NPO法人美濃の森造隊だより

人と森林との最適な関係を探るため、岐阜県恵那市を中心に人工林の間伐をしながら森造りを行なうグループの活動報告です。

森の健康診断リーダー現地演習(9月27日)

2009年09月28日 | 間伐
中部大学エクステンションセンターの主催する森の健康診断リーダー育成講座の現地演習が9月27日恵那市の鍋山人工林で行なわれました。
我々「美濃の森造隊」メンバー6人も演習補助及び間伐実習講師として参加しました。
参加者は一般の方3名及び学生さん52名です。
朝、拓志館に集合しましたが、これだけの人数になると広いと思っていた部屋もテーブルを片付けないと座る場所もありません。
現場に移動するための車の台数も13台となり、車列が離れて一時迷子の車が出るほどでした。

健康診断の演習は6班に分かれて行ないました。

手前の低層木は山椒です。
来年が楽しみです。
これで来春のコシアブラと山椒の実の収穫に目処が付きました。


真ん中に光が差し、皆で祈りをささげる宗教画のようでもありますが、リーダーの説明を真剣に聞いているところです。

今回の演習林は植栽してから15年程と日が浅く、樹高も8m程のところが半分ほど有り、そこでの林分密度測定では適正値でした。
しかし明らかに樹幹は閉塞し、地表に光は届いていないのでここは過密な人工林です。
どうやら植栽してから日の浅い人工林の林分密度測定には、相対幹距とは別の指標が必要なようです。
演習は順調に進んだのですが、やはり初めての実地演習ですので進行に予定より時間がかかりました。
10月24日の本番までには少々修正が必要のようです。

午後からは間伐実習を行ないました。

レガースが大きすぎるようです。
林業用の安全具やシューズなどの個人装備は種類やサイズが少なく、おまけに値段も高いのでなかなか満足な品物が手に入りません。

天気にも恵まれ演習は予定通り無事終了しました。
しかし反省すべき点もありました。
意見交換や質疑応答の時間は設けたほうがよかったかなという気がします。
参加された受講者の皆さんはいかがでしたでしょうか。
次の機会には今回の体験を是非有効に生かしたいと思います。
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空に舞う鳥(9月23日)

2009年09月24日 | 間伐
連休最後の日に鍋山の棚田跡地に入ってみました。
天気はぐずつき気味で湿度も高く、少し動いただけで汗まみれになってしまいます。
休憩で暗い森から出て空を見上げると、空に大きな鳥が悠々と飛んでいました。

(写真では傷のような黒い模様にしか見えていませんが)
高く低く10羽程を数える事が出来ました。
トビとも違うようです。
何をしているのでしょうか。
猛禽類が空を横切る渡り鳥を待ち伏せているのでしょうか。
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中野方間伐支援(9月19日)

2009年09月24日 | 間伐
連休の初日の19日、中野方、鈴村さんの森林で間伐支援です。
今回で丁度1年が経ちました。
あっという間の1年でした。
少し早めに着いて鈴村さんと四方山話をしている内に、中野方川を挟んだ対岸に見える耕作放棄された棚田の活用方法の話になり見に行ってみました。


石積はまるでお城の石垣のようです。
石積の高さから解るようにかなり急傾斜の棚田です。
ここを幾組かの家族に分配して、畑をやりながら間伐材で掘っ立て小屋を立ててと
構想は膨らみます。
先ず持ち主に貸す気があるか確認してもらう事にしました。

9時過ぎにはメンバーが集合したので間伐作業に入る事にしました。
間伐を始めて1年が経つというのに、奥にはまだまだ日が差さない林が残っています。
まるで現場がどんどん広くなっていると錯覚しそうです。


次々に切って行きます。


掛木をロープで引き倒しています。


掛木をフェリングレバーで回転させ倒しています。


ロープ牽引にプラロックを使っています。


かなり力が入っています。


大きな松も切りました。

3班に分かれて皆かなり集中して作業をしたので、山を下りる他の班に声を掛けられるまで終了時間に気付かない班もありました。

今日も一日良い汗をかくことが出来ました。
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さわやかな間伐日和(9月13日)

