観光カリスマの山田桂一郎氏の「観光地域づくり」の講演を拝聴しました。備忘録を兼ねて印象に残った点を。
・人口減少社会では、何もしない=下りのエスカレーターに乗っていること。地域を持続的に経営・自立できるようにするには、地域内での循環を増やし、雇用を増やし、人口を維持することが大事。そのためには、地元で高い値段で買ってもらえるような良いものを地域で生産する「地消地産」が大切。
・旅は、特別な場所に行く「非日常体験」と、地元の人には当然でも訪問者には新鮮な「異日常体験」。地元の人が誇りに思う豊かな自然環境と上質のライフスタイルの体験は、旅行者にとっても飽きられない。これこそ、「住んでよし、訪れてよし」。
・交通が便利になり、グローバル化が進む中で、ある地域が選ばれるためには、そこに来ないと得られない必然性、目的、地域独自の付加価値が重要。例えば日本やスイスの「健康長寿」。来る必然性が高ければ、多少交通の便が悪くても来る。そのうえで、地域としてどのターゲットを狙うか。
・訪日外国人が増えるとともに、訪日客の宿泊数も伸び、リピーターも増えている。これはゴールデンルート以外のマイナーな地方にも訪日外客が来るチャンス。日本の歴史・文化を好み、カネも使う欧米豪の旅行者は格好のターゲット。
・「勝ち残る」より大切なのは「価値残る」こと。そのためには、地域らしさにこだわり、「どんな地域を目指すのか」という理念やビジョン、ミッション(訪れる人にどんな価値を提供するか)を地域で共有し、それに基づいたテーマやコンセプトを一貫して持ち、実現のための事業目標、戦略、行動計画を持つべき。ただし、ビジョンやテーマは、共感・感動を生むものでないと飽きられる。
・結局、自分たちの地域の質を高める努力が、結果的に人を呼び寄せることになる。そのためには、「(今、ここ、あなた)ならでは」のモノをいかに提供できるか。
・ハイエンド(最上級クラス)を引き上げれば、シャワー効果で市場は広がる。
・ミシュランのガイドブックに選ばれる基準で大切なのは、第一印象、本物の質の高さとともに、受け入れの質が高いかどうか。