天燈茶房 TENDANCAFE

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どれからなりとおためしください

2013初夏・北欧バルト海紀行 #032:KLM869便(アムステルダム→福岡)帰国、想い出の地を飛び越えて

2013-06-30 | 旅行

#031:オランダ・アムステルダム中央駅で高速列車タリスを眺めるからの続き

アムステルダム中央駅からスキポール駅に戻って来ました。

時間はちょうど正午。わずか4時間のアムステルダム散歩でした。

スキポール駅の真上の空港ターミナルビルに上って出国手続きを済ませたら、これから福岡直通の飛行機に乗って、いよいよ日本に帰ります。

帰りの飛行機はKLMオランダ航空869便、福岡空港行き。
スキポール空港の搭乗ゲートでFukuokaの行き先表示を見ると、やはり新鮮ですね。
ヨーロッパと九州が一つにつながる時代が来たことを実感します。




帰りに乗る機材も、行きと同じKLMオランダ航空のボーイングB777-200。
でも、機体にはオランダ王室の王冠をあしらったKLMオランダ航空のロゴの代わりにasiaと記載されています。
これはKLMオランダ航空が台湾に乗り入れ運行を始めた際に中国(中華人民共和国)政府から嫌がらせ目的の政治的圧力を受けたため、それをかわす目的で一見別会社のようなダミー塗装の機材を用意してしたたかに対応した時の名残り…らしいのですが、実際には台湾線専用の機材という訳でもなく日本へも運行しているようです。




このB777-200の機体愛称はMount Kilimanjaro号、もちろんアフリカ大陸最高峰のキリマンジャロ山のことですね。
それにしても、本来は台湾用に用意された機材なのに福岡行きで、しかも何故キリマンジャロ…
KLMオランダ航空、色々とアバウトすぎるような(笑)

ところで、「キリマンジャロ」号の後ろの遥か彼方の誘導路の先に、飛行機の機体のような妙なものが見えるのが気になるのですが…

望遠で見るとこの通り。この形状はどう見ても…ジャンボジェットのボーイングB747?
でも航空会社の塗装が施されていないし機体は汚れて錆だらけ、主翼はあるけれどエンジンが見当たらず窓もありません。
よく見ると機体後部の垂直尾翼が途中で切り取られたようになっていて、筒状の別部品が取り付けられているようにも見えます。
これは一体、何なんでしょうか?
この謎のジャンボジェット機の正体をご存じの方が居られましたら、是非コメント欄に書き込んで教えて下さい!

午後3時頃、KLMオランダ航空869便はスキポール空港を離陸。




眼下にオランダの北海沿岸の街を見ながら一路、ヨーロッパの空を日本へ向かって飛んでいきます。

離陸後、機体が巡航高度に達して水平飛行になると同時にウェルカムドリンクが配られます。


そしてすぐに一回目の機内食。



チキン料理を選んだら、サフラン風味のチキンライスでした。
デザートの、チョコレートがたっぷりかかったシュークリームがいかにもヨーロッパ風で美味しかった!

食事をしているうちに、気が付けばKLM869便はバルト海に出ていました。
そのまま、バルト三国へと進路を取ります。そしてエストニアの上空へ…
座席のモニタに、旅の間にすっかり馴染んだTallinn(タリン)やTartu(タルトゥ)、そしてHelsinki(ヘルシンキ)の都市名が表示されています。



飛行機は、エストニアの平原の上を飛んでいきます。タルトゥからタリンまで、旧ソ連製のエストニア鉄道の列車で走った区間の上空を突っ切って行くようです。
わずかな期間の滞在でしたが、想い出がたくさん残った北欧バルト海地方。エストニア、そして遥かな水平線の向こうのフィンランド。
旅の最後に空の上からもう一度、想い出の地を見ることが出来ました。



ロシアの上空に出たところで、機内が消灯されて就寝モードになりました。

飲み物が配られるワゴンに、見慣れない缶が載っていたのでもらってみたらミネラルウォーターのペリエでした。
日本で売っているものとは缶のデザインがずいぶん違います。



よく見ると、ギリシャ・スペイン・ポルトガル専用品というような記載が…
何故そんな商品がオランダ発日本行きの飛行機で配られるんだ?

