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2007GW遠回り旅行記 イギリス鉄道乗り放題・前編

2007-05-17 | 旅行
(写真:夕陽のエディンバラ城)

福岡発台北・香港経由ロンドン行きの南回り格安航空券で寄り道しながらイギリスを目指す今回の旅。
最初の寄港地、台湾で1日滞在して、旧型鈍行「平快」と開業間もない台湾高速鐡路(台湾新幹線)で台湾を一回りした僕は再び飛行機に乗り、次の寄港地・香港を目指した。

2007年4月29日夕刻(台湾時間)

台湾桃園空港から香港までの所要時間は僅か1時間半程度。
今日は朝から1日中列車に乗っていたので、満足に食事をしていない。「1時間半のフライトじゃ軽食かドリンクしか出ないだろうな」と思い、念の為に桃園空港の地下にある「怪しいコンビニ」(1タミの地下駐車場脇に隠れるようにある。街中でよく見かける店と同系列チェーンなのだが、途中でゴミ収集所や職員通路のような場所を通らないと辿り着けないし、とにかく雰囲気が怪しい。面白いので桃園空港に行かれるなら一度利用してみる事をおススメする)で台湾式コンビニ弁当を買って待合ロビーで腹ごしらえ。

20:20発、香港行きのキャセイパシフィック531便は名古屋のセントレアから飛んできた飛行機。機内で「中日新聞」なんぞを読んでいると、機内食が配られた。軽食ではなくてちゃんとしたホットミール。うむむ、さっきコンビニ弁当食べたばかりなのに。。。すっかり腹一杯になって香港チェク・ラプ・コック空港に到着。

さて、2つめの寄港地・香港に着いたが、香港では滞在はせずにすぐロンドン・ヒースロー空港行きの夜行便に乗り換える
香港23:55発、キャセイパシフィック251便。香港からは他に数便の欧州行き夜行便が設定されているようで、発着案内板には欧州各都市の表示が並ぶ。何となく、国鉄ブルートレイン全盛期の九州行き列車がたて続けに発車していた頃の東京駅のような独特の雰囲気。

香港を飛び立ったヒースロー空港行きジャンボは明日の早朝5:45着。明日に備えて、機内ではよく飲みよく食べ(我ながらホントよく食べるなあ。。。)よく眠る。アルコールと低い気圧のおかげで12時間殆ど前後不覚に眠り続け、早朝のロンドン・ヒースロー空港に到着した。
「やっと着いたか…」飲み過ぎと寝過ぎで腫れぼったい眼に朝陽が眩しいぜ。しかし南回りでイギリスまでの道程は流石に遠かった。。。

2007年4月30日

さてヒースロー空港には着いたが、今夜の宿は英国北部スコットランドのそのまた北部ハイランドのインヴァネス。ロンドンからは遠い、遥か北の街だ。すぐに北を目指さねば。
ヒースロー空港からロンドン市内へは地下鉄やタクシーでも行けるが、一番速くて快適とされるのが空港特急「ヒースローエクスプレス」。空港ターミナル直下の駅から僅か15分、ノンストップでロンドン・パディントン駅へアクセス出来る。しかし、この「ヒースローエクスプレス」、片道料金が何と15.5ポンド(3700円)!!ふざけてるのかこのアングロサクソン野郎!と叫びたくなる超強気の料金設定!!
しかし、僕は最強の「伝家の宝刀」を持っているのだ。英国全土の鉄道、しかも1等車が無条件に乗り放題になる「ブリティッシュ・レイルパス」だ。もちろん、「ヒースローエクスプレス」にも有効。早速、空港地下駅で「ブリティッシュ・レイルパス」をバリデード(通用開始手続き)してぼったくり特急に乗り込む。15分で降りるのがもったいないほどのゆったりシートのファーストクラス車(通常料金だと24.5ポンド、5900円!!!)は他に誰も乗っていなくて(当たり前だ)実に快適。
さて、パディントン駅からはスコットランド方面行き特急「フライングスコッツマン」の発着するキングズクロス駅へ移動しないといけないが、地下鉄で行くとこれが初乗り4ポンド、900円!!!
…何なんだこの国は。
「ブリティッシュ・レイルパス」では地下鉄に乗ることが出来ない。仕方なく、泣く泣く900円の初乗り切符を買って(切符自販機は日本語表示対応だった)、数駅先のキングズクロス駅へ。

キングズクロス駅から乗車するのがエディンバラ行き特急、通称「フライングスコッツマン」。かつての大英帝国の名列車の伝統を受け継ぐ特急列車だ。19世紀から運行されていたブリテン島東海岸線を辿ってロンドンとエディンバラを結ぶ特急列車は鉄道発祥の国イギリスの誇りとされ、第2次世界大戦中にはロンドンがドイツ第3帝国軍の空襲を受けている最中にも定刻の午前10時にキングズクロス駅を発車したという記録が残っている(但し、発車した記録は残っているが、その後どうなったのかという記録は残っていない)。

