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ロシアの最新ロケットは、6月25日に初打ち上げ

2014年06月08日 | 宇宙 space
ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)が、新型ロケットのアンガラ1号機を、6月25日にプレセツク宇宙基地から打ち上げると発表しました。
開発が始まって約20年、これでロシア連邦初の新型ロケットがいよいよ誕生することになるんですねー
アンガラは、現在活躍中のプロトンやゼニートの後継機となるロケットで、
モジュール式であることが最大の特長になっています。

アンガラの第1段はユニバーサル・ロケット・モジュールと呼ばれ、
これを束ねることで、打ち上げ能力を高めたロケットを、簡単に造ることができる仕組みになっています。

また、それに合わせて第2段を換装したり、第3段を追加で装備することで、
様々な大きさ、質量の人工衛星に対応することができるんですねー
なので、小型、中型さらに超大型のアンガラロケットが登場してくることになります。

そして、完全なロシア製であることが、もう1つの特長になっています。
プロトンはロシアのロケットなんですが、一部の部品をウクライナから輸入。
またゼニートは、エンジンはロシア製ですが、ロケット自体はウクライナで製造されています。

かつてウクライナは、ソビエト連邦の支配下にあったので何の問題もありませんでした。
ただソ連崩壊後には独立国家になり、今ではロシアとウクライナの関係悪化もあり、
次第にロケットの製造や運用に、支障を来すようになっていました。

それを受け、ロシアはプロトンの改良型として、ウクライナ製の部品を極力減らしたプロトンMを開発。
でも、ゼニートではそうもいかず、ロシアからのエンジンの供給や、ウクライナでの製造で遅れが度々発生しているんですねー

ソ連崩壊後に、ロシア単独で製造・運用ができるロケットの開発が決定されたのは、
意外に早く1992年のことでした。
でも、開発は思うように進まず、90年代中にはモックアップができていた程度で、
ロケットエンジンの燃焼試験が始まったのも、2001年になってからでした。

2004年には開発資金を得るために韓国に接近、
アンガラの第1段は、韓国の羅老ロケット(KSLV-1)の第1段として使われることになります。
つまりアンガラは、アンガラとして打ち上げられたことはないのですが、第1段に限っては羅老を通じて3度の飛行経験を持っています。

今回の1号機の打ち上げで使われるのはアンガラ1.2と呼ばれ、
いくつかあるアンガラの構成の中で、もっとも打ち上げ能力が小さい機体になります。
また今回の機体には、初打ち上げを意味するPPという文字が加えられ、アンガラ1.2PPという名前が与えられています。

ただしアンガラ1.2PPは、実際の運用で使用されるアンガラ1.2とは多少異なっていて、
通常のアンガラ1.2が全体的にスラリとした姿なのに対し、アンガラ1.2PPは第2段が異様に膨らんだ、やや不恰好な姿をしています。

これは第2段に、アンガラA3やA5といった、
大型ロケットの構成で使われるのと同じ物を搭載しているからで、
その理由については明らかにされていないんですねー
たぶん、アンガラA3やA5用の第2段の飛行データを取るためでしょうね。

アンガラ1.2PPの打ち上げは弾道飛行になり、人工衛星を軌道に乗せることはしないそうです。
これはロシアにとってある種の伝統のようなもので、ソユーズロケットを近代化したソユーズ2でも、
その最初の打ち上げは弾道飛行をしたそうですよ。