天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

はやぶさがうちにやって来た!(注:未完成品)

2010-06-07 | 宇宙
本日、我が家に小惑星探査機「はやぶさ」が到着しました!

老舗の模型メーカー、アオシマから発売されたプラモデルの「はやぶさ」です。
いや~、本物の「はやぶさ」の地球帰還に間に合ってよかった!www

今日到着したのは某密林系のネットショッピングサイトに発注したものですが…
実はこの後、地元の模型屋さんをハシゴして注文予約したプラモデル「はやぶさ」が続々我が家にタッチダウンする予定になっております。
思えば、何故かお店では「小学生探査機」と聞き間違えられたり、いろいろと大変だったのですよ…

しかし、「こんなこともあろうかと」と合計5機も発注してしまったプラモデル「はやぶさ」。
全機到着したら、僕の部屋ははやぶさに占拠されるなw

取りあえず今夜は、函に同封されていた組み立て説明書の川口プロマネの寄稿を読んで寝ます。

はやぶさ地球帰還まで、あと6日

翔べ、金星ロケット!~H-IIA17号機打ち上げ見送り紀行~ その3

2010-06-06 | 宇宙
打ち上げ直前の“金星ロケット”H-IIA17号機 平成22年5月18日早朝

翔べ、金星ロケット!~H-IIA17号機打ち上げ見送り紀行~ その2からの続きです

平成22年5月18日 打ち上げ予定日

夜明け前に起床。
外に出ると「雲が流れてる…」
更に悪いことに、クルマに機材を積み込んでいると「今、雨粒が顔に当たった…」
でも、この程度なら打ち上げに影響はない筈。
とにかく、打ち上げ見学場所へと急ぎます。


現場に到着。
夜明け前の暗い海から打ち寄せる波の音と、そして轟々と吹き付ける海風と横降りの雨…
打ち上げをじっと待ち続けるにはちょっときつい、かなりハードな現場です。

堪らず現場を離れ林道に避難。
やがて朝6時頃、小雨の中に朝陽が昇ります。

「雲が多いね。」
打ち上げを待つ誰もが心に一抹の不安を覚えながら見上げる、緊張感漂う夜明けです。

それでも6時44分14秒の打ち上げに向けて、カウントダウンは予定通りに進行中。
悪天候下での打ち上げにもだいぶ慣れてきた感のあるH-IIAロケットです。この程度の雨風なら、きっと打ち上がる筈。
皆、じっと耐えて「その時」を待ちます。


写真提供:しないつぐみさん

写真提供:金木犀さん

しかし…
運命は無情でした。

打ち上げ時刻が目前に迫り、誰もがこのまま金星ロケットが嵐をついて飛び立つことを確信していたであろうその時、
アマチュア無線で打ち上げの準備状況を確認していたメンバーの
「今日の打ち上げは中止!!」という声が現場に響きます。

打ち上げ6分前の、本当に直前の打ち上げ中止でした…

「仕方がないね…まぁこんなこともあるさ」

無理に打ち上げを強行して結局不具合を被るより、中止を決断して再チャレンジする事の方が遥かに良いこと。
すべては、「あかつき」と「IKAROS(イカロス)」、そしてあいのり衛星たちを無事に宇宙へ、金星へと送り出すために、この打ち上げはあるのですから。

とは言え…
やっぱりちょっと、いや相当ガッカリしますねこれは(苦笑)。
でも、これはロケット打ち上げ道楽に身を投じてしまった者の宿命。打ち上げ中止は覚悟の上なのです。


打ち上げは中止になりましたが、僕は今日までしか休暇を取得していないのでこのまま離島します。
帰る前に、宿の近くの海岸にある千座の岩屋(ちくらのいわや)に皆んなで遊びに行きました。



砂浜に半分埋まった鳥居。何か寺山修司の映画のワンシーンにこういうのが出てきたような…
この鳥居がすべて砂に埋まったら、この島は滅ぶと云われておる…なんてこと無いよね?」(ゴメンナサイ、冗談です)


これが千座の岩屋の内部です。
海蝕された砂岩の洞窟で、中に千人が座れると言われていることからこの名がついたそうですよ。


今も波に打たれ続けているので、やがて侵食され尽くして無くなってしまうんじゃないかと心配になります。



今週一杯ねばって種子島に滞在し打ち上げを待つというロケット打ち上げ見学遠征隊のメンバーに西之表の港まで送ってもらって、
「H-IIA17号の打ち上げが次の日曜日まで伸びたら、土曜日にまた来るよ。日曜まで待ってて!」
などと軽口を叩きながら高速船「ロケット」に乗船。
さらば種子島。

さて次のH-IIAロケット打ち上げは…準天頂衛星初号機「みちびき」の打ち上げか!僕が名前を付けた衛星の打ち上げは、是非見たい!

