ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

光中学校で造形研大会前の最後の授業を行いました

2014-10-04 10:33:19 | 対話型鑑賞
光中学校で造形研大会前の最後の授業を行いました


光中学校で、授業公開前最後の授業を行いました。今回の鑑賞作品はベン・シャーンの「解放」でした。この作品は房野会員がまず自校で実践して、とても手応えのある作品であったという報告から、みるみるの会員にも広がっていったものです。私も前任校からこの作品での対話型鑑賞を2年生で行ってきました。実践し始めたころはちょうど2011東北大震災直後だったので、その情景と作品が重なって見える生徒が多く、地震のあとに津波が来たという意見が圧倒的でした。子どもたちがぶら下がっているものもヘリコプターの救助ロープだという意見が出たのも、災害救助の様子を映像で見ていた影響だと思いました。しかし、時が経ち、東北もわずかずつですが復興し始め、最初の頃の悲惨な状況の映像は目にすることが稀になり、この作品も少し冷静にみることができるようになったと思います。そして、冷静にみれば、子どもたちの髪が金色であることから、この子どもたちが日本人ではないことがわかり、描かれている場所は日本ではないと考えます。そして、この状況は何を描いているのだろうと考えるようになります。今回は、この作品を描いた作者が何を伝えたかったのか。作者の絵に込めたメッセージを考えるように促しました。
 絵の「どこからそう思うのか?」が考えられるようになってきたので、「そこからどう思うか?」という考え方ができるように、その思考法をより促すために作者の伝えたいことも視野に入れるように働きかけました。そのことで、作品をより深く考えてみることができたように思います。
 ある男子生徒は
 「この絵から僕が感じたことは、今、僕たちも野球などして遊んでいる。そしてこの子たちも遊んでいる。同じ遊んでいるでも周りの状況は明らかに違う。今は平和に遊べているが、この絵のように遊んではいるが思いっきり楽しく遊んでいる訳ではないので、他の国では戦争によってこのような状態になってしまっている。同じ年代でも経験していることは違うので、いろいろなことを知って、戦争というものの悲惨さを訴えているのだと思う。今、このように平和に生きて、楽しく遊べているこの瞬間を大切にしていこうと思った。」
という記述を残しました。絵から作者のメッセージを彼なりに解釈し、そして自分の生き方にまでも言及しています。このような鑑賞ができたことが今回何よりの成果だったと思います。作品には作者の思い(メッセージ)が込められている。そのメッセージを受け取り、そのことについて自分が作品から何を感じ、考えるのか。残された最後の研究授業でそれが実を結ぶといいと思っています。
 生徒の記述は追ってレポートします。
コメント
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