
でも、その中間地点を過ぎると。
どんどん、老けていくデイジーと、どんどん若返っていくベンジャミン。
世の中に永遠という物はないと、幼いときから悟っているベンジャミンは、デイジーの変化にも気にならないのでしょうが・・・女性としては、自分だけが老けていくというのは、心苦しいですよね(;;)
それでも、二人での生活を築き上げている時に、ベンジャミンの子供を授かったデイジー。
そして、ベンジャミンは、苦悩を背負うことになります。
もし自分のように生まれてきたら。
そして、子供と一緒に年を取っていけないことも。
彼の心配を余所に、子供は無事、健康な体で生まれてきます。
けれども、彼は、成長する子供とは逆にどんどん若返っていく・・・。
やがて、父親なのに、自分の子供より若くなってしまう日が来る。
そのことを、ずっと悩み続けるのですよね。
この一連のエピソードは、とても切なかったですし、一旦失踪した彼が、再び、デイジーのバレエ教室を訪ねるシーンなどは、涙が出てしまいました(><)
そして、再会の時に、一夜を共にする二人ですが。
青年のようになったベンジャミンに対し、デイジーは、もう大分老けていて。
彼に背を向け、服を身につけている彼女の体が、「中年女性の体」っぽくなっていたのは、同じ女性として、見ていて、やるせないというか切ない思いでしたね。
この再会を境に、また、姿を消すベンジャミンですが、次に、デイジーと会ったときには、もう、少年の体になっており、しかも、認知症が始まっていて、何も解らなくなっていて・・・。
ベンジャミンもデイジーも、何十年と生きてきた、れっきとした老人なのですよね。
でも、見た目も老人なデイジーに対し、見た目は子供のベンジャミン。
結局は、外見だけの問題で、中味は、二人とも同じな訳で。
年を取るって、何なんだろう?と考えたりしましたね。
そして、この映画を見て、思ったのは。
やはり、私たち女性にとっては、「年を取りたくない」、「いつまでも若くいたい」いや、いっそ、「もう誕生日なんて要らね~よ」とか思うこともあるでしょうが。
でもでも。
大切な人と一緒に、老けていく・・・ということは、幸せなものなのかもしれないと思いましたね。
夫婦だけでなく、恋人も、友人も・・・皆々。
一緒に時を過ごした人達と共に、一緒に、年齢を重ねていく。
生まれた瞬間に、もう、死があるのは自然の摂理な訳ですから、その仲間達と共に、いつか訪れる「その時」に向かって歩んでいく。
もちろん、ベンジャミンも、外見が若返ってるだけで、中味は、皆と共に年を取っているわけですが。
それでも、自然の摂理と逆回りの時間が流れている彼の肉体は、それ故の、苦悩を彼に与えたのではないかなぁ~と。
そして、命には必ず、限りがある。
だから、その限りある時間の中で、色々な出逢いを大切に。
自分が知り合った人達は、誰一人として、同じ人間は居ないわけで。それぞれ、皆、違う個性を持った、大切な命達。
人との出逢いは、限りある命と命の出逢いでもある。
だから、「一期一会」を大切にしたい・・・とも思いましたです。
映画の作りとしては、死を間近に迎えたデイジーの回想・・・という感じなのですが。
オチというか、彼女にベンジャミンの日記を読んであげている娘に関しては、「ああ、やっぱりね」と、予想通りだったというか(^^)
けっこう、引っ張った割には、ラストは、あっけなかったというかサッパリしていたかな~という気はしますが。
さてさて。
この映画、特殊メイクの素晴らしさも気になってしまうトコであります。
お爺ちゃんから青年までのブラッド・ピット、そして、20代~80代までのケイト・ブランシェット。
老けメイクも若メイクも、素晴らしいっっっ!!!!