この次は必ず、「みちびき」の打ち上げをこの目で見るぞ…
また行くぞ、待ってろ種子島!!と、新八代へと向かう新幹線「つばめ」車中でひとりささやかに乾杯。
そういえば、九州新幹線の全線開業に備えてか、いつの間にか「つばめ」でも車内販売のワゴンサービスを始めたんだねぇ…


ただいま、リレーつばめ。
新八代駅で君に出迎えてもらえるのも、あと10ヶ月か…

※後日談
上空に規定以上の氷結層を含む雲が観測されたために打ち上げを直前で中止したH-IIAロケット17号機はその後、
液体燃料を抜き取った上で5月18日のうちに大型ロケット組立棟(VAB)へと戻され、機体の再整備を受けました。
そして3日後の5月21日6時58分22秒(日本標準時)、改めて打ち上げられ、
「あかつき」と「IKAROS(イカロス)」、あいのり衛星たちを軌道に投入することに見事に成功したのです

現在、「あかつき」と「IKAROS(イカロス)」は順調に金星へと向かって飛行しています。
もう、「はやぶさ」よりも遠くにいます。


(翔べ、金星ロケット!~H-IIA17号機打ち上げ見送り紀行~ 完)

翔べ、金星ロケット!~H-IIA17号機打ち上げ見送り紀行~ その2

2010-06-06 | 宇宙
機体移動を終えて射点に立つH-IIAロケット17号機 写真提供:しないつぐみさん

翔べ、金星ロケット!~H-IIA17号機打ち上げ見送り紀行~ その1からの続きです

平成22年5月17日 打ち上げ予定日前日

夜明け前に起床。
昨夜の下見からまだ数時間しか経っていませんが…
眠い目をこじ開けて、再び昨夜の場所へ。

この通行止告知看板が出ているのを見ると、打ち上げが間近に迫っていることを実感しますねぇ。

ちょうど日の出と同時に、現場に到着。
朝の光と、ひんやりとした海風の冷気が心地よい。



これからいよいよ、機体移動が始まります。
大型ロケット組立棟(VAB)内での整備を済ませたH-IIAロケット17号機が、実際の打ち上げ場所となる射点までの約500mの距離を屹立したままの状態で移動するのです!
僕はH-IIAの打ち上げはもう何度も見ていますが、この機体移動を見るのはこれが初めて。
間もなく目の前で始まるスペクタクルに、期待で胸がドキドキしてきました。このドキドキ感こそ、ロケット道楽の醍醐味!


メンバーも撮影準備完了!
さぁ、建造物の一枚扉としては世界最大の大きさを誇るVABの大扉から、これまた全長50mを超える威容を誇るH-IIAの機体が出てきました!
H-IIAロケットが、ゆっくりと動きます!これが、機体移動!!

しないつぐみさんから機体移動の一部始終を撮影した画像を提供して頂きました。
また、きみ@Licaさんが映像資料を作製しておられます。
こちらにまとめましたので御覧下さい。


翔べ、金星ロケット!~H-IIA17号機打ち上げ見送り紀行~ これが機体移動だ!

しないつぐみさん、素晴らしい画像をありがとうございました!
きみさん、ハイクオリティな映像、さすがです!
天燈茶房亭主mitsuto1976 拝


無事に機体移動を終え、射点のタワーサイドにその雄姿を現した“金星ロケット”H-IIAロケット17号機。
後はもう、明日早朝のリフトオフを待つばかりです!
写真提供:金木犀さん

宿に帰って、温かな朝食を戴いて人心地ついたところで、早速画像等のデータ処理やネット上の打ち上げ関連情報の整理を行うメンバー達。

でも、せっかくのいい天気なのでちょっと「島巡り」のドライブに出かけることに。

「ホントにいい天気だな~」
「今日、このまま打ち上がっちゃえばいいのにね」

先ず向かった先は…

中種子町にある、種子島随一の本格派ハンバーガーを食べさせてくれるお店
STEPPIN LION(ステッピン ライオン)




