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2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 08:セビリア街歩き サンフスタ駅から旧市街へ

2014-05-18 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:Estación de Sevilla-Santa Justa~セビリア・サンフスタ駅前~


07:Siesta…微睡む南国の古都、セビリアに到着からの続き



僕の泊まっているホテルのあるサンフスタ駅界隈は、セビリアの中心市街地から1.5キロほど北東に離れています。
市街地までは路線バスで行けるそうですが、とにかくよく晴れていて気持ちがいいので歩いて行くことにしました。

サンフスタ駅は、地下に敷設されたスペイン国鉄renfeの線路に覆いかぶさって蓋をするような形で駅舎が建てられています。
駅前のロータリーを渡り、パブロ・ピカソ通り という素晴らしい名前の道路を横切って行くと、地下に潜っている線路を上から覗き込めるようになっている区画に出ました。




さっきマドリッドからセビリアまで乗ってきた超特急AVEのタルゴS112型が停まっています。


奥のトンネルから、近郊線セルカニアスの電車が出てきました。マドリッドのセルカニアスと同じタイプの流線型車輌のようです。
こうして上から見てみると、高速鉄道のAVEの線路と在来線のセルカニアスの線路とでは線路幅(ゲージ)が違うことがよく分かります。
高速鉄道の方が、在来線より線路幅が狭いのです。

これは、かつて19世紀中頃にスペインの鉄道建設が始まった当初、隣国フランスからのナポレオンの侵攻の悪夢が忘れられなかったスペイン人が、ヨーロッパ共通の標準軌(1435mm)で鉄道を敷設してしまうとフランスの鉄道網とつながった線路を使われてスペインへの軍事侵攻を再び許すことになる…と恐れを抱いた為で、結果としてヨーロッパ標準規格とは異なる1668mmの広軌がスペインの鉄道に採用されたと言われています(ただし当時の正確な資料が残されている訳ではないので、都市伝説である可能性もありますが)

ともあれ、結果としてイベリア半島の鉄道はヨーロッパ全体からは切り離された形となってしまい、鉄道による国際直通輸送が阻害されてスペインの経済発展の足を引っ張る要因にもなってしまいました。
これを解決するべく20世紀に入って以降色々な方法が検討されましたが、スペイン全土に広がってしまった広軌の鉄道網を標準軌に改軌することは膨大な予算と大変な工事作業を必要とすることから、線路ではなく列車の車輪の幅の方を変えて直通してしまおうという発想の転換でフリーゲージトレイン機能を備えたタルゴ型客車が開発され、フランスやイタリアとの直通運転を可能としていました。
この構想をさらに推進して、いっその事、将来はTGVやICE等ヨーロッパ各地の高速鉄道網と直結させることを前提としてスペインでも新しい高速鉄道を標準軌で造ってしまおう!と建設されたのがスペインの高速鉄道AVEなのです。

セビリアの街で見かけた、並んで敷かれた幅の異なる線路のある風景。
それはスペインの鉄道の歩んできた歴史、そしてスペイン近代史の縮図そのものなのです。


線路と列車を見おろしながら暫し、スペインの歴史にまで想いを馳せてしまいました。初夏の風薫る南欧の昼下がりは人にものを考えさせ、あれこれ思いを巡らせる効能まであるようです(笑)
そろそろ現実のセビリアの街角に戻り、街歩きを続けましょう。


セビリアは人口約70万人でスペイン第4位の都市であり、イベリア半島南部アンダルシア地方の中心都市です。
古代ローマ帝国時代からの悠久の歴史を持ち、ローマからイスラム、そしてキリスト教圏へと支配者が移り変わった波瀾万丈の歴史の上に成り立った街でもあります。


セビリアの街には、今もローマ時代のものと思しき石造りの建造物の遺構がそこかしこに残り、整備保存されて近代的なビルと共存している風景を見かけます。


サンフスタ駅から西向きに30分ほど歩きました。市街地中心部へと近づき、大通りを渡ると周囲の雰囲気が一変します。
この辺りがセビリアの旧市街の入り口です。

旧市街には、僕が是非見たいと思っていたものがあります。迷路のような細い路地が入り組む旧市街を、迷子にならないように時々ポケットに忍ばせた地図と路地の標識を見比べながら、さぁ路地のもっと奥まで進んでいきましょう!

09:セビリア街歩き 旧市街の「ドン・ペドロの首」に続く

今日のSL人吉(平成26年5月18日・人吉行き)

2014-05-18 | 鉄道

今朝は久しぶりにSL人吉を見てきました。
自宅から近いJR鹿児島本線の線路際の畦道から、あまり構図等も考えずにのんびり撮影してみたのですが、
案外いい感じに仕上がったのではないでしょうか?
…でも、SLの足元にキロポストが引っかかてしまったのがやっぱり気になるな。

今日はSL人吉のハチロクも走行ダイヤに余裕があったのか、速度を抑えて流すような感じで熊本方面から下ってきました。
この区間は直線が続くので、時速100キロの普通電車に追い上げられている時なんかはハチロクも凄まじく速度を上げて駆け抜けていきますからね~
やっぱりご老体のSLには、ゆっくり走る姿が似合う気がしますね。


撮影地:鹿児島本線小川―有佐間

2014初夏・スペイン鉄道音楽美術紀行 07:Siesta…微睡む南国の古都、セビリアに到着

2014-05-18 | 旅行記:2014初夏 スペイン
photo:Estación de Sevilla-Santa Justa~セビリア・サンフスタ駅にて~


06:高速鉄道でイベリア半島縦断!超特急AVEの旅からの続き


AVE2120号は最高速度300キロで快調にイベリア半島を南下していきます。
超低重心で一軸車輪の連接構造というタルゴ客車の乗り心地も、たまにカーブで強い振動を感じることはありますが概ね快適そのもの。
かつては在来線の特急列車で6時間もかかっていたというマドリッドからセビリアまでを、わずか2時間半で走破します!



