直方駅の広いヤードにC5551号機とD60型の蒸気機関車が停車している。
列車が行き交うので撮影のためにヤードを歩いて向こう側に渡れない。
それでもヤードの脇から撮影出来たのはありがたい。北九州に住んでいたら休みには撮影に行けたのにと思う。
しかし人間は同じ場所には頻繁にいかない。すぐに飽きるものだ。
昭和40年代は石炭産業の衰退の時代だ。街も廃れ活気が全く無かった。本屋の本は手垢で汚れ夜遅くなると駅の待合てヴシンナーを吸っている若者、ビニール袋にシンナーを浸した脱脂綿を入れ吸っている。
そんな街を撮影する気にもならなかった。しかし、どんな街でも撮っておけば時代の証言者になれた。
写真家の土門拳は筑豊という代表作がある。土門の写真はむご過ぎると批判もある。しかし、あの写真のため時代の悲惨さがわかる。
現代であれば写真の二人の姉妹を晒し者にするのは人道的に許されないだろう。