minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

ご冥福を

2007年08月23日 | ライブとミュージシャンたち
 富樫雅彦per氏の訃報が届いた。67歳、早過ぎる天才の訃報。

「あなたはどんな音楽をやっているの?」初めて富樫さんのお宅にお邪魔したときに言われた言葉。
「はい、ビーバップなどを勉強しています。」緊張しながら答えると
「何故今頃ビーバップなの?俺たちの時代はビーバップは新しい音楽だった。だからこそみんな必死に勉強して追いかけたんだよ。ジャズって常に新しい事をやるものなのだから・・・。」
「・・・・。」

 そのときはまだ私は若干24歳。彼の言葉がなければ今のような形で演奏していなかったに違いない。当時、富樫さんは増上寺の地下コンサートでスティーブ・レイシーや林栄一、高柳g氏らと毎月のようにフリーデュオ・ライブを行っていた。

 「フリースタイルで演奏するとき、なにか決めごとはあるのですか?」
まだまだ駆け出しの私は素朴な疑問を投げかけた。嫌な顔ひとつせず「そうだね、あるとすれば時計を見る事くらいかな。」
何時に終わろう、という決まりだけ作って演奏していたのだ。

 「自分のやりたい音楽って一体何だろう?」それ以後、自問自答の日々が続いた。オリジナルも沢山手がけるようになった。人の真似をしたって世界の音楽家たちと出会えないぞ。ヨーロッパのミュージシャン達と出会い、招待されたのもフリー音楽を演奏するようになったお陰だ。

 「悲しい事があったってニコニコしながらドラムを叩く。それが突然嫌になっちゃったんだよ。その点、フリーは気持ちのままに表現できるでしょ。」

 彼の言葉をいつも思い出し、私も自分に正直に音楽と向かい合って行こうと思う。天国でスティーブ・レイシーと再会しているのかしらん。心からご冥福をお祈りいたします。

私の頃は・・・

2007年08月23日 | 家族の日常
 今日、自宅でレッスンをしていたときの生徒の話。

「俺、なんでサックスを選んだんだろうなあ。そんな質問されたら困っちゃうだろうな。」
「え~?なんとなくなの?」
「そうですね。わりとすぐに音がでたから。でも『サックス』って言葉自体、知らなかったんです。」
「あちゃ~。そういえば私も中学で『さち、なんの楽器やってんの?』って友人に聞かれていつも、渡辺貞夫が吹いていてね(ちょうど当時貞夫さんがサックス吹きながらCMに出演されていたので)・・・ってところから説明したわ。」
「渡辺・・・(汗)。俺たちより若い世代は誰だと思いますか?」
「えええ~~?貞夫さんじゃないのぉ?」
「あったり前ですよ。ジャズとか知らない連中でもわかる日本人!」
「????」
「武田真治です。」

 え~~~?そうなんだ、今はサックスといえば渡辺貞夫でもチェッカーズでもなく、武田真治なんですか。そっか~~~。

 武田真治といえば、彼のデビューアルバムにスカパラの北原君に頼まれ参加したなあ。その頃は「武田●●」なんて誰かも知らずに平気で「このCDで歌も歌うの?」と、横でテナー吹いているにも関わらず、ボーカルだと思いこみ、失礼な質問をしてしまった・・・(汗)。ちょっと淋しそうに微笑みながら(内心ムッとしていたのかも?)「いいえ、これからまだテナーソロをかぶせるんです。」それ以来、仕事はこない・・・。

 武田君のおかげか、矢野沙織ちゃんのおかげかわからないが、今や日本でサックスという言葉はジャズという言葉と同じくらいメジャーになった。嬉しい事ですね。武田真治様、本当に失礼しました~~~~。