2009年09月15日 | 間伐
雨に降り込められた昨日の口直しに、間伐途中の棚田跡地に行ってみました。
現場にたどり着くと

少し空いた木々の中を朝日が差し込んでいました。
森からの祝福のようでした。

担いできた機材を下ろし、少し水を飲み、チェンソーの目立てをしました。
大分刃が小さくなり、後1、2回の使用でこのソーチェーンも廃棄しなくてはならなくなりそうです。
でもまだまだ切れ味は申し分ありません。
今回は最初に緊急に手がけた奥の山の斜面を少し丁寧に間伐しました。
これで表土の流失が少しでも収まってくれればいいのですが、うまくいっても来年の春以降に下草が順調に生えての話ですので、効果はずっと先の事になるでしょう。
斜面の間伐を終え、棚田跡地と林道脇で全体に混んでいる部分を間伐すると、風通しが良く明るくなった空間が見違えるほど快適になりました。
その空間をほてった身体を水で潤し、座って眺めているのもなかなか乙なものです。

ひとまず区切りがついて山を下りる途中で、スギを巻枯らしにし、値段の高いヒノキを植林した林に入ってみました。

大きな杉の木が立ち枯れています。
植林したヒノキはツルやササで成長が順調では無いようです。
この森にとってこんな管理手法が良かったのでしょうか。


林床の生き生きとしたノブドウの姿が枯れた杉の木の姿と対照的でした。
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大雨の現地調査(9月12日)

2009年09月15日 | 学習
梅雨時から続いている天候不順で雨の少ない初秋が心配されていたのに、12日の現地調査の日に限って大雨の予報が出ました。
今回の現地調査は、10月24日に行なわれる「第5回土岐川・庄内川森の健康診断」の自然触れ合いコースの下見です。
天然林、手入れされた人工林、手入れされていない人工林を見て回って、森のあるべき姿を探ってみようというのが自然触れ合いコースの趣旨なので、あまり森に馴染みの無い人でもゆっくり歩いて種類の違った森を体験出来る場所を下見しておくのが目的でした。
メンバーは森の案内人として山内さんと杉野さん、生徒として「美濃の森造隊」メンバーの鬼頭さん、青島さん、そして私です。
場所は岐阜県恵那市三郷町鍋山の土岐川現流域です。
多少の雨は覚悟していましたが、調査のために歩き出した途端に雨脚が激しくなりました。

手入れされた人工林に行く途中の湿地の植物を調べています。
湿地の植生は豊かです。
そしてそこで見つけたものは。

猪の足跡です。
体重は100kgを超える大物だと推理しました。
見回すと湿原を中心に放射状に獣道が周りの森に沢山続いていました。
猪は増えているようです。

場所を移動し、土岐川源流の手入れされていない人工林の中で濁った沢を辿っていくと

ついさっきまで猪が遊んでいたヌタ場を見つけました。
しかもこれが源流です。
写真が暗いのですが、これが実際に目に感じた明るさです。
雨は激しくなるばかりで、簡単な雨具のメンバーはずぶ濡れです。
それでもまだ現地調査は続けます。

手入れされた人工林では下層植生が豊かで、クリ、サクラ、リョウブ他が背の高さほどに生い茂っていました。
調べればもっと沢山の樹木を発見できたでしょうが、雨が酷く先を急いだためゆっくり落ち着いて観察できませんでした。

自然林に入るとナラ、ミズナラがゆったり枝を広げて落ち着いた空間を作っていました。
ただその中を流れる恵那市の水道源流の沢に濁り水が流れていました。
自然林上流の僅かな人工林で表土が流れ出しているようです。
確かに雨脚は強いのですが、降り始めからたいした時間が経っていないのに流れ出した表土と元になった人工林の面積を考えると、いったいどれだけの量の表土が見える範囲の森から流れ出しているのでしょう。
恐ろしくなります。

