人間の記憶は「音・色・香」のうち何が一番残るのかと言う記事があった、
脳の構造からすると「香・匂い」が一番印象に残ると言う、
音の記憶のうち「言葉」は日常常に使っているので印象に残ると言う事はあまりないだろう、
音楽は「音」より独立した何かの様な気がしてこれは印象に残ると言う事は絵画においても「美」と言う事で創造されたものであって上記の言う純粋な意味での感ではないかもしれない
自然の音として記憶に残る「音」は子供の頃、おそらく自分の周りを認識し始めた頃
日常の周辺で流れてくる音と自然の景色の色は70歳を超しても結構鮮明に覚えている
冬の木枯らしが山肌を渡る音、軒先から落ちるしずくの音、川のせせらぎ、蝉の声、虫の声
喧しいほどのカエルの声、
しかし、都会に出て半世紀、確かにその記憶はぼやけて来ている、
一番古い音の記憶は一体どれだったのだろうか、
学術的に一番と言われた「匂い」の記憶、一番古い記憶は恐らくお袋の髪の臭い、
背負われて肩に掴まった時、目の前にあったお袋の丸髷の匂いはまだ思い出すことが出来る
もっとも香りの記憶を説明しろと言われても万人共通の花や食べ物の匂いとは違うので説明は出来ないがある時その匂いに遭遇したことがあった、
それはどこだったか覚えていないが丸まった髪の球、「かもじ」だった
(そういえばお袋の針箱の上にあったな、髪の毛の匂いかと思っていたがかもじの匂いだったか)
昭和20年代。終戦直後の疎開で住み着いた村にはシャンプーなどは売っていなかったと思うがあの頃お袋は庭に台を出して盥を乗せ、腰まである髪を洗って居た、
濯ぎにバケツに入れたぬるま湯を掛けるのを手伝った記憶がある、
乾いた髪を丸めて中に髢を入れて後ろ下に結っていたがその髢の匂いが自分にとっての母親の匂いだった、
今だったら恐らく石鹸やシャンプーあるいは化粧品の匂いなんだろうがあの時代は素の匂いがしていたわけだが其れが「かもじ」の匂いだったわけだった、
翻って自分の話、
先々月新型コロナになったがワクチンのおかげか大したことはなく済んだ、
後遺症で「味覚」と「嗅覚」に異常が残ると言われているのだがどういうわけか自分に出た「嗅覚異常」は世間で言われているのとは逆に妙に嗅覚が鋭敏になった気がする、
しかもかなり限定的で総体的に鋭敏になったのではなく「自己体臭」がやたらに気になるようになってしまった、
後期高齢者だから恐らくだいぶ前から匂いはあったのだろうがコロナ騒ぎの後、寝床の臭いが気になるようになり最近は明け方目が覚めるといったん換気したくなるくらい気になってしまう、
かみさんに聞いたが「特にひどくなってはいない」と言う、自分の体臭が気になると言う神経症が有るが本当に自分で嫌気するのは少々困っている、