ガス入りミネラルウォーターを飲んでお腹がふくれましたが、さらにガッツリ夜食も頂きます。
KLMオランダ航空ではCAにリクエストすると、エコノミークラスの乗客にもこっそり夜食のカップ麺をくれるらしい…という噂を以前から聞いていて、実際に就寝時間の機内にインスタントラーメンの匂いが漂っていたこともあったので気になっていたのですが、思い切ってギャレーに行って「あの~、カップ麺とかもらえます?」と聞いてみたらホントにくれました!
KLMオランダ航空エコノミークラスの裏メニュー(?)、日清のカップヌードルの欧州バージョン品です!



気圧の低い機内用の特別品という訳ではなく、地上のスーパーマーケット等で一般的に売られているのと同じもののようですが、ギャレーのコーヒーサーバーのポットから入れてもらったお湯でも普通に美味しく出来上がりました。
嗚呼、懐かしい日本の味!
でも、真っ暗な寝静まった機内にカップ麺をすする音と香ばしい匂いが漂うので、やはり少し気恥ずかしいです(笑)


夜食のカップヌードルを食べ終えると、今度はアイスクリームが配られました。


その後、トイレに行くついでにギャレーのおやつコーナーからスナック菓子ももらってきました。
…って、どれだけ食べるんだ我ながら!


結局、散々食べまくっているうちにKLM869便はシベリアを横断してモンゴルの上空に到達してしまいました。
このまま南下してゴビ砂漠上空を通り、南側から直接九州に向かうルートを飛ぶようですね。

そして機内が明るくなり乗客が起こされて、二回目の機内食。



豆とマッシュポテトとスクランブルドエッグの、定番の朝食メニューです。
さすがにあれだけ夜食とおやつを食べまくったので胃が重いのですが、これもしっかり完食。
日本に着いても、当分は何も食べなくても大丈夫です(笑)





2013年5月4日

朝8時、KLM869便は福岡空港に着陸。日本に、九州に帰って来ました!
出発した時と同じ、国際線ターミナルビルから一番遠い駐機スポットに沖止めしたB777-200「キリマンジャロ」号に地上から別れを告げます。

…旅が終わりました。
一昨年の年末以来、四回に渡り続けてきた「鉄道と宇宙、そして音楽と芸術」 をテーマにしたバルト海沿岸の国々の旅に、ひとまずこれで終止符を打ちます。
幸いなことに、たいしたトラブルもなく毎回無事に帰ってくることが出来ました。終わりよければ全てよし…

だがしかし。
最後の最後で、終わりよければ全てよくいかなかったのです。
福岡空港に着陸する直前、CAが唐突に
「たった今、スキポール空港から連絡が入りました。手荷物預かりシステムにトラブルが発生して、この飛行機に搭載する予定だった大型の荷物コンテナが1個、スキポール空港に置いたままになっていることが判明したそうです。相当多数のお客様のお荷物が、この飛行機に乗っていない可能性がありますので、手荷物受取所で荷物が出てこないお客様は係員にお知らせ下さい」
と、とんでもない事をアナウンス。
ええ~!?なんてこったい…

結局、僕のトランクも手荷物受取所のターンテーブルからいつまでたっても出て来ませんでした。
「ああ、何てことだ。旅の最後の最後でこんな冗談みたいな理由で、長年愛用してきた大事なリモアのトランクをロストバゲージするとは…

これはもう、次の旅では最後まで問題なく上手くいくように願って、また旅に出るしかないな!!

という訳で決意も新たに、僕はまた旅に出ます。
次の旅の目的地は、アメリカ合衆国!
首都ワシントンDCに君臨する世界一の博物館「スミソニアン博物館」で、さらに深く科学と芸術の空間にどっぷりと浸ってくるつもりです。

天燈茶房TENDANCAFE 2013-2014スミソニアン博物館ツアー
2013年12月28日出発予定



それでは皆さん、年末にまた旅先でお会いしましょう!
今回の旅で出会った人々、お世話になった全ての人々に感謝を込めて。天燈茶房亭主mitsuto1976 拝

追記:スキポール空港に取り残されていたリモアのトランクは、
関係者の皆さんが頑張って探してくれたおかげで帰国の3日後に無事に僕の手許に戻りました。
(→荷物も無事に帰ってきました 2013年05月07日