こうして何とか現地調査は終了しました。
しかし雨で写真を撮る余裕がありませんでした。
今度は晴れた穏やかな秋の日に同じコースをゆっくりと巡りたいと思います。

さて、サルトリイバラは猿がその実を取るのでそう呼ばれるのか、逆にサルを取る(捕まえる)のでそう呼ばれるのかどちらでしょうか。
植物の名前の由来はよく観察すると確かに腑に落ちます。
解らないという皆さんは一度森でサルトリイバラをゆっくり観察してみて下さい。

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南アルプス原生林・塩見岳(8月28日、29日)

2009年09月03日 | 森林
「美濃の森造隊」の活動とは関係なく、個人的に遅い夏休みを取って南アルプス塩見岳を登って来ました。
塩見岳への登山口は、大鹿村の鳥倉林道からと塩川小屋からの二つあるのですが、塩川小屋のコースは明治初めまで伊那谷と駿河、甲斐を結ぶ伊那街道だったという話に興味を引かれ、今回は塩川小屋コースを選んでみました。
標高1300mの塩川小屋から標高2600mの三伏峠小屋までの道のりは、最初に出会う堰堤を過ぎると全て人の手の入っていない原生林の中の道のりです。
谷を離れて登りに入ると周りはシラビソ、ツガの大群生で、標高が上がると樹高が低くなり、幹も細くなるようでした。



また同時に倒木も多くなり、その上にミズゴケが生え、新しい苗床となっていました。
それはまるで表土の少なさを自らの幹で補うかのようです。
シラビソの枝の柔らかさにも驚きました。
いつも身近なヒノキやスギの枝の硬さが当たり前のものではない事を知りました。
この柔らかさは風や氷や雪をうまくやり過ごす工夫なのでしょうか。
標高が上がるにつれはっきりと変化する原生林の姿は生育条件の厳しさを示しているようです。

樹間は比較的狭いのに森の中は明るく感じます。
ヒノキの人工林とは葉の付方が違うせいでしょうか。
急登にあえぎながら一人でひたすら上り続け、ようやく三伏峠小屋に着いたのは16時半でした。
落石危険ということで塩川小屋かなり手前から林道を歩く羽目になったので、7時間近く歩いた事になりました。
翌日午後から雨の予報でしたが塩見岳を目指して暗いうちに三伏峠小屋を出発しました。
塩見小屋手前の標高2600m位まではほぼ樹林帯で、他に比べてここは森林限界が高いような気がします。
台風11号がもたらした南風が通過するはずの寒冷前線を押さえ込んで、霧か雨を予想して上った塩見岳は時間が経つにつれ雲が晴れ、頂上からは南に荒川岳、南東に富士山まで望む事が出来ました。
北岳方面は最後まで霧の中でしたが、天気ではかなりの幸運に恵まれました。

荒川岳


富士山


塩見岳東峰から見た西峰


塩見小屋から北岳方面を望む。
左から仙丈ケ岳、遠くに駒ケ岳、正面に北岳と間ノ岳、右手に西農鳥岳、農鳥岳


帰路、振り返って塩見岳を望む。

天気予報を見て半分諦めていた塩見岳登頂を果たせ、13時間の長い帰路もそれ程つらく感じませんでした。

今回の山歩きのほとんどが原生林の中で、標高2800m以下の山肌を隙間無く覆っていました。
しかし、標高が上がるにつれ樹種は少なくなり、樹高が低く幹は細くなり、群生する事で身を寄せ合って必死に生きている様子です。
いつも見慣れている標高1000m以下の人工林の中では、光環境が改善でたちまち様々な植生が繁茂する樹木の生命力を感じますが、こうして標高2800m近くで必死に生きている姿を見ると、見渡す限り地表を多い尽くしながらも少しの環境変化で命が危険にさらされる危うさも感じます。
森の姿は標高や地質や温度といった地理的環境でかなり大きく変わるようです。
どんな姿がその場所の本来の森で、どんな森を快適に感じるのか、もっと深く知りたくなりました。

塩川小屋近くの塩川の流れ
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