回想しているお婆ちゃんが・・・まさか、ケイトの老けメイクとは・・・本当にビックリでした。
本当に数奇の人生なベンジャミン。
現実には絶対に有り得ないことなので、まあ、ファンタジーといえば、ファンタジーですよね。
どんどん若返っていく彼に、皆も、さも当たり前のように接していますし。
でもでも、有り得ない話なのに、なんだか、本当の話みたいに、良く作られた映画だったと思います。
興味ある方は、是非是非。
3時間くらいあるけどね(^^)b
・・・長かった・・・3時間近くある映画なのですよね。でも、とても興味深かったです。
1918年。
ニューオリンズ。
第一次大戦の終結を喜ぶお祭り騒ぎの中、一人の赤ん坊が誕生します。その子を産んだ母親は、夫に「あの子のことをお願い」と言い残して死亡。残された夫は、生まれたての我が子の顔を見るのですが・・・。
ゆりかごに入っていたのは、赤ん坊の体でありながら80代の老人の姿をした不気味な子。
そんな不気味な我が子を、父親は、老人ホームの前に捨てるのでした。
そして、赤ん坊を拾ったのは、その老人ホームで働く、黒人の女性。彼女は、子供を授かることが出来ない体だったこともあり、その醜い赤ん坊を「これも、神様の奇跡だ」と言って、ベンジャミンと名付け、自ら育てることにします。
拾ったばかりの時は、白内障で目も見えず、手足の関節も衰えており、老衰間近の老人の体で、そう長くは生きられないだろうと医者から宣告されたベンジャミンですが、月日が経つ事に、少しずつではありますが、体力が回復していきます。若返っているように。
住まいが老人ホームということもあって、彼は周りの老人達と馴染みながら日々を過ごしていきます。
やがて、車椅子で動けるようになり、杖で歩けるようになり、杖が1本に減り、とうとう、自らの力で歩けるようになり・・・と、本当に若返っていくのでした。
そんなある日、彼は、ホームの入居者の孫であるデイジーという5才の女の子と出会います。
「こう見えても、実は、僕、まだ子供なんだ」
「そうだと思った。貴方は、私のお婆ちゃんみたいな、他のお年寄りとは違うもの」
と仲良くなった二人ですが、ベンジャミンの育ての母が、赤ちゃんを授かり、彼を取り巻く環境も少しずつ変化しつつあることを悟って、彼は、船乗りになる決意をするのでした。
そして、船に乗って世界を旅し、色々な人との出逢いを経験し、また、故郷へと帰ってきます。その頃には、もう、かなり若返っているベンジャミンです。
そうして、そこで、美しい女性へと成長を遂げたデイジーと再会。
紆余曲折を経て、長い時間がかかりましたが、最終的に、互いの人生の中間点くらいの時期に、ベンジャミンとデイジーは結ばれるのでした。
けれど、世の中に「永遠」なんて物は無い。
自然の摂理通りに、どんどん老けていくデイジー。
そして、その摂理を逆回りに辿ってきたベンジャミンは、どんどん若返ってきます。
共に老けていくことが叶わぬ二人の男女。
このままでは、最終的には夫婦なのに、お婆ちゃんと赤ちゃんという組み合わせになってしまう・・・。
だからこそ、ベンジャミンが決断した選択とは・・・?
しっとりとして、落ち着いた綺麗な映画だったと思います。
老人の体で生まれ、老人ホームで育つ、主人公ベンジャミン。
幼い(と言っても、見た目は老人ですが)彼を取り巻く老人ホームという世界には、必ず、「死」がついて回ります。
どんなに仲良く交流していても、いつの間にか、居なくなってしまう老人達。
同じメンバーで揃っていることは少なく、誰かが亡くなり、また、新しい誰かが入ってきて、また、その内、誰かが居なくなり・・・と。
だからこそ、ベンジャミンは、幼い頃から、人と人との出逢いを大切にし、知り合った人達のことをいつまでもしっかり記憶しているのですよね。
だからだと思うのですが、ベンジャミンの「人との出逢い」が、とても丁寧に描かれているのですよ。
とはいえ、前半は、それが少し長いというか、退屈というか・・・少し眠くなってしまいましたがA^^;;
でも、色々な人との出逢いの中、年齢を重ねながら若返っていくベンジャミンの姿は、味わい深い物がありました。
そして、映画の後半は、彼が幼いときに出会った女性、デイジーとの恋愛が描かれます。
これは、本当に、哀しいというか、切ないというか・・・。
ちょうど、人生の中間地点で結ばれた二人。