今日は先を急ぐので10時発ではなく8時発のエディンバラ行き特急に乗車。1等車の未予約席に座る(イギリスでは指定席車・自由席車の概念がなく、予約が入っている席は指定席に、誰も予約していない席は自由席扱いとなる。これは他の欧州諸国や台湾も同じ)と、車掌が恭しくパスを拝見し、目の前のテーブルに紅茶のポットと焼き菓子が置かれ、定刻にキングズクロス駅を発車した。よく晴れた初夏の朝、見ているだけで気持ちのいい平原の牧草地の中を列車は猛スピードで北へと疾走する。一つ驚いたのが、菜の花畑が多いこと。黄色い絨毯のような菜の花畑の中を突き進んでいくのは実に爽快。自分は1等車のゆったりしたシートに座って景色を眺めながら紅茶を飲んでいるだけで、あとは列車に任せていれば目的地へと連れて行ってくれる。これは内田百先生が東海道本線の超特急「つばめ」の展望車で感じていた「阿房列車の悦楽」そのものだ。
フライングスコッツマンはダイヤ通りに英国東海岸線を駆け抜け、定刻の12時30分にエディンバラ・ウェーバリー駅に到着した。1時間程度の延着が日常茶飯のイギリスの鉄道にしては上出来の、見事な走りっぷりであった。

エディンバラでローカル列車に乗り継ぎ、インヴァネスを目指す。
フライングスコッツマンが時間通りに走ってくれたおかげで乗り継ぎ時間にも余裕があるので、駅コンコースのドラッグストアで昼食を買出し。サンドイッチと同じ棚に並んでいた寿司を買う。レジで店員のおばちゃんから何やら言われるのだが、何やらパピプペポ音の妙に強調された喋り方で何を言ってるのかサッパリ分からない。スコットランド訛りのせいか、英語に聴こえないのだ。
何と答えたものか窮していると、向こうも諦めたのか棚から葡萄の粒の入った袋を持って来た。どうやら寿司にはおまけでデザートが付く、と言いたかったらしい。
おばちゃんのくれたお釣りを見ると、イングランドのものとはデザインの違うスコットランド銀行の青いポンド札だった。

エディンバラ発インヴァネス行きのディーゼル列車は短い編成だったが、ちゃんと1等席の区画があった。流石、階級社会のヨーロッパ。もっとも、乗ってるのはフルムーン旅行らしい老夫婦ばっかり。
隣の席のじいちゃんのトランクを荷物棚から降ろしてやると何故か車内のじいちゃんばあちゃん達から拍手されたりしながら、のんびりした午後の時間を過ごす。
車窓の風景が次第にハイランドらしい荒涼としたものに変化してきた。小川の水が茶色で「スコッチウイスキー色」をしている。スコットランドの風景は秋頃の阿蘇に似てるな、と思っているうちに列車はハイランドの都インヴァネスに到着した。

英文の駅名表記の下に、スコットランド語も書かれている。ここはもはやイングランドではない、もう一つのイギリスだ。
それにしても、もう午後5時を回っているというのに陽が高い!まだ真昼の空だぞこれは。
しかし、台湾以来数十時間も乗り物に乗りっ放しでさすがに疲れた。インヴァネス駅のすぐ横にあるステーションホテルにチェックイン。ああ、一っ風呂浴びてビールでも流し込みたい気分…と思ったら、バスタブなしの部屋か、あ~あ残念。


気を取り直してシャワーを浴び、サッパリしたところで窓を開けるともう午後7時過ぎだというのに外はまだ燦燦と陽が照りつけている。部屋でじっとしているのがもったいないような気がするので、ちょっと近所を散歩してみた。
インヴァネスは小さな町なのでちょっと歩くと主な見所は一通り回ることが出来る。まずは、駅前の商店街を抜けて行った先にあるインヴァネス城へ。
城というより邸宅といった感じの小さな建物。


インヴァネス城の建っている小高い丘からは、町の中心を流れるネス川を見下ろすことが出来る。
この川を遡っていくと、あのネス湖につながっている。
ネス湖までは5キロ程しか離れていないらしいので、その気になれば歩いて行けるだろう。
以前、友人Kの妹がイギリスに留学していた時に一人でネス湖まで遊びに行って「ヒッチハイクが捉まらなくて、仕方ないのでネス湖まで歩いた」と言ってたが、きっとこの川沿いの道を歩いて行ったんだろうな、などと思う。僕もよっぽど今からネス湖まで歩こうかと思ったが、ヨーロッパ行き南回り航路での強行軍で疲れが溜まってるので断念。今日はホテルに帰って大人しく寝ようと思う。まだ旅は続くのだ、しっかり休息を取ってリフレッシュしないと。
商店街の端のドラッグストアでギネスビールを買ってご帰館。
明日はいよいよ英国最北端の鉄道駅を目指す。
(続く)


今日のはやぶさ:提供 宇宙航空研究開発機構(JAXA)
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