NPO法人美濃の森造隊だより

人と森林との最適な関係を探るため、岐阜県恵那市を中心に人工林の間伐をしながら森造りを行なうグループの活動報告です。

森づくりの嘘と勘違い(8月22日)

2010年08月25日 | 間伐
中野生産森林組合の山林作業に参加しました。
作業員は各自治会から組合員の代表として選ばれた町民です。
この日の作業は、鍋山頂上付近の7、8年前に数年に渡って間伐跡地にコナラ、ミズナラ、カシワ、サクラ等の広葉樹を植林した山林の下刈りでした。
植樹した広葉樹の周りの草や灌木を刈り取るものです。

これが現場の写真です。
はっきりしませんが、真ん中のヒノキの手前に少し傾いて立てられた竹の支柱があります。
良く見るとあちらこちらに同じような支柱が見えます。
およそ4,5mおきに立てられていますが、肝心な植栽木が見えません。
近づいて確認してみると、今にも枯れそうな植栽木が残っているか、まったく消えてしまっているものが大半です。



これが植樹の現実です。
森林に人間の思いつきで贖罪のように広葉樹を植林したとしても、厳しい競争に大半が負けてしまいます。
ここは毎年同じように下刈りをしているためかろうじて植栽木が少し残っていますが、下刈りを怠っていれば植栽木は数年で消えていた事でしょう。
おまけにせっかく生えた潅木を仮払い機で丁寧に全て刈ってしまうために、笹原化しつつあります。
ここでは安易な人の行為と自然の営みの厳しさと逞しさが見て取れます。
(この現場は、自然観察現地調査地点から800m程北東、標高はほぼ同じ720mの地点です。)
そして、植樹祭と銘打って大掛かりに行なわれているイベントのいかがわしさに想いが及びます。
「森づくり」という美名の下で植樹活動に参加された事のある方は、是非その現場が現在どうなっているのか確認される事をお勧めします。


下刈り現場の直ぐ隣の森林です。

こんな森林を目にしていて、下刈りなんぞをしている森林関係者は胸が痛まないのでしょうか。
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子供達の元気な夏休み、不動滝 (8月21日)

2010年08月24日 | 自然農
7月18日に播いたニンジンとゴボウの種が激しい夕立で流されてしまったので、蒔き直しました。
朝早く畑に行くつもりが、修理に出していたチェンソーの受け取りや種の購入に手間取って着いたのは10時でした。
結局一番避けたかった暑さの盛りの作業になってしまいました。
日差しはじりじり照りつけ風が無く、草いきれで眩暈がしそうです。
この夏は、暑さの中での畑仕事の大変さを嫌というほど教えられています。
休憩ばかり取っていたので、種蒔きがやっと終わって今回は忘れずに草で覆ったのは昼過ぎでした。
後から小屋の内装作業に加藤さんがやって来たのでしたが、後ろ髪を引かれつつ手伝いもせずそそくさと拓志館に移動しました。
拓志館では森の健康診断で使う割り箸の材料となる端材を玉切りし、やって来た事務局長の村上さんの車に積み込みました。
浜松までの運搬は村上さんにお任せです。
村上さんの車を見送ってやっと一息つくと、ふと思いついて不動滝まで出かけてみました。

しぶきを浴びながら少女が滝を見上げています。


兄弟でしょうか、滝から流れ下る急流を二人の子供が遡っています。


更に下流の穏やかな流れでは、小さな子供達が歓声を上げながら水の感触を楽しんでいます。
写真左手手前はおしゃべりに夢中のお母さん達とシュラフに包まり昼寝の老人です。


不動滝では多くの家族連れが森の涼しさと水の感触を楽しんでいました。
子供達は元気に水と戯れ、大人達は日陰で横になっています。
寝具を被って本格的に昼寝を決め込んでいる、ちょっとお疲れのおじさんおばさん、ご苦労様です。

豊かな森と豊かな水辺がもっとあちこちにあるといいですね。
暑い夏には、山の水辺の一時がよさそうです。
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上弦の月(8月17日)

2010年08月18日 | 自然農
種播き後に畝を草で覆うのを忘れたのが気になって落ち着かず、とうとう仕事から帰った後の夜9時に畑へ出かけました。
町を離れて木曽川沿いの道に入ると、空気が夏の夜の匂いに変わりました。
ずっと以前の夏の夜のドライブが蘇ります。
刈り取られた草の匂いとも少し違う、微かに艶かしくしっとりとした匂いです。
日中は暑さに身を潜めていた草や森が、夜に息を吹き返して醸し出す吐息でしょうか。
なぜか甘く懐かしく何時までも包まれていたい空気です。

畑は周りの山に月明かりが遮られ真っ暗でした。
ヘッドランプの明かりだけを頼りの草集めは、乾ききっていたせいで少々手古摺り、30分程の作業で汗だくになってしまいました。
やっと一息ついてランプの明かりを消し空を見上げると、真上に大きな白鳥座が輝いていました。
漆黒の夜空からは覆いかぶさるように星達が降り注いでいます。
こんなに沢山の星を見上げるのは久しぶりです。