車窓に背の低い木々に覆われたうねるような丘陵が現れ、やがて都市郊外の田園風景が見えてくると、もうすぐ終着駅のセビリアに到着です。





正午ちょうどに発車したマドリッドからの472キロを、途中コルドバにのみ停車する速達ダイヤで駆け抜けたAVE2120号は、所定時刻より10分ほど早い午後2時20分頃、終着駅のセビリア・サンフスタ駅に到着しました。

AVEは運行ダイヤの正確さ・時間厳守がセールスポイントの一つで、駅への到着が所定時刻より遅れると特急料金の払い戻しがあると聞いていましたが、遅れるどころか早着してしまいましたね(笑)
もっとも、実際にはAVEのダイヤ設定はかなり余裕を持たせたもので、よっぽどのことがない限り列車は遅れることは無く、むしろ今回のように早着することが当たり前になっているらしい…という話も聞きますが。


サンフスタ駅には、各方面へと発着するAVEの車輌がずらりと並んで勢揃いしています。
僕がここまで乗ってきた「あひる」顔のタルゴS112型の隣には、フランスの超高速列車TGVをベースにしたS100型が停車していました。

S100型はAVEが開業した当初から使用されている初代AVE車輌で、本来は角張っているTGVを丸っこくしたようなAVEオリジナルのデザインに仕上げられた車体は宮脇俊三先生も「その格好のよいこと!」「車体の丸みに優しさがあり、愛くるしい。」 と賞賛されています(ヨーロッパ鉄道紀行/新潮文庫より引用)
確かにこうして「あひる」と並んでいる姿を見ると、まるで九州新幹線の「かものはし」N700系と端正な和風美人の800系「つばめ型」が並んでいるようで、その風貌の善し悪しは一目瞭然…と言ってしまうとS112型とN700系の両方に失礼過ぎるかな?

←サンフスタ駅に並ぶAVE達の姿を、パノラマ撮影してみました。
サムネイルをクリックすると大きな写真が表示されますので、是非サンフスタ駅の壮観な眺めをお楽しみ下さい。



サンフスタ駅には、アトーチャ駅のように高速鉄道専用の入り口や搭乗ゲート等は設置されておらず、高速鉄道と在来線とが同じ駅構内のプラットホームに並んで配置されています。
高速鉄道の乗客の手荷物検査やチェックインは、AVEが乗り付けるホーム上で乗車直前に行われるシステムとなっているようです。





さあ、サンフスタ駅からセビリアの街に出ましょう!
駅を出て歩き始めて、最初に感じたことは…
「ああ、なんて気持ちがいいんだろう!何だか…歩いていても眠ってしまいそうだ」
そうなのです、初夏を迎えた南欧アンダルシアの昼下がりの街を吹き抜ける風の、何と薫り高く何と心地よいこと!

空は晴れ渡って太陽が強く輝いていますが陽射しはどこか優しげで、街路樹の下の木陰を歩いていると木漏れ日が眠気を誘います。
午後2時半のセビリアは、ちょうどシエスタ(午睡)の時間。
真昼の光りに包まれながらもどこか深い眠りに包まれたような街並みを歩いていると、シエスタの習慣のない日本人の僕もいつの間にか恍惚としてきて夢見心地になってしまうのでした…



心地よい木漏れ日の下をもっと歩いていたかったのですが、サンフスタ駅から大通りを越えて二百メートルも歩くとセビリアでの宿となるAyre Hotel Sevillaに到着。駅から徒歩5分、といったところでしょうか。
僕の部屋からは、さっき着いたばかりの駅が見えますが、残念ながら線路は地下に潜っている構造なので、列車の姿が見えるトレインビューの部屋という訳ではありませんが。



なかなか豪華な部屋ですが、デスクの電気スタンドがなぜか点灯しないので調べてみると、何のことは無い電源ケーブルがコンセントにつながっていないじゃないの(苦笑)
デスク周りにはコンセント自体が見当たらないし、何というか…ああ、これがスペインの流儀だなぁ、と(笑)


バスルームも清潔で気持ち良いのですが、ああ、残念な事にシャワーだけでバスタブが無い…
乾燥した土地を旅してきたし、今夜こそお湯たっぷりのお風呂に浸かりたかったのに、残念!


でも何故か、「ビデ」はしっかり設置されています。これもスペインの流儀?(笑)


チェックインの時、「ミニバーの中身はホテルからゲストへのギフトサービスだから無料で飲んでいいよ!」と説明されていたので、わくわくしながら冷蔵庫の扉を開けてみるとミネラルウォーターの小瓶が入っていました。
これは何気に嬉しい、気の利いたサービスですね。
ホテルの部屋の検分は済ませたので、早速サービスのミネラルウォーターを持ってセビリアの街に繰り出しましょう!

08:セビリア街歩き サンフスタ駅から旧市街へに続く