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遙かなり、ペーネミュンデ 2011-2012東ドイツ・ポーランド紀行 6、プラハ行き国際列車

2012-01-30 | 食べる
ベルリン中央駅 コンコースのクリスマスツリー


遙かなり、ペーネミュンデ 2011-2012東ドイツ・ポーランド紀行 5、国境の港街からの続き


Szczecin Główny駅から乗り継ぐのは、国際急行列車EC179。ALOIS NEGRELLI という愛称が付いている。
ポーランドのSzczecinからドイツのベルリン、ドレスデンを経由してチェコのプラハまで、途中2度も国境を越えて走る。




EC179に使用されているのはチェコの車輌で、まだ新車のようで車内もとても綺麗。
2等車はヨーロッパ伝統のコンパートメント(6人個室)。
見知らぬ同士の乗客が個室内で相席になるスタイルで、日本ではまず考えられない方式だが、束の間顔を合わせた乗客同士で思わず会話が弾んだりして、旅が楽しくなることもある。僕の好きなスタイルの客室である。

EC179には食堂車も連結されている。
日本では既にごく一部の寝台特急列車に残るのみの希少な存在となった食堂車だが、ヨーロッパではまだ昼間の列車にも食堂車が健在だ。


14:32、EC179は定刻にSzczecin Główny駅を発車。
すぐに食堂車へ行ってみる。




街中のカフェレストランのようなお洒落な食堂車の車内。
まだ発車直後のせいか誰も客がいないが、愛想のいいウェイトレスのおばさんが出迎えてくれた。

早速、メニュー表を見てみる。
ヨーロッパの国際列車の食堂車では大抵、その列車が経由する国・地域の名物料理をメニューに載せているので、列車の中に居ながらにして地元の味を楽しむことが出来る。



会計は列車の経由する各国の通貨で支払うことが出来るのも国際列車の食堂車ならではだが、最近はクレジットカードでも支払えるようだ。

美味しそうな料理がたくさん用意されているのであれこれ迷ったが、僕の好物のドイツ・オーストリア名物のチキンのカツレツ、シュニッツェルをオーダー。
しかし、ウェイトレスのおばさんによると「ドイツとの国境の駅を越えないと、料理を出せないのよ。ちょっと待っててね」とのこと。
ポーランド国内の走行時間はたしか30分程度だった筈なので、車窓を眺めながらのんびり待つ。



EC179はポーランドとドイツの国境と思しき駅に十数分停車してから発車。ここでもパスポートのチェック等は一切無い。
実にあっけない国境越えと、ポーランドとの別れだった。
そしてドイツに無事に戻って来られたことを祝って、ノンアルコールビールで一人、乾杯。
厨房からは、国境を越えるのを待っていたかのように、カツレツを揚げる音と香ばしい匂いが漂ってきた。


やっと出てきた、お待ちかねのシュニッツェル。
ウェイトレスのおばさんが「Bon Appetit!」と声をかけてくれたのが嬉しい。


シュニッツェルを食べているうちに、車窓はすっかり夕暮れになった。
食事を終えて会計を済ませる頃には、EC179はもうベルリン市内の高架線上を通勤客を乗せたSバーンと並んで走っていた。
ノンアルコールビールとシュニッツェル、合わせて356コルナ。これをユーロに換算して14.8ユーロ。

16:53、ベルリン中央駅に到着。





EC179はドイツ鉄道(DB)の101型電気機関車に牽かれて、さらにプラハまで旅を続ける。
プラハには何年も前に一度だけ行ったことがあるが、たしかあの時も大晦日に着いたのだった。教会の塔が並び建つ、美しい街だった。またプラハに行きたい…
などと想いを巡らせながら、EC179ALOIS NEGRELLI を見送る。


ペーネミュンデ、そしてポーランドの旅を終えて、再びベルリンに帰ってきた。
僅か2日間のことだが、多くのことを感じて多くのことを考えたせいか、随分と長い旅をしてきたような気分だ。

今夜は2011年の大晦日。ホテルにチェックインしてから、年越しの街を見に行こうか…

遙かなり、ペーネミュンデ 2011-2012東ドイツ・ポーランド紀行 7、ベルリンの蒸気機関車たちに続く