NPO法人美濃の森造隊だより

人と森林との最適な関係を探るため、岐阜県恵那市を中心に人工林の間伐をしながら森造りを行なうグループの活動報告です。

アライダシ原生林散策の後に (7月20日)

2014年07月24日 | 森林
恵那森の学校3講座目は、山内邦夫講師による岐阜県恵那市上矢作町のアライダシ原生林での森林生態系学習でした。
出発時の雲行きは幾分怪しかったものの、最後まで雨には降られず快適な散策が楽しめました。

福寿の里ふれあいセンター駐車場での出発前のガイダンスです。
参加者は全員で20名でした。


車で30分程山を登り、大船山の風力発電所の先で車を降り原生林に向かいました。
原生林の入り口はここから少し下り、飯田洞から登ってくる林道の終点に当ります。

途中で見かけたキハダの色と樹液の苦味を味わいました。
森には香りや味が際立つ樹木が沢山あって次の出会いがいつも楽しみです。


堰堤上流の水際にモリアオガエルの卵を発見。
ここから原生林に入ります。


ミズメです。
樹皮はサクラに似ているのでミズメ桜とも呼ばれるようです。
小枝からはサロメチールの香りがします。


枯れた幹にアカゲラが空けた幾つもの穴があります。
枯れ木にも他の生き物を育む役割があります。


サワラとブナが一体となって成長しています。
ただ接触しているだけなのか、細胞レベルで一体となっているのでしょうか。


異型のヒノキです。
木の又の部分にリョウブが芽を出し育ち始めています。


倒木更新したヒノキ。
倒木を苗床に幾つかの苗が同時に育ち、複雑に絡み合っています。
長い年月途切れること無く続く命のリレーを感じます。


アライダシ原生林にはこの他にもブナやサワラの大木があり、数百年の樹齢と思われる様々な種類の樹木が生きています。
大きな木の生きる森は、樹木と比べれば短い寿命で大急ぎに喧しく生きている人間を優しく大らかに包んでくれる気がします。
3時間余りの散策は、心地良い疲れと充実した満足を与えてくれました。
しかし同時に、原生林に来る途中の尾根道から見えていた北側に広がる広大な森林の姿も目に浮かんで来ました。
20年程前、この旧中津川営林署の管理する恵那山を中心とした広大な森林をあちこち歩いた経験があります。
その10,000haにもなるという広大な森林のほとんどは幼い人工林で、峠道からはあちらこちらに地肌むき出しの崩壊地が見えていました。
林道も落石や花崗岩が風化した砂で塞がれていたり、流水で深くえぐられたりした箇所があちこちに見られました。
その荒涼感さえ漂っていた森林とこのアライダシ原生林の印象があまりにも違います。
ひょっとするとアライダシ原生林は周りの森林に取り残された絶滅危惧種のような存在なのかもしれません。
広大な国有林の片隅に奇跡的に残されたたった10haの原生林の周りに、死に絶えた9,990haの広大な原生林が横たわる姿が目に浮かびます。
こうなった理由は一体何だったんでしょう。
これからどうすればいいのでしょう。
との問いがいつまでも頭から離れません。
心地良い散策の後には、微かな苦々しさが残りました。



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仮階段がほぼ完成 (7月16日)

2014年07月16日 | 森林
梅雨明け間近の気配です。
空気がたっぷり水分を含んでいても、空が青く高くなって来ました。
夏休みももう直ぐです。

川に下りる階段がほぼ完成しました。




ステップはまだ乗せただけです。
高さと幅の微調整をしてからしっかりネジ止めして一先ず完成です。
反対側にも同じような階段を取り付ければ、全て完成です。
これで川遊びが気楽に出来ます。
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野志間伐、山岡古民家片付け、板挽き、あれこれ (7月6日)

2014年07月10日 | 間伐
久しぶりに野志へやって来ました。
これから手入れをする森は、2年前に間伐した場所の更に斜面下部に広がり、下方に向かってヒノキと広葉樹の混交林から天然林へ林相が変化しています。
今日は斜面中程の混交林での間伐です。
天気は曇り。南に広がる愛知県と岐阜県の県境あたりの低い丘陵地帯が今にも雲に覆われそうです。
気温はそれ程でもありませんが、湿度が高く少し動くと体温が直ぐに上がってしまう感じです。
熱中症に注意ですね。

最初に参加者が揃うまでチェンソーの手入れをしました。
簡単に外せる部品は外してオイルと混じってこびりついた木屑を取り除き、目立てをします。

おろそかになりがちですが、道具の手入れは安全作業の第一歩ですね。

遅れていた参加者が揃った所でチェンソー、フェリングレバーを担いで急斜面を下り、今日の現場に向かいました。
途中で2年前に間伐したヒノキ人工林を観察しましたが、下層植生の回復ははかばかしくありません。
しかし人間の時間感覚で物事を見て焦ったりしてはいけません。
15分ほどして今日の現場に到着し、先ず森の様子を観察します。
ここでは広葉樹を残して劣勢のヒノキを間伐することにしました。
混交林内での間伐は、広葉樹が枝を広げていたりヒノキを抱き込んでいたりするので、人工林内での間伐のようには出来ません。
どう作業するのか悩みます。


斜面にはコナラ、カシワ、クヌギ、サクラの葉が敷き積もり、醗酵した甘い香りが漂っています。
音が吸収されるので余計に静けさが際立ちます。
こんな森の中で体を動かしていると、頭の中から余計なものが消え時間が瞬く間に過ぎ去ります。

昼食を摂っていると、いよいよ雲行きが怪しくなってきました。
そこで急遽予定を変更し、山岡に仲間が借りた古民家を片付けに行くことにしました。

玄関脇の松を剪定し


大量の瓦礫を薪にするものと始末するものにより分け片付け


家周りの草を刈り、枝の絡み合ったツゲやツバキを剪定しました。

一日の作業が終わった時、持ってきた2L近い水が無くなっていました。
手足が重く、体の芯に疲労も感じます。
この時期の旺盛な生命力の草や木々を相手の戦いは、どうも人間の分が悪い気がします。

後日、台風8号の雨がやってくる前に森の入り口で木工用の板を挽きました。


気温は30℃を超えていましたが、蚊取り線香代わりの焚火です。


川沿いにはクルミの実がたわわでした。


森はエネルギーに満ちながら休み無く静かに時が流れています。
秋が楽しみです。


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