宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

大質量星が生まれるメカニズム

2014年03月24日 | 宇宙 space


国立天文台のVERAを含む
JVN(Japan VLBI Network)を使ったメタノールメーザー観測により、大質量星形成領域“Cep-A”にある、
電波源“HW2”の固有運動が測定されました。

測定の結果、
電波源の周囲のガスが、回転しながら少しずつ中心に落ちていくようすがとらえられたんですねー




“Cep-A”は、地球から約2230光年の距離にある大質量星形成領域で、
電波源“HW2”は、“Cep-A”にある若い大質量星のひとつです。

今回の研究では、
2006~2008年にかけ、3回にわたって“HW2”のモニタリング観測が行われています。

そして、29のメタノールメーザースポットを観測した結果、
測定した固有運動は秒速0.2~7.4キロ、
回転および落下速度は、それぞれ0.5プラスマイナス0.7キロと、1.8プラスマイナス0.7キロでした。
観測したメタノールメーザーの固有運動。
色付きの点が観測スポット(色はメーザーの速度を示す)、
円錐は周辺スポットを平均した固有運動、
点線の楕円はメーザースポットが分布している円盤を描いたもの。

これらの動きは、電波源“HW2”を中心とした半径680AU(1AU=太陽と地球間)の周囲を、
回転しながら落下している可能性があるんですねー
観測結果から算出された降着円盤モデル。
固有運動を示す矢印が回転しながら中心に向いている。

太陽の10倍ほどもある大質量星の作られ方は、
星同士がぶつかって合体して大きくなるモデルや、星の周りのガスが回転しながら落ちて(集まって)いくことにより大きくなるモデルが考えられています。

今回の観測結果は、後者に当てはまる結果になっていて、大質量星が生まれるメカニズムを解明する手がかりになるようです。