見よ、これぞ「正しいハンバーガー」!
大手ハンバーガーチェーンのジャンクフードとは訳が違います。
レゲエがのんびり流れる店内でハンバーガーを頬張りながらまったりするのも、種子島の至福の時間かな。
でも今日は交替でクルマの運転があるから、“液体燃料”を注入出来ないのがツライね、コロナビール飲みたかったな…
なんて言ったら、他のメンバーに怒られるかな?w

そんな僕の気持ちを知ってか知らずか、チャレンジャーなオーダーで同行メンバーの度肝を抜いたのは金木犀さん

彼が平然と「あ、僕これ好きなの」と注文したのはドクターペッパー、しかもアメリカ国内仕様缶!!
シブイぜ…金木犀さん、漢だなwww

暫し食事を楽しんだ後、ここへ。

JAXA増田宇宙通信所
先日見に行ってきたばかりのJAXA沖縄宇宙通信所と同じく人工衛星の追跡と管制を行う他、種子島宇宙センターでのロケット打ち上げの際の打ち上げ管制が行われます。
展示室もあり、見学することが出来るのですが…
残念ながら今日は打ち上げ前日ということで見学は中止とのこと。



仕方なく引き返す途中、立ち寄ったのは田畑と木立の中に忽然と佇む謎の煉瓦煙突。

これは「戸畑の煙突」と呼ばれるもので、何と先の大戦中に地元住民を中心に手作業で建設されたという増田海軍飛行場の唯一の遺構、とのことなのです。
こんな場所に軍用飛行場があったとは、今ではとても想像出来ないような田園の中にぽつんと残された煉瓦煙突は、兵舎の風呂場とも炊事所とも言われているそうです。
ちなみに真意の程は明らかではありませんが、増田海軍飛行場の滑走路?の一部は、現在JAXA増田宇宙通信所の敷地の基礎となっている…という話もあるとか。


海に出ました。
種子島の東側は、岩だらけの海岸が延々と続いています。
海の向こうに、種子島宇宙センターが見えますねぇ!


「ここで打ち上げを見ても楽しそうだね」
「僕はここにビーチパラソルとデッキチェアを置いて、冷えたビール片手に打ち上げを見たいぞ!!」

せっかくなので、そのまま種子島宇宙センターに向かいます。



今朝のままの姿でH-IIAロケット17号機が見えますね!
明日には宇宙に旅立つH-IIAロケット17号機、地球上で過ごす最後の休日です。


マスコミが報道を行う場所である竹崎展望台に登ってみました。
明日の朝はここから日本全国にH-IIAロケット17号機の打ち上げが報じられるんですねぇ。
既にカウントダウンパネルや報道各社の機材の一部も運び込まれ始めています。

種子島宇宙センター内を散策していると、竹崎射場(小型ロケット発射場)の丘の上にこんなものが!

「たけさき」こと微小重力実験用のTR-IA型ロケットのランチャです!
以前は格納庫に入れられて保管されていたのですが、格納庫が取り払われて公開されることになったようですね。

中型・大型・そしてこの小型ロケットの各射場を一望できるアングルに収めてみました。
「この画像を加工して、全部の射場にロケットがいる画を作ってみたいよね」
「その場合、大型ロケットはH-IIAでいいとして、中型は何にするの?N-I?H-I?」
「…やっぱ、GXでしょ!?」う~む…
(※諸般の事情で開発中止になったGXロケットは、中型ロケット発射場から打ち上げる構想があったのです)

南種子の町に戻ってきました。

今回も、お馴染みの打ち上げ成功祈願の横断幕が出ています。

南種子の町内各所に点在する、JAXAが公式に認定している打ち上げ見学場所を見て回ることにしました。
ロケット打ち上げ当日は射点から半径3km以内は立ち入り禁止となりますが、それより外側にあり射点がよく見える場所にいくつかのロケット見学場があります。

まずは宇宙ヶ丘公園

おお、明日の朝の準備でしょうか、テントが運び込まれていますね。
ここは場所が結構狭いから、場所取りが大変だろうなぁ…
隣の公園で野営して早朝の打ち上げに臨む猛者も居そうだし。

続いて前之峯グランドを見に行きましたが…
「あれ?ここって射場が直接見えないね」
どうやら以前、中型ロケット発射場が使われていた頃に打ち上げ見学場となった場所らしく、現在H-IIAロケットが打ち上げられる吉信射点は山の尾根に隠れてしまい見えません。
ここで打ち上げを見ると、山の影から飛び上がってくるH-IIAを見る事になります。撮影する場合は飛び出す場所に目星を付けてアングルを決めるのが大変そう…