帰り道、山の端に沈もうとする大きな上弦の月がずっと伴走してくれました。
濃密な夏の夜の一時でした。
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玉の汗で草刈(8月15日)

2010年08月16日 | 自然農
熱中症の危険を顧みず、草に負けてしまいそうな作物を救い出すために草刈とホウレンソウ、ダイコン、キャベツの種を播きました。
朝、中野方へ向う途中の様子です。

左手木曽川からは霧が立ちこめ、正面に見える飯地の秋葉山(787.6m)は雲に覆われ、微かに雨も降っています。
空気は水で飽和状態です。
今年の夏は水分が多過ぎます。

草刈前の畑です。

決して負け惜しみではなく、草の勢いは思ったより猛々しくありません。
微妙に成長の盛りを過ぎた感じです。
大体の作物は草に埋もれながらも何とか生きていましたが、残念ながら7月18日に播いたニンジンとゴボウの種は、激しい夕立で種が流れてしまったらしく、発芽が見られませんでした。

今日は横井さん夫婦、天野さん、一木さんと森岡の5人が参加しました。
ゆっくり草刈を始めると、忽ち汗が全身に噴出し、腰が痛み30分で床が張られた掘っ立て小屋に待避して休憩です。
床が張られた小屋は思いの他快適でした。
長靴を脱ぎ、床に座るだけでそこが開放的な部屋に早変わりです。
小屋を立てたのは大正解でした。
床を張ってくれた加藤さんに感謝です。


ネギが草に埋もれて消滅寸前です。


風も無く、時々雨もパラパラ落ちて来て蒸し暑さは耐え難く、休憩を草刈の倍以上取りながら作業を進めました。
昼前には少し畑らしくなって来ました。
しかし、今回の草刈で貴重な鉄則を学びました。
育ち過ぎた草を刈る際には、作物と草の区別がつけづらいので、間違って作物も一緒に刈ってしまわない様に注意しなくてはなりません。

午後からは、風通しが少し悪くて更に蒸し暑い下の段の畑のトウモロコシやエンドウの跡地を耕して、ダイコン、ホウレンソウ、キャベツの種を播きました。




2時過ぎにここまで終わり、本日の作業を終了にしました。
多分これ以上は身体が動かないでしょう。
本当に良く汗をかき、皆でがんばりました。
この時期、畑仕事は夜明と夕方に行なうのが正解でしょうね。


ブログを書いていて大変な失敗に気付きました。
種播き後に、刈った草で畝を覆って強い雨と乾燥から種を守らなければいけませんでした。
それをしていません。
ゴボウとニンジンの種が雨で流されてしまったのを見ていながら忘れていました。
はたして来週まで種は大丈夫でしょうか。
心配でたまりません。


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間伐、床張り(8月8日)

2010年08月10日 | 間伐
今日から残暑。
ほとんど今までと暑さは変わらないのに、残暑という耳の響きだけでなんとなく夏の終わりの気配を感じます。
夏が終わる前に畑に作った掘っ立て小屋の床を張ろうと、畑近くの山林に間伐に入りました。
昨日、隊で所有しているチェンソーの内、良く使っていた方を修理に出したので、今日はしばらく使っていなかったチェンソーを持ってきました。
ところがこれが調子悪く、エンジンがなかなかかかりません。
かかってもアイドリングが安定せず、直ぐにストップしてしまいます。
何度かキャブレターを調整しましたが、なかなか良くなりません。
仕方なくだましだまし使う事にしました。

しかし、大変でした。
エンジンの始動だけで体力を消耗しました。
目立てといい、機材の手入れは重要ですね。

切った材は短く2mに玉切り、人力で運び出し、小屋の床張りを平行して行ないました。


テラスまで付く事になり、小屋がどんどん居心地が良くなって行きます。
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森の健康診断自然観察コース事前現地調査&熊 (8月7日)

2010年08月09日 | 森林
9月25日に行なわれる「第6回土岐川・庄内川森の健康診断」自然観察コースの事前現地調査を行ないました。
場所は鍋山の「吉原の空堤」。
指導案内は、当日も担当していただく山内さん。
参加者は、鬼頭さん夫婦と一木さんと森岡の4人。
井口君は直前に車の手配が出来なくなって、残念ながら欠席となりました。

最初に、集合場所近くの暗い人工林の中にある土岐川の源流の一つを見、直に車で林道を空堤への出発点に移動しました。
水路をゆっくり20分ほど歩いて空堤に到着です。

昨夜の雨で足元がぬかるみ、小さな流れが出来ていました。
何度もここを訪れている山内さんも、ここで水が流れているのを見るのは初めてだそうです。
今年の夏は雨が多いのかな。

