minga日記

minga、東京ミュージックシーンで活動する女サックス吹きの日記

Come Back Soon!!

2009年09月23日 | 
アベニューBとHouston St.の角にある小さなバー「Local 269」で最後の演奏。本当に本当に楽しい2週間。最後の締めくくりでこんな素晴らしいメンバーと一緒に演奏できるなんて・・・。

フェローンは余程の事がない限り、小さなライブハウスでは仕事をしないようだ。それなのに私の我がままを聞いてくれ、雀の涙ほどのギャラを渡しても嫌な顔もせず「イエーイ、本当に楽しかったね~。サチもトシキも素晴らしいコンポーザー&プレイヤーだよ。」とニコニコ。

彼のドラムはしなやかにのびやかに変幻自在な音楽を構築していく。定村さんが「リハーサルで叩いた事を全くしないし、いろんなアプローチで叩くので毎回新鮮、あんなドラム聞いた事ないですよ。」と感激していた。そして定村君のエレクトリックバイオリンも永田利樹の難曲で素晴らしいソロを聴かせ・・・どこまで行くんだ?この人たちは???

「僕がNYに長く住んでみて一番感じる事は、誰かの真似ではこの街では生きて行けないって事です。自分のやりたい音楽を独自な方法で演奏できて初めて認められる街なんです。だから自分に妥協したくないんです。」

テクニックがあって素晴らしい音の演奏家たちがわんさかいるNYで、ライブをやって人に聴かせるためにはもう一つ先の何か、を持たなくては生きて行けない。もちろん、東京でも同じなんだけど、いろいろな事がルーティンになってしまって、一番大切な事を忘れてしまいがちだ・・・。NYへ来て本当に良かったな~。

ラストの曲の前に「チョットマイクカシテクダサイ。」っていきなりフェローンが立ち上がって喋りだした。

「ここにいる古い友人たちとは20年以上前から一緒に演奏してきました。彼らが日本でも頑張っているのを励みに僕もNYで頑張っています。そんな彼らと一緒にここでまた演奏できた事は自分にとって大変重要な事なのです。(by英語)」

ゆっくりと噛んで含めるような喋り方。そっか、フェローンとは20年のつきあいか・・・。こんなに素晴らしい音楽家に出会えて幸せだなあ。紹介して下さった山下洋輔さんにもつくづく感謝。

「The Stoneで聴いてよかったのでまた来ました。」と美少年2人に言われデレデレ。
「OK,Alex~~~,メール頂戴ね~~~~っ。」

海外で一番素敵な事は沢山の音楽ファンたちが自分の感想を演奏後に告げに来てくれること。これが演奏家にとってとても励みになる。もちろん良くなきゃ、何も言わずに帰るだけ。たった10ドルだからこそのシビアな世界。音楽家としてNYで生きて行くのもTokyoで生きて行くのもやはり大変な事なんだなあ。他のライブには時間がなくて連れて行ってあげられなかったけど、息子も私たちの演奏を通して様々な事を学んだに違いない。

Local269のお兄ちゃんも「いやあ、最高だったよ。こんな演奏初めてだ!またすぐにNYへおいで!」と声をかけてくれた。演奏中にずっと絵を書き続けていた絵描きのお兄ちゃんもいたけど(このお店の名物らしい)「素晴らしかったよ!これが今日の絵。ここは抽象的に書いたんだよ。」とわざわざ私に説明付きで見せに来た。あれれ?トシキの顔はわかるのに、私のところだけが抽象画か。ま、いいんだけど(苦笑)。



みんな、みんな本当にありがとう!フェローンがビールをご馳走してくれて「お疲れさま~~~!カンパ~イ!」また来るからね~。I'll be back again!!深夜のハウストンストリートに心地よい風が吹いていた。