お馴染みの長谷展望公園

僕がこれまで毎回、打ち上げを見た場所です。
ここは開けて広々してるし気持いいんだよね…
でも、射点の方角にある茂みを刈り払ってくれないかなぁ。あの茂みのせいで見学場所の右側半分からの見通しが極端に悪くなってるのが難点。

最後に、ここはJAXA公認の見学場所ではないのですが長谷展望公園の近くにあるご視察所と呼ばれる場所。

所謂VIPの為の見学場所のようで、打ち上げ当日は一般の見学者は立ち入れなくなるようです。

写真提供:金木犀さん

宿に帰って、今夜は打ち上げ前夜祭のバーベキューパーティです!
皆で大いに飲んで食べて、明日の打ち上げに想いを馳せます。

さぁ、明日はいよいよ金星ロケットが飛びたちます…!
写真提供:金木犀さん

翔べ、金星ロケット!~H-IIA17号機打ち上げ見送り紀行~ その3に続きます

翔べ、金星ロケット!~H-IIA17号機打ち上げ見送り紀行~ これが機体移動だ!

2010-06-06 | 宇宙
平成22年5月17日早朝、打ち上げを翌日に控えたH-IIAロケット17号機の機体移動が行われました。
その一部始終を撮影した写真画像をしないつぐみさんから提供して頂きましたので、まとめて掲載します。

機体移動開始時刻は早朝6時、約500mの距離を30分程かけて、H-IIAロケット17号機がゆっくりと移動します。
画像は約2分間隔で撮影したものです(ちなみに僕もレリーズ押しだけ手伝わせてもらいましたw)。



















夜明けと同時に、画面左側の大型ロケット組立棟(VAB)の大扉の中からドーリーと呼ばれる超大型の移動用車輌によって曳き出されたH-IIAロケット17号が、約500m離れた場所にある実際に打ち上げが行われる射点へと移動し、タワーサイドに据え付けられます。
だんだんと明るくなる周囲の風景に、時間の経過と移動のスケールのとてつもない大きさを感じて頂けるかと思います。

きみ@Licaさんが、機体移動を撮影して映像資料としてまとめておられます。
夜明けの感動的な機体移動の様子が実感出来る素晴らしい映像です。こちらも是非御覧下さい!
【映像資料】H-2A 17号機 機体移動一回目


しないつぐみさん、貴重な写真の提供ありがとうございました!
きみさん、さすがのクオリティの映像をありがとうございました!
 天燈茶房亭主mitsuto1976 拝


翔べ、金星ロケット!~H-IIA17号機打ち上げ見送り紀行~ その2に戻る

千里往って千里還る君の、迎え酒

2010-06-05 | 宇宙
今日は朝から、佐賀の嬉野温泉までお酒を買いに行ってきました。
買ったのはこれ。


井手酒造さんの銘酒、虎之児(とらのこ)です。

“はやぶさファン”の方々には、もう説明不要でしょう。
小惑星探査機「はやぶさ」の打ち上げの際にOP(オペレーション)班によって作製された重要資料である「性能計算書」の表紙を飾った、
宇宙科学研究所伝統の遊び心溢れる酒ラベルパロディの元ネタとなった銘酒です!

前人未到の小惑星サンプルリターンという、極めて困難なまさに「虎穴に入って虎子を得る」挑戦となった「はやぶさ(性能計算書が作製された時点ではまだMUSES-Cと呼ばれていた)」にふさわしいと、
宇宙科学研究所対外協力室長を勤められていた的川泰宣先生が山頭火の書に「虎之児」が出てくるのを思い出して採用されたという逸話は宇宙ファンの間では余りにも有名です。

物語「性能計算書」(5) | 日本の宇宙開発の歴史



嬉野の温泉街にある井手酒造さんの酒蔵を訪ねると、
店内には「はやぶさ」を打ち上げたM-V-5の写真パネルと一緒に「性能計算書」と虎之児の縁を説いた説明書がしっかりと掲げられていました。
僕が「はやぶさの、迎え酒にと思いまして買いに来ました」と告げると、
井手酒造取締役の井手洋子さんがわざわざ出てきて対応して下さいました。

「来週、いよいよ彼が帰ってきますから、みんなで集まってこの虎之児で乾杯しようと思いまして…」
と言うと井手さんも
「本当に、虎年の今年に帰ってくるなんて…これも何かの縁でしょうねきっと」
と、「はやぶさ」の帰還を大変喜んでおられましたよ。

最近、「はやぶさ」のお酒ということで買いに来られる方も増えているそうです。
「せっかくだから…」と酒蔵の見学までさせてもらえて大満足。
この次は「はやぶさファン」の皆んなで、ゆっくり嬉野温泉に泊まりがけで虎之児を飲みに来たいなぁ。

写真:井手酒造酒蔵の店内にて、井手洋子さん

井手さんはISASニュースのコラム「いも焼酎」に寄稿もされておられます。
うれしい表紙 嬉野温泉 井手酒造 井手洋子
(ISASニュース 2005.10 No.295)

井手酒造の皆さん、井手洋子さん、突然訪れたのに丁寧に対応して下さってありがとうございました。
今日買った虎之児はやぶさ性能計算書バージョン(特撰酒)、彼を出迎える祝杯として、涙と一緒に飲み干しますね…

帰宅すると、
TCM-3が正常に終了し「はやぶさ」がいよいよ地球外縁部をかすめる軌道を離れウーメラ砂漠へと進路を取ったことが発表されていました。

TCM- 3、地球外縁部からWPAへの誘導目標変更完了について
(2010/06/05 14:37 JST:はやぶさライブBlog)

もう、後戻りは出来ません。
彼は…来週の日曜日の夜、帰ってきます。

「お酒も用意したよ。安心して帰っておいで…」

翔べ、金星ロケット!~H-IIA17号機打ち上げ見送り紀行~ その1

2010-06-01 | 宇宙
平成22年初夏、種子島宇宙センターから打ち上げられるH-IIAロケット
これで17回目のH-IIAロケット打ち上げですが、今回のH-IIAはひと味違う!
従前、地球を周回する低軌道や静止軌道に総重量数トンクラスのヘビー級実用衛星を投入するという使命に特化して生まれた日本の大型液体燃料ロケット、H-IIA。
そのH-IIAが初めて月より遠い深宇宙を目指し、持てる能力を駆使して秒速11.2kmの「第二宇宙速度」まで加速して金星へと向かう惑星間軌道に探査機を投入するミッションに挑んだのです!

今回、H-IIAロケット17号機によって打ち上げられるのは、
日本初の金星探査機「あかつき」世界初の宇宙帆船・小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS(イカロス)」
そして大学の研究者が中心となって創り上げた、ちいさな「あいのり衛星」たち。

そんな何れも個性溢れる魅力的な衛星たちを載せて、地球を翔び立つ「金星ロケット」H-IIAロケット17号機の打ち上げ予定は
平成22年5月18日6時44分14秒(日本標準時)
平日の火曜日ですが、これは是非とも現地・種子島で打ち上げを見送りたい!

そんな訳で、無理をして休暇をやりくりして、種子島へ渡ったのです。
しかも今回は、インターネットを通じて知り合った宇宙ファン・ロケットファンの方々と事前に連絡を取り合って、行動を共にすることが出来ました。
天燈茶房種子島ロケット打ち上げ見学記初の合同取材特別企画(って、僕が勝手にそう呼んでるだけだけどさw)はしかし、予想外の結果に終わってしまうことになるのですが…
そんなことは知る由も無く、意気揚々と種子島へと出発します!

平成22年5月16日

早朝、熊本県八代郡の自宅から出発。普通列車に乗り、一路九州を南下、先ずは鹿児島を目指します。

今日はまだH-IIAロケット17号機打ち上げの2日前。
夕方に鹿児島港を出る種子島行き高速船に乗ればいいので、時間はたっぷり丸一日あります。
急ぐ必要もないので、九州新幹線ではなく肥薩おれんじ鉄道で、のんびり各駅停車の旅。


「ああ、いい天気だなぁ~!この調子であと2日、晴天が持ってくれるといいけど」

途中の川内でJR鹿児島本線に乗り換えて、鹿児島中央駅に到着しても、まだ昼前。
駅前から鴨池方面行きのバスに乗って、ここへ向かいます。

鹿児島市立科学館ビッグアイです。



ここに、種子島に渡ってH-IIAロケット17号機を見る前に是非、確認しておきたい展示があるのです。

その展示とは、これ!