斜面をゆっくりと登ると、最初に花ノ木に出会いました。
春先、いち早く赤い花の目立つ木です。


シデコブシ
東海地方固有の希少種です。
里にはタムシバが良く見られます。


サクラバハンノキ
ゾウの足のような根が目を引きます。


ハンカイソウ
蕾が膨らみ、もう少しで開花しそうです。


トリカブト
劇薬の原料ですね。
悪用してはいけません。


ツタウルシ。
見ただけでかぶれるという人もいますが、本当でしょうか。


トネリコ
バットに使われるアオダモに近い性質を持っているそうです。
複葉が特徴的で、寄生するカイガラムシが分泌する蝋を戸の滑りを良くするために使った事が名前の由来。


斜面を登りきった炭焼釜跡近くでヤマナラシの葉を拾いました。
光合成の効率化のために葉が下を向かないように茎が縦に扁平で、そのせいで葉が横方向に移動しやすく、かすかな風でも葉同士がぶつかり音を立てます。
名前の由来といい、音を立てる仕組みといい、面白いですね。


水路を遡る途中ではサワフタギを見つけました。
葉には特徴的な食害が見られます。
サワフタギと共生関係にあるシロシタホタルガの食痕のようです。
小さな水路に覆いかぶさるように葉を広げたサワフタギ。
まさに沢を塞ぐという名の通りの場所に生えています。
サワフタギはハイノキ科に分類されるようです。
ハイノキ科の植物の多くの灰は染料の触媒として使われることが多いそうです。
なるほど。


自然観察には不思議が一杯ですね。
植物の名前の由来をや形やその生態を知れば知るほど、以前は植物が今よりずっと生活に利用されていて、植物の命名はその中から生まれてきたのが良く解り、先人の森との関わりの奥深さが偲ばれます。
今まで多少は森について知っていたようなつもりでしたが、まだほんのさわりを体験しただけだったようです。
これからはもっと目と耳をそばだて、微かな森の声を聞き取れるようにしたいですね。

追伸
炭焼釜跡近くのリョウブの木の皮が剥がされていました。

爪あとや齧り跡らしきものも残されています。
おまけに前日に夕立山で熊の目撃情報が寄せられています。
という事で、これは熊が皮を剥いだ跡の可能性を捨てきれません。
皆さん、当分鍋山には一人で入らないか、入山時には賑やかに振舞った方がいいと思います。
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尼寺跡に黒アゲハ(8月1日)

2010年08月05日 | 間伐
昨日現地調査した山林に間伐作業に入りました。
久しぶりに榎君登場です。
三宅さんも参加で、今回は3人での作業になりました。
現場は棚田に隣接した山林で、もう何度も足立さんの山林に通った山道の入り口に当たります。
周囲はかなり密な竹藪に囲まれています。
一見ありきたりの放置された山林のように見えましたが、周囲の竹薮が以前は畑だったのに、ここはどうもそうではありません。
実は尼寺の跡だったのです。
今ではすっかり立木に埋もれ建物の痕跡はありませんが、確かに笹とカシの大木に隠れるように苔むした石碑や石積が点在しています。
なんだか気安く間伐をしていいような雰囲気ではありません。
そこで、出来るだけ石碑から離れた場所から間伐する事にしました。

施工前です。


殆ど枝が棚田側に張っていて、荷重がかなり棚田側に掛かっているので、ブリ縄を使ってプラロックのロープを出来るだけ高い位置に取り付けます。


プラロックで牽引しながら伐倒します。


暑さとしつこい蚊のせいでまったく作業は捗りませんでしたが、チェンソーの一台がオイルポンプの故障でソーチェーンが焼付き動かなくなったくらいで、無事作業は終了しました。

ただ印象に残る出来事がありました。
間伐を始めるとどこからか一匹の黒アゲハが現れ、伐倒者の周りをヒラヒラ飛び回っていました。
何時の間にか姿が見えなくなっても、次の木に取り掛かるとまた現れ、同じ様に伐倒者の周りを飛び回ります。
こんな事が幾度か繰り返されしばらくするとどこかに飛び去りました。

今でも黒アゲハの軽やかに飛び回る姿が目に浮かびます。

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間伐現場調査(7月31日)

2010年08月04日 | 間伐
7月17日に引き続き、また新しい間伐現場の調査に行って来ました。
17日の山主さんとは違う山主さんの現場ですが、同じ佐々良木の山林です。
今回の山主さんは、足立さんに紹介していただいた渡辺さんに紹介していただいた渡辺さんです。
我々の間伐現場は、こうして山主さんの口コミによる紹介で広がって行きます。
今回の山主さんの所有林は、およそ3ha。
幾つかに分散していますが、それでも一つ一つがかなりのまとまった山林です
この写真はその一部の現場を斜面の上から見下ろしています。
下層植生が少ないように見えるのは、3年ほど前に下刈りをしたせいです。
下刈りさえしていなければ、もっと豊かな森林になっていたでしょう。
全体に枝打ちがされていて、先代の山主さんが丁寧に手入れをしていた様子が伺えます。
ここは今きちんと間伐さえしておけば、30年程後には堂々とした森に生まれ変わる事でしょう。

午前中ではとても全ての現場は回りきれませんでしたので、とりあえず出来る所から間伐に取り掛かることにして、作業しながら再度残りの現場を確認しようという事になりました。
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