2009年6月4日、5日に行われる肝臓学会で、C型肝炎問題を考える会で、美馬先生が集めて作った抄録が口頭発表になりました。川西が発表してきます。第一日目の最初のセッションです。会場に来れる方は是非来て見守って下さいね。
神戸での肝臓学会
http://www2.convention.co.jp/jsh45/
です。
セッション7
C 型肝炎:その他
第1 日目6 月4 日(木) 第7 会場(偕楽3) 8:50~9:30
司会宇都浩文鹿児島大学大学院医歯学総合研究科消化器疾患・生活習慣病学
O―35 北海道空知支庁M 地域におけるC 型肝炎の疫学調査報告
北海道医療生活協同組合札幌緑愛病院肝臓センター川西輝明
【目的】北海道健康づくり財団の統計によると肝癌標準化死亡率が男女とも2倍以上の所は空知支庁M地域、渡島支庁T地域、上川支庁A地域の3ヶ所である。そこで我々はその原因を明らかにするため疫学調査を行ったので結果について報告する。
【対象】2006年11月から2007年10月迄の1年間行った、M地区に居住する20才以上の輸血歴のない住民179名。全住民の11%であった。
【方法】M地区の老人会の協力と新聞折り込みチラシで協力者を募った。調査内容は、問診、採血を行い、肝機能検査、AFP、B型・C型肝炎ウイルスマーカー、HCVキャリアの場合はゲノタイプも検査した
【結果】HCV抗体陽性率は69名38.5%で、HCV-RNA陽性者は56名81.2%であった。M地区に戦前戦後を通して存在したA,B,Cの3医院とC型肝炎汚染の相関関係についてχ2乗独立性検定を実施し、3医院とその他の医療機関との間に全体として有意差を認めるため各群の多重比較を行った。M地区医院の受診歴別HCV抗体陽性率はA医院70.4%、B医院40.0%、C医院6.9%、その他7.4%で、A医院及びB医院は他の医療機関に比較し有意に感染率が高かった。HCV抗体陽性者69名中A医院に受診歴のある者は57名82.6%であった。また、1950年10月保険適応になったアロビラザルブロ(静注、中外)はM地域で人気があり「ホット注射」と呼ばれ多用された経緯がある、「ホット注射」とHCV抗体陽性率の相関関係について検討を行った。結果、「ホット注射」を受けた73名中53名72.6%がHCV抗体陽性であった。M地区のHCV抗体陽性者の献血率は69名中17名24.6%、HCV抗体陰性者の献血率は110名中41名37.3%で有意差はなかった。
【考察】M地区のC型肝炎汚染は特定の医療機関における医療行為とよく相関し、
C型肝炎は医原病であると考えられた。1945年には英国保健省が消毒不十分な注射器の使用により肝炎が多発することを世界に向けて警告したが、我が国では戦後も全国各地で注射器肝炎が多発した。C型肝炎の感染予防対策は、当時不明であったウイルスによるものであり周知徹底されていたとは言えず、その間に献身的な医療行為も介在したことは悲しい事実である。現在、肝硬変肝癌となる患者が増大していることからも、国による感染者への積極的かつ早急な対策が求められる。
【結語】肝癌多発地区における、C型肝炎ウイルスの感染に医療行為が介在していることが証明された。当時の医療水準からも全国各地にこのような地区があり、医療行為が介在したことから肝炎対策は、国により早急な対策として実施される必要がある。
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C 型肝炎:その他
第1 日目6 月4 日(木) 第7 会場(偕楽3) 8:50~9:30
司会宇都浩文鹿児島大学大学院医歯学総合研究科消化器疾患・生活習慣病学
O―35 北海道空知支庁M 地域におけるC 型肝炎の疫学調査報告
北海道医療生活協同組合札幌緑愛病院肝臓センター川西輝明
【目的】北海道健康づくり財団の統計によると肝癌標準化死亡率が男女とも2倍以上の所は空知支庁M地域、渡島支庁T地域、上川支庁A地域の3ヶ所である。そこで我々はその原因を明らかにするため疫学調査を行ったので結果について報告する。
【対象】2006年11月から2007年10月迄の1年間行った、M地区に居住する20才以上の輸血歴のない住民179名。全住民の11%であった。
【方法】M地区の老人会の協力と新聞折り込みチラシで協力者を募った。調査内容は、問診、採血を行い、肝機能検査、AFP、B型・C型肝炎ウイルスマーカー、HCVキャリアの場合はゲノタイプも検査した
【結果】HCV抗体陽性率は69名38.5%で、HCV-RNA陽性者は56名81.2%であった。M地区に戦前戦後を通して存在したA,B,Cの3医院とC型肝炎汚染の相関関係についてχ2乗独立性検定を実施し、3医院とその他の医療機関との間に全体として有意差を認めるため各群の多重比較を行った。M地区医院の受診歴別HCV抗体陽性率はA医院70.4%、B医院40.0%、C医院6.9%、その他7.4%で、A医院及びB医院は他の医療機関に比較し有意に感染率が高かった。HCV抗体陽性者69名中A医院に受診歴のある者は57名82.6%であった。また、1950年10月保険適応になったアロビラザルブロ(静注、中外)はM地域で人気があり「ホット注射」と呼ばれ多用された経緯がある、「ホット注射」とHCV抗体陽性率の相関関係について検討を行った。結果、「ホット注射」を受けた73名中53名72.6%がHCV抗体陽性であった。M地区のHCV抗体陽性者の献血率は69名中17名24.6%、HCV抗体陰性者の献血率は110名中41名37.3%で有意差はなかった。
【考察】M地区のC型肝炎汚染は特定の医療機関における医療行為とよく相関し、
C型肝炎は医原病であると考えられた。1945年には英国保健省が消毒不十分な注射器の使用により肝炎が多発することを世界に向けて警告したが、我が国では戦後も全国各地で注射器肝炎が多発した。C型肝炎の感染予防対策は、当時不明であったウイルスによるものであり周知徹底されていたとは言えず、その間に献身的な医療行為も介在したことは悲しい事実である。現在、肝硬変肝癌となる患者が増大していることからも、国による感染者への積極的かつ早急な対策が求められる。
【結語】肝癌多発地区における、C型肝炎ウイルスの感染に医療行為が介在していることが証明された。当時の医療水準からも全国各地にこのような地区があり、医療行為が介在したことから肝炎対策は、国により早急な対策として実施される必要がある。
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