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モバライダー mobarider

チェリャビンスク隕石から、大規模天体衝突の証拠を発見

2014年06月01日 | 宇宙 space
2013年2月にロシア・チェリャビンスク州に落下した隕石から、
天体衝突に伴う超高圧・高温な条件で作られるヒスイ輝石が、世界で初めて発見されました。

地球衝突前に大規模な天体衝突があったとみられていて、チェリャビンスク隕石の軌道進化を推測できるかもしれないんですねー
チェリャビンスク隕石の電子顕微鏡写真。

天体衝突によって隕石の一部が、脈状に溶解した部分を衝撃溶融脈といいます。
今回、チェリャビンスク隕石の衝撃溶融脈の内部を、顕微鏡で詳しく調べた結果、
斜長石からヒスイ輝石が生成している様子が見つかりました。
ヒスイ輝石周囲の拡大画像。
溶融した斜長石からヒスイ輝石が、
結晶化していて、ヒスイ輝石の周りの部分は、
急冷固化した非結質(ガラス)が見られる。

斜長石は、地球や隕石を構成する主な鉱物の一つで、
惑星内部や天体衝突のような超高圧・高温な条件で、ナトリウムに富む斜長石がヒスイ輝石とシリカに分解。
そして、溶融した斜長石を冷却するとヒスイ輝石が結晶することになります。

チェリャビンスク隕石は、内部に至るまで溶融した部分を多く含むので、
地球に落下する前に、大規模な天体衝突を経験したと推測されていたんですねー

ただ、その明確な証拠がなかったのですが、ヒスイ輝石の発見で天体衝突があった可能性が高まりました。

チェリャビンスク隕石のように、地球の近傍を通る軌道を持つ天体は、地球近傍天体と呼ばれています。

これらの天体は、もともと火星と木星の間にある小惑星帯に存在していたものが、
何らかの作用により地球に接近する軌道を持つようになった、と考えられていて、
その要因の一つとして他天体との衝突が挙げられています。

地球近傍天体は、将来地球に衝突する可能性があるので、
起源や軌道の進化を調べることは、将来起こりうる天体衝突の予測に重要になります。

チェリャビンスク隕石については、地球衝突の際の軌跡がよく記録されていて、軌道計算が精確になされることが期待されるんですねー

今回確定された衝突イベントを組み込んだ数値計算を行うことで、チェリャビンスク隕石がどのような軌道進化を辿ったのか?
推測できる可能性はあるようですよ。