ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

夏休み明け最初のみるみるの会をいつものはまびで開催しました

2014-09-21 12:26:52 | 対話型鑑賞
夏休み明け最初のみるみるの会をいつものはまびで開催しました


夏休み明け最初のみるみるの会をいつものはまびで開催しました。
今回のナビ担当は房野会員でした。
はまびがコレクションしている作品が展示してあるコレクション室で、秋山孝氏のポスター作品3枚を鑑賞しました。(詳細は画像参照)
参加者はリピーターの2名(男性)と日文の高橋さん、そして会員6名でした。
正田会員はパソコン持参で、対話型鑑賞のやりとりをダイレクトメモしてくれました。
房野会員の振り返りとともにその記録が届くのを楽しみに待ちたいと思います。

さて、昨日はまさに秋晴れの、清々しい一日でした。出雲から浜田までドライブの道のりは日本海がことのほか美しく、目を奪われそうになり、何度も車を停めてはカメラを取り出し、撮影しました。同じような思いの方がおられ、道端に車やバイクを停め、カメラを海に向けている姿が点々とありました。それくらいに、美しかったのです。その一端でもお届けできればと、画像をUPしていますのでご覧ください。でも、本物の美しさにはかないませんけどね。

また、いつも鑑賞後はMTGで振り返りをするのですが、女子会員が多いので、いつもお菓子には事欠きません。今回もテーブルには種々のお菓子が並べられ、心を浮き立たせながら、でも、シビアな指摘も飛び交う充実したMTGとなりました。

今回の作品はポスターということで絵画作品よりメッセージ性が高いこともあって、読み取りはかなり白熱したものになりました。また、作者の作意と読み取りが異なる(大きくは異ならないと思うのですが、作意に近いが、ややニュアンスが異なるような)場合が起こり得ると考えられますが、その点についてどうなのかということも話題にしました。しかし、ピカソも言うように、作品は作者の手を離れて作品として成立した時、みる者がいかようの解釈をしようと自由であっていいのではないかというVTS本来の考え方を支持する意見となりました。ピカソの名言「雄牛は雄牛さ!」です。
また、メッセージ性の高いポスターであれば、作者の意図するものが正しく伝わらないのであれば、それは作り手に問題があるのではないかという、ちょっとデザイナーには手厳しい発言もありました。しかし、秋山氏のポスターは単純化された形や色の中に様々な意図が隠されていることが伝わり、表面的な意匠の奥に潜むものを読み取る面白さがありました。きっと秋山氏はそこまで計算しながら余分なものを削ぎ落とし、最低限必要な要素を残し、効果的な色を用いて作品を制作したのではないかと思います。引き算の美と言ったものが作品からはうかがえました。
また、今回は秋山氏の収蔵作品50点のうち3点が選ばれ並べられていました。この3点がどのような経緯で選ばれ、並べられたのかを知ることはできません。しかし、並べられ方について、3点をすべてみた後に私たちは考えました。学芸員さんの意図は分かりませんが、私たちで3点の並べられ方を考えることで「新たな意味が生まれた」気がしました。ブログに画像がUPされているのでみていただければわかりますが、真ん中に橋と思われるものが中心にあるポスターを配置し、左右の2作品の橋渡しをしているように捉えました。配置としての橋渡しもだけれど、作品自体の橋渡しの役割も果たしているように感じました。
作品を何作か続けてみるとき、そこに何がしかの共通の意味を準備して作品を組むことを「シークエンス」とVTSでは言いますが、今回の3作品は「シークエンス」としては「作者が同じ」として学芸員さんは展示したと思いますが、並べ方、みる順番を考えてトータルとしてみたときに「意味形成」が成されたと思います。みる者たちの対話の中から「あとから意味が生まれた」と言えるのではないかと思いました。それも素敵な鑑賞なのではないでしょうか。

「鑑賞とは何か?」この問いかけに対する正解は無いのではないでしょうか。
「鑑賞」は「作品をみる」ことだと思います。でも、その行為自体に優劣や正誤があるのでしょうか?そう問われたら、「無い」と思いませんか?
「みかた」は自由なのではないでしょうか?「自由」にみていいのだけれど、同じみるなら心満たされるようなみかたができたら鑑賞は楽しいと思えるのではないでしょうか。
私は教師として、生徒にこの鑑賞の楽しさを伝え、生涯にわたって美術(作品)に関わることのできる人になってくれればいいと思い、この対話型鑑賞を続けています。同じ活動を一般の成人向けに出雲JCでも実践しましたが、大人にとっても目からうろこの体験だったようです。詳しい知識や薀蓄がなくても、自分目線で鑑賞することのできるこの鑑賞法を本当にもっと普及していきたいと強く思う秋の日の今日この頃です。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする