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2013初夏・北欧バルト海紀行 #018:フィンランド・ヘルシンキ中央駅で国際列車を眺める

2013-06-05 | 鉄道

#017:フィンランド・ヘルシンキ街歩き トラムに乗って鉄道巡りからの続き

さて、昨日に引き続き今日もヘルシンキ中央駅にやって来ました。
昨日は主にアールヌーボー様式の駅舎の建築デザインを眺めましたが、今日は駅にやって来る列車たちをじっくりと見ることにしましょう。


ちょうど到着したこの列車、イタリアの振り子制御技術を用いた高速列車「ペンドリーノ」です。


ヘルシンキと、フィンランド各地方都市とを結ぶ特急列車として走るペンドリーノ、最高速度は時速200キロ以上で、車内の居住性もなかなか快適だとか。
車輌はイタリアのFIAT製ですが、なんだか「やんちゃ坊主」のような愛嬌のある顔をしています。
ちなみにヘルシンキ中央駅には、ロシアのサンクトペテルブルグとの区間を最新型の振り子車輌で運行される国際特急「ALLEGRO」も発着していますが、今の時間はその姿を見ることはできませんでした。

そして時刻は正午。
ヘルシンキ中央駅に、とある大物がやって来ました。
ロシアの首都モスクワから一晩かけて走ってきた、寒い国から来た強面の凄いヤツです…
















な…長い!!20輌ちかく寝台車を連結しています!
そして最後尾のこの灰色の異様な車輌…ロシアの軍用装甲列車かッ!?

…もちろん、軍用列車などではありません。
ロシア製の厳つい車輌を連ねた長大編成を白昼のヘルシンキ中央駅に我が物顔で横たえたこの列車、
モスクワからフィンランドに乗り入れる国際寝台特急「トルストイ」号です!!


ロシアが世界に誇る文豪の名を戴くこの列車、実際にロシアが威信をかけたかのような豪華列車なのです。
車内は古き良き欧州横断国際寝台列車の黄金時代を彷彿とさせる優雅なつくりで、VIP御用達とも噂されるシャワー付きの1等個室や本格ロシア料理が味わえる食堂車もあり、まさに北のオリエント急行。

…少々、大時代的な感じがしなくもありませんが、今時珍しいほどの格式の高さを感じさせる「大物」と呼ぶのにふさわしい列車なのです。

寝台車には各車輌に専属の“乗客掛” も乗務しているようで、ロシア鉄道の制服を着こなした女性車掌さんがデッキで乗客をお見送りしています。



ちょっと豪華列車の車内を見せてもらいたい気がしますが、あの車掌さんから規律正しくにべもなく断られるだろうなぁ…(苦笑)


車内は見られませんが、その分車体を隅々まで見ておきましょう。
「トルストイ」号に使用されている車輌はつい数年内に製造されたばかりの新しいものばかりですが、その車体の造りは何となくソ連の薫りがします。
車体の塗装を旧共産圏標準色の濃緑に黄帯に塗り替えれば、そのまま冷戦期のソビエト連邦の列車に見えそうです。


フィンランド国内で「トルストイ」号の先頭に立つのは、明るい色に塗られたフィンランド鉄道の電気機関車です。
重厚な灰色と紅色の「トルストイ」号の編成にはあまり似合わない感じがしますが、実はこの機関車も元を正せば旧ソ連から輸入されたもの。
「トルストイ」号は真昼のヘルシンキ中央駅に突如現れた、「名実ともにロシアそのもの」の凄い列車でした。

「トルストイ」号が上野駅に到着したブルートレインと同じように推進回送で基地に引き上げていくのを見送っていると、隣のプラットホームからは2階建て客車で編成された地方都市行き特急「IC2」が発車していきます。

客車列車はドイツのように客車にも運転室があり推進運転も行うプッシュプル式ではなく、機関車による牽引専用のようですね。


停車中の列車を間近で見て気がついたのですが、フィンランド鉄道の車輌には緑色の帯の部分に鳥が描かれています。
しかも、この鳥さんにこにこ笑っていますね。なんとも微笑ましいフィンランドの列車です。

ロシアからの国際寝台列車から国内のローカル列車まで、色々な列車をじっくり眺めることが出来ました。
大満足気分でヘルシンキ中央駅を後にします。
…さて、これからどこへ行こうかな?


ヘルシンキにはメトロ(地下鉄)も走っています。
メトロにももちろん公共交通乗り放題パスで乗れるので、とりあえずメトロに乗っちゃいましょう!




ヘルシンキのメトロは世界最北の地下鉄だそうです。
もっとも、地下鉄と言っても大部分では地上を走っていて、車窓には港とバルト海の美しい風景が広がる楽しい地下鉄でした。

適当な駅で降りて折り返して、ヘルシンキ中央駅に戻って来ました。
さて、これからどうするか…

とりあえず、適当に駅の近くを散歩しましょうか?またトラム(路面電車)に乗って!

#019:フィンランド・ヘルシンキ街歩き 港の市場とウスペンスキー大聖堂に続く


2013初夏・北欧バルト海紀行 #017:フィンランド・ヘルシンキ街歩き トラムに乗って鉄道巡り

2013-06-04 | 鉄道

#016:OPERA NIGHT フィンランド国立オペラ劇場“Ooppera”からの続き

2013年5月1日


ヘルシンキでの一夜が明けました。
今日は夕方の船に乗るまで、ヘルシンキの街歩きを楽しもうと思います。
ホテルをチェックアウトしたら荷物をフロントに預けて、国立オペラ劇場前の停留所からトラム(路面電車)に乗って出発です!

ヘルシンキのトラムは、街中をくまなく網の目のように結ぶいくつもの系統の路線が複雑に組み合わさっていて、慣れればトラムどうしを乗り継いでヘルシンキの街のどこにでも行くことが出来そうです。
でも慣れない旅行者は、路線図を見ながらどの系統の路線に乗ればいいのか確認するだけで一苦労かも…

迷路のような路線図を見ていると僕も頭がこんがらがってきたので、適当に停留所にやって来たトラムに乗り込みました。
行く先は決めずに、トラムで自由気ままなヘルシンキ散歩と洒落こむことにしましょう。




トラムの一番前にある運転席。
僕は昨日買ったヘルシンキ市内エリアの公共交通2日間乗り放題パスを持っていますが、もしチケットを持たずに乗ったら先ずはここで運転士さんからチケットを買いましょう。


トラムの車内はこんな感じ。
トラムの車輌には新旧様々な形式がありますが、どの車輌もきれいに整備されていて快適です。
ヨーロッパ諸国の公共交通では時たま見かける、不愉快な落書きや設備の破損が一切無いのが気持ちいいですね。フィンランドの人々の心の豊かさの現れでしょうか。
ちなみにヘルシンキの公共交通は日本と同様にICカード乗車券が導入されていて、車内には読み取り機も設置されています。通路右側にある、0~3の数字が並んだ機械がそれです。


そして、こちらがトラムの一番後ろ。運転席も何もありません。
実はヘルシンキのトラムの車輌は、全て一方通行。編成の一番前にしか運転席が無いのです。
それでは、終点の停留所に着いたらどうやって折り返すの?
それは、後ほど解ります…

ともあれ、運転席の無い最後尾の窓は街の景色を眺めるのに最適です。
ここに立って、ヘルシンキのトラムの車窓を楽しみましょう。



国立オペラ劇場前から乗ったトラムは、街の西側へと向かう4系統の路線でした。
4系統はヘルシンキの郊外をバルト海の入り江に沿って走り、海に行き当たる場所で終点となり折り返します。

さあ!一方通行のトラムが折り返しますよ。どうやって車輌の進行方向を逆向きにするのか、その一部始終をご覧あれ!



わかりましたか?
終点に着いたトラムは、路地裏の区画をぐるっと一周りして元来た線路と合流しています。
ループ線で進行方向を変えたのです。
ヘルシンキのトラムは終点は全てループ線になっているので、街中あちこちでトラムが路地裏をぐるぐる廻っている光景が見られるという訳です。何ともユーモラス!


海の近くでぐるっと廻って、街の中心に戻ってきた4系統のトラムから、街の北側を横切る7A系統のトラムに乗り換えます。
ヘルシンキは街の中でも、空がこんなに広いんですね。青く突き抜けた透明感のある空がとにかく爽快です。

路線図を見ると、この先でフィンランド鉄道のヘルシンキ近郊線の駅の近くを通るようです。
僕の持っている公共交通2日間乗り放題パスは、トラムだけでなくフィンランド鉄道の近郊線にも乗ることが出来ます。
せっかく乗れるのだから、フィンランド鉄道にも乗ってみましょう。
トラムの走る道路の先の橋の向こうに鉄道駅らしき建物が見えたので、そのまま停車した停留所で7A系統のトラムから降ります。


鉄道駅へと向かう橋は、どうやら昔の操車場の跡地をそのまま跨ぐ陸橋だったようです。
橋の下では、広大な操車場跡地を整地して再開発する工事の真っ最中のようですね。


橋の上からヘルシンキ中央駅方面を望むと、わずかに残された線路と機関区の跡と思われる扇状の建屋、そして置きっ放しの鉄道車輌が見えます。
しかし、そこにあった車輌を目を凝らしてよく見ると何と…

蒸気機関車です!!西部劇に出てくるような古典的なアメリカ風スタイルの蒸気機関車がいます!



蒸気機関車の他に、丸っこくて可愛らしいレールバスも何輌もいます。
保存車輌…にしては雨ざらしで状態が悪いですね。放置されていると言った方がいいような…
一体何のためにここに置かれているのでしょうか?
ひょっとしたら、機関区跡の建物を鉄道博物館として整備する計画があるのかもしれません。
このまま朽ち果てるようなこと無く、この次にヘルシンキに来た時にはピカピカに磨き上げられて博物館に納まっている蒸気機関車やレールバスたちと再会できるといいのですが…

何となく心配で心残りですが、蒸気機関車たちに別れを告げて駅に向かって歩き出します。
橋の向こうから、さっき降りた7A系統の逆方向を走る7B系統のトラムがやって来ました。



走り去るトラム。さっきまで、あの最後尾の窓から悠々と街を眺めていました。


橋の下の線路を、ヘルシンキ近郊線の電車が通過します。
この橋からはトラムと近郊線の両方が見られるので、鉄道好きにはたまらない「見る鉄」スポットだなぁ(笑)

駅に着きました。ヘルシンキ中央駅のすぐ隣りのPasilaという駅です。
駅舎のすぐ前にもトラムの停留所があったので、どうやら一つ手前で降りてしまったようですね。でも、そのおかげで謎の蒸気機関車たちにも出会うことが出来ました。



Pasila駅にはひっきりなしに近郊線の電車がやってきます。トラムの親玉のような、近代的で軽快な低床電車です。


わずか数分でヘルシンキ中央駅に到着。ほんの僅かな時間でしたが、フィンランド鉄道の列車にも乗れたので満足しました。
ヘルシンキ中央駅には近郊線の快適電車がずらりと並び壮観です。

#018:フィンランド・ヘルシンキ中央駅で国際列車を眺めるに続く

イプシロンロケットの1段目、内之浦の国道上で立ち往生…

2013-06-02 | 宇宙

今年8月22日に鹿児島県の内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられる予定の、
新型固体燃料ロケット「イプシロン」の機体1段目が現在、内之浦の国道448号線上で動けなくなっています…

イプシロンロケットの1段目は、種子島宇宙センターから打ち上げられるH-IIA/H-IIBロケットで使用される固体ロケットブースター(SRB-A)と基本的に同じもの。
種子島宇宙センターで固体燃料を充填され、輸送船で送り出されたイプシロンロケットの1段目は昨日(平成25年6月1日)午後に内之浦漁港に陸揚げされて、96個ものタイヤを装備したトランスポーターと呼ばれる特殊輸送車輌に載せられ、今日未明からは内之浦の町から数キロ離れた山の上にある内之浦宇宙空間観測所まで一般の国道を通って搬入する作業が行われていました。
しかし、内之浦宇宙空間観測所までの長く急な坂道の負荷は予想以上だったようで、とうとうトランスポーターがダウンして動けなくなってしまったようです。

今朝「イプシロンが立ち往生」のニュースを聞いて、心配で居ても立ってもいられなくなったので、ちょっと内之浦まで様子を見に行って来ました。


熊本県八代郡の自宅からマイカーで、高速道路経由で内之浦までは約3時間半。
内之浦宇宙空間観測所入り口に向かう国道448号線の山道を登って行くと…


イプシロンロケットの1段目を積んだトランスポーターが、国道の片側車線をふさぐ形で停まっています。
現場では道路が片側交互通行となり、警備員の方が誘導にあたっておられました。
ちょうど規制区間の端となる場所に小さな休憩所兼駐車場があったのでそこに自分のクルマを停めて、警備員の方に許可を頂いてから路肩の安全な場所に立って、現場の様子を撮影しました。


望遠で、イプシロンの1段目を撮影。日通のオレンジ色に塗装された、夥しい数のタイヤを持つトランスポーターの上に積まれたブルーシートを掛けられた円筒がイプシロンの1段目です。
トランスポーターのエンジンは既に止まっており、完全に静止しています。
油圧関係のトラブルが発生したと報道されていますが、重い固体燃料を詰め込んだ1段目を載せて坂道を延々と登ったせいでオーバーヒートしてしまったのではないでしょうか。


国道上のイプシロンロケットの横を、クルマが次々に行き交います。
この場所は内之浦宇宙空間観測所の入り口の門から本当にすぐ手前、門から見える場所です。
本当にあと一息、あと一歩というところでトランスポーターは力尽きてしまったんですね…
可哀想に。

JAXAの発表によると、現場からトランスポーターを動かせないのでこのまま路上で部品交換と修理を行うとのこと。
だいたい4日程度で修理完了の見込みで、8月22日の打ち上げ予定には支障は無く済ませられるだろうとのことです。
人工衛星を軌道上に運ぶ大型の固体燃料ロケットとして、以前活躍していた先輩のMVロケット以来、実に7年ぶりに内之浦宇宙空間観測所から打ち上げられるイプシロンロケット。
ようやく帰ってきた内之浦の地で、打ち上げ場所を目前にまさかの足止めとなってしまいましたが、この位のトラブルは物ともせず笑い飛ばして、夏には見事なロケット雲を内之浦の青空に描いて欲しいと思います。

がんばれ、イプシロンロケット!!



せっかく内之浦まで来たので、宇宙空間観測所の中を見学していくことにしました。
今日はどんより梅雨空で、34mパラボラアンテナ“大うっちーさん” も雲を見上げています。


昨年、除幕式が行われた糸川英夫先生の像にも、ご挨拶。
ようやく、糸川先生に内之浦でお会いすることが出来ました。

ついでに、イプシロンロケット打ち上げ時の公式見学場所となる宮原ロケット見学場にも下見で立ち寄ります。



あと2ヶ月半後、8月22日にはここは全国から集ったロケットファンで埋め尽くされるんでしょうね…


宮原から見える、M台地イプシロン射点。
もうすぐ、あそこからイプシロンロケットが翔び立ちます!

また来るぞ、内之浦!