2013初夏・北欧バルト海紀行 #031:オランダ・アムステルダム中央駅で高速列車タリスを眺める

2013-06-30 | 鉄道
THALYS


#030:オランダ・アムステルダム街歩き 静かな運河と混沌の路地裏の散歩からの続き

オランダの首都アムステルダムの陸の玄関、アムステルダム中央駅。
オランダ国内を走る列車はもとより、ヨーロッパ各国との間を行き交う国際列車や高速列車が発着する交通の要衝であり、とても賑やかな駅です。
次々にやって来る個性的な列車たちを眺めているだけでも楽しく、見飽きません。

スキポール空港へと戻る前に少しだけ、アムステルダム中央駅で列車を眺めて、ヨーロッパの鉄路の旅に思いを馳せることにしました。


黄色いオランダ鉄道標準色の「げんこつスタイル」の電気機関車に牽引された、ドイツ鉄道の寝台車。
モスクワやワルシャワからの寝台車も併結した、本格的な国際寝台列車です。古き良き欧州国際寝台列車の薫りを残すこんな列車が、まだ現役で運行を続けていたんですね。
ああ、いつかロシアまで乗ってみたい!


発車していくこの列車、オランダ国内線の高速列車Fyraです。
ベルギーまでの国際運行を行うべく新造した最高速度時速250キロの専用電車がトラブル続きで運行停止処分となり、代役の客車列車のみがかろうじてオランダ国内だけで運行を続けているというかなり残念な高速列車Fyra、どうやらこのまま運行終了となってしまいそうなのです。
走り去る後ろ姿が何とも寂しげに見えます…


こちらは全車2階建ての、オランダ国内線のインターシティ列車。
スキポール空港方面へも走るのですが、駅の構内アナウンスで「この列車はサプリメント(追加料金)が必要なので、乗車前にサプリメントのチケットを買っておくように」と放送していたので、ついケチって乗りませんでした。
オランダまで来ておきながら、我ながらセコい(笑)

追加料金無しで乗れるのは、このスプリンター列車。
ずいぶん速そうな名前ですが、実質各駅停車の普通列車です。



スプリンター列車は編成が短く高頻度で運転しているせいもあってか、アムステルダム中央駅では効率よく列車を捌くために一つのプラットホームに2本の編成が同時に停車していて、それが別々に発車したりもします。
プラットホームの中央付近で渡り線を使って、器用に他の編成をかわして出て行ったりするのはなかなかお見事です。

このように数多くの列車が行き交うアムステルダム中央駅ですが、その中でも一際目立つ特別な存在感を放つ列車があります。


流線型のスマートなボディにセンスの良いロゴを散りばめ、欧州メーカーのスポーツカーのような艶やかで深い真紅をまとったこの列車…
オランダとベルギーとフランスを貫き、アムステルダム中央駅とパリ北駅との間を所要時間わずか3時間半、最高速度時速300キロで結ぶ国際超特急。
高速列車タリス(Thalys)です!


かつては“陸の豪華客船”と讃えられた欧州横断特急TEEが数多く運行され、「イル・ド・フランス」や「エトワール・デュ・ノール」等の綺羅星のような名列車たちが行き交った西ヨーロッパの三都を結ぶ鉄路を、現在はファッショナブルな赤い超特急タリスが颯爽と駆け抜けています。


タリスは日中は毎時1本運転。
1時間に1回、アムステルダム中央駅のドーム屋根の下に真っ赤な超特急が現れ、周囲の乗客の視線を一身に集めます。




お昼のパリ行きタリスがアムステルダム中央駅で出発を待ちます。
タリスの車輌はフランスの超特急TGVをベースにした専用編成でいくつかのバージョンがありますが、これは丸みを帯びた車体デザインが特徴で客車が2階建ての「TGVデュプレックス」がベースになっている車輌のようですね。ただしタリスの客車は2階建て構造にはなっておらず、全ての編成が平屋構造の客車を使用しています。
ボンネット部にオランダ王室の王冠のエンブレムを戴いた、オランダ鉄道の所有する編成です。


まもなく、アムステルダム中央駅からタリスがパリに向かって出発します。
旅立つタリスを見送ることにしましょう。



…さあ、僕もスキポール空港へと戻りましょう。
あのタリスがパリ北駅に到着する頃、僕もアムステルダムを飛び立ち、北海に沿ってヨーロッパの上空を北上している筈です。

#032:KLM869便(アムステルダム→福岡)帰国、想い出の地を飛び越えてに続く