NPO法人美濃の森造隊だより

人と森林との最適な関係を探るため、岐阜県恵那市を中心に人工林の間伐をしながら森造りを行なうグループの活動報告です。

新しい林業手法(4月18日)

2009年04月21日 | 間伐
恵那市の坂折棚田の上流、恵那市と白川町を結ぶ赤河峠の近くで施業している林業現場の集材作業を見学に行きました。
ここは、今年2月に森林組合から独立した知人が、一人で山主さんから森林整備を請け負って作業しています。
知人は、大規模集約型で林業を経済活動としか見ない既存の林業に疑問を持ち、生活の不安を抱えるのを厭わず思い切って独立しました。
まだ個人事業主としての活動を始めたばかりで、しかもまた材価が下落傾向の現状に先行きは不透明ですが、明るく立ち向かっています。
5haの現場の1ha程が終わった段階で、100㎥程の材を搬出しました。
ここでは小型ユンボを改造したグラッブルと小型林内作業車が活躍しています。

林内で活躍するグラッブルです。
グラッブルの先端部分の部品は直接海外から輸入し、国内で業者に取り付けてもらったので、安く改造出来たということです。
かなり狭い場所で作業が可能ですので、不必要に木を切る必要がありません。


4m、6mに玉切りした材を林内作業車に積み込んでいます。


積込が終わると林道の土場まで運び上げます。




運搬速度はゆっくりですが、一度に1㎥ほどの材を着実に運び上げることが出来ます。
車幅が狭いので、幅1.5mの作業道を作るだけで運搬出来、林内の踏み荒らしを最小限に抑える事が出来ます。
確かにこの現場はかなり傾斜が緩く、林業現場としては条件に恵まれていますが、こうした小型機械を使いこなせば立派に林業経営が行なえます。
小型機械を使えば初期投資を抑える事が出来、運搬やメンテナンスが楽な上、作業の安全性も向上します。
そして何より多くの人が林業に参入し易くなります。
林業の衰退が指摘され、対策が声高に叫ばれるようにはなってきましたが、林業現場の集約化が進まず、担い手が減り続けている林業の現状では、大型機械の導入、作業現場の集約といった現業林業の手法は万能ではありません。
もうそろそろ新しい発想で対策を講じるべきでしょう。
そして知人のこうした小規模林業の手法こそが新たな対策への道筋を示してくれているように思えます。
これからの林業には、大規模、集約、高性能機械、効率、専門といったキーワードではなく、小規模、分散、小型機械、丁寧、アマチュアといったキーワードが重要になるのではないでしょうか。
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