その時は、年齢的にも外見的にも、ちょうど釣り合うくらいの時期だったのですよね。
でも、その中間地点を過ぎると。
どんどん、老けていくデイジーと、どんどん若返っていくベンジャミン。
世の中に永遠という物はないと、幼いときから悟っているベンジャミンは、デイジーの変化にも気にならないのでしょうが・・・女性としては、自分だけが老けていくというのは、心苦しいですよね(;;)
それでも、二人での生活を築き上げている時に、ベンジャミンの子供を授かったデイジー。
そして、ベンジャミンは、苦悩を背負うことになります。
もし自分のように生まれてきたら。
そして、子供と一緒に年を取っていけないことも。
彼の心配を余所に、子供は無事、健康な体で生まれてきます。
けれども、彼は、成長する子供とは逆にどんどん若返っていく・・・。
やがて、父親なのに、自分の子供より若くなってしまう日が来る。
そのことを、ずっと悩み続けるのですよね。
この一連のエピソードは、とても切なかったですし、一旦失踪した彼が、再び、デイジーのバレエ教室を訪ねるシーンなどは、涙が出てしまいました(><)
そして、再会の時に、一夜を共にする二人ですが。
青年のようになったベンジャミンに対し、デイジーは、もう大分老けていて。
彼に背を向け、服を身につけている彼女の体が、「中年女性の体」っぽくなっていたのは、同じ女性として、見ていて、やるせないというか切ない思いでしたね。
この再会を境に、また、姿を消すベンジャミンですが、次に、デイジーと会ったときには、もう、少年の体になっており、しかも、認知症が始まっていて、何も解らなくなっていて・・・。
ベンジャミンもデイジーも、何十年と生きてきた、れっきとした老人なのですよね。
でも、見た目も老人なデイジーに対し、見た目は子供のベンジャミン。
結局は、外見だけの問題で、中味は、二人とも同じな訳で。
年を取るって、何なんだろう?と考えたりしましたね。
そして、この映画を見て、思ったのは。
やはり、私たち女性にとっては、「年を取りたくない」、「いつまでも若くいたい」いや、いっそ、「もう誕生日なんて要らね~よ」とか思うこともあるでしょうが。
でもでも。
大切な人と一緒に、老けていく・・・ということは、幸せなものなのかもしれないと思いましたね。
夫婦だけでなく、恋人も、友人も・・・皆々。
一緒に時を過ごした人達と共に、一緒に、年齢を重ねていく。
生まれた瞬間に、もう、死があるのは自然の摂理な訳ですから、その仲間達と共に、いつか訪れる「その時」に向かって歩んでいく。
もちろん、ベンジャミンも、外見が若返ってるだけで、中味は、皆と共に年を取っているわけですが。
それでも、自然の摂理と逆回りの時間が流れている彼の肉体は、それ故の、苦悩を彼に与えたのではないかなぁ~と。
そして、命には必ず、限りがある。
だから、その限りある時間の中で、色々な出逢いを大切に。
自分が知り合った人達は、誰一人として、同じ人間は居ないわけで。それぞれ、皆、違う個性を持った、大切な命達。
人との出逢いは、限りある命と命の出逢いでもある。
だから、「一期一会」を大切にしたい・・・とも思いましたです。
映画の作りとしては、死を間近に迎えたデイジーの回想・・・という感じなのですが。
オチというか、彼女にベンジャミンの日記を読んであげている娘に関しては、「ああ、やっぱりね」と、予想通りだったというか(^^)
けっこう、引っ張った割には、ラストは、あっけなかったというかサッパリしていたかな~という気はしますが。
さてさて。
この映画、特殊メイクの素晴らしさも気になってしまうトコであります。
お爺ちゃんから青年までのブラッド・ピット、そして、20代~80代までのケイト・ブランシェット。
老けメイクも若メイクも、素晴らしいっっっ!!!!
回想しているお婆ちゃんが・・・まさか、ケイトの老けメイクとは・・・本当にビックリでした。
本当に数奇の人生なベンジャミン。
現実には絶対に有り得ないことなので、まあ、ファンタジーといえば、ファンタジーですよね。
どんどん若返っていく彼に、皆も、さも当たり前のように接していますし。
でもでも、有り得ない話なのに、なんだか、本当の話みたいに、良く作られた映画だったと思います。
興味ある方は、是非是非。
3時間くらいあるけどね(^^)b