鹿児島人工衛星(大気水蒸気観測衛星)K-Satに搭載された、宇宙へのメッセージフィルムです。


あいのり衛星」の一つとしてH-IIAロケット17号機に搭載され、「あかつき」や「IKAROS(イカロス)」と共に宇宙へと向かう鹿児島人工衛星K-Sat。
主に大気水蒸気分布観測実験などを目的に、鹿児島大学が中心となって開発した文字通りの「地元・鹿児島の衛星」です。
一辺10センチ程の、本当に小さな衛星ですが、地元の期待を一身に背負って宇宙へと旅立ちます。
そのK-Satには、メモリアルメッセージが刻まれた小さなフィルムが本体に貼付けられているのですが、募集の知らせに全国各地から集まったメッセージの中には実は僕のメッセージも含まれていたりします。
今回、打ち上げを前に、その宇宙へのメッセージフィルムの実物と同じものが期間限定で展示されるとの知らせがあったので、是非見ておきたいと思ったのです。

フィルムに刻まれた小さな文字は、さすがに虫眼鏡で拡大しても判別することは難しかったですが、脇に添えられた表面拡大コピーパネルにしっかりと僕のメッセージと名前(苗字のみ表記)を見つけて、満足。
おまけに、見知った名前も幾つか発見。これから種子島で合流する予定のあの人らしき苗字もあります。これは後で教えてあげないと!

K-Satの展示を見た後、鹿児島市立科学館を後にバスで鹿児島港へ。

種子島行き高速船の発着する南埠頭から見る、お馴染みの桜島の雄姿。
海の向こうにそびえる桜島を見ると、「さぁ、ロケットを見に行くぞ!」という気分になります。
鹿児島港16:00発の高速船「コスモライン ロケット」に乗船し、いざ種子島へ!




…例によって高速船の船内ではぐっすり熟睡し(僕は何故か高速船に乗ると眠くなるのだ…)、気が付けば種子島、西之表港に到着。

ここで、高速船「ロケット」と相前後してして到着する高速船「トッピー」で種子島入りするロケット打ち上げ見学遠征隊のメンバーと合流。
皆さんとは初対面なのですが、何しろTwitterでフォローしあって日常的に会話している方々ですので、お互いにいきなり顔馴染み状態にw
これから、僕も遠征隊のメンバーに加わり行動を共にします。今までは、種子島ロケット打ち上げ見学はいつも単独行だったので、同好の士…いやいや僕以上の情熱を持ってロケットを極めた達人である方々と一緒に行動するのは楽しみです!

「遠征隊」の方が手配して下さっていたレンタカーで今夜の宿に向かう途中、
「あっ!月と金星が…」

写真提供:金木犀さん

「明後日の朝、『あかつき』や『IKAROS(イカロス)』はあそこに向かって飛んでいくんだねぇ…」

食料調達の為に立ち寄った中種子のスーパー「Aコープ」の駐車場で、暫し月に寄り沿う宵の明星を見上げます。
それにしても、さすが「宇宙クラスタ」の方々。
いきなりゴツイ一眼レフのカメラや三脚などの機材がセットされ、そのまま駐車場の片隅で「月と金星観望・撮影会」がスタートしてしまいました(笑)

写真提供:金木犀さん

ロケット打ち上げ見学遠征隊の種子島での定宿である民宿に到着後、
振舞われた豪勢な海鮮鍋(さすが種子島!海の幸が美味い!!)に舌鼓を打ち、さてもう遅いし船旅で疲れてるからやすむか…
とは決してならないのがロケットファンw
再びレンタカーに乗り込み、種子島宇宙センターの大型ロケット発射場を望める場所に向かいます。時刻はもう午前2時過ぎ…
 深夜の大型ロケット発射場を睨み、夜が明けたら行われるロケットの「機体移動」の下見です。


遥か数キロ先に、大型ロケット組立棟(VAB)の巨大な建屋に灯された照明が見えます。
あの中に収められているH-IIAロケット17号機が、夜明けと共に実際に打ち上げられる射点へと移動するのです。
僕のコンパクトデジカメでは全く何も写りませんでしたが、ちゃんとした一眼レフのカメラで射点を撮影するとこのような感じになります。

写真提供:金木犀さん

夜明けまであと数時間。
一旦、宿に戻って仮眠を取ります。お疲れ様、おやすみなさい…

翔べ、金星ロケット!~H-IIA17号機打ち上げ見送り紀行~ その2に続きます