宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

火星で一時的に急増したメタンと有機分子の発見

2014年12月29日 | 火星の探査
地球上では、生物が主な発生源になっている気体のメタン。
そのメタンが火星上で急増する現象が観測されたんですねー

NASAの探査車“キュリオシティ”には、
“SAW”というサンプル分析器が搭載されています。

この“SAW”を使って収集した20か月分のデータを詳しく調べた結果、
火星上のメタンの量が、予想よりはるかに少ないことが分かります。

NASAは、隕石によって運ばれた有機物やチリの分解過程などで、
メタンが生成されることを想定し、その量を予測したのですが、
実際に検出された量はその半分ほどでした。

でも、“キュリオシティ”の着陸地点のゲール・クレーターにおけるメタンの背景濃度は、
場合によっては60日ほどの間に、約10倍に急上昇したんですねー

メタンの滞留時間は約300年とされているので、これは驚くべきことでした。

もちろん、メタンが一時的に増えたのは供給源があるからです。
原因としては、生物的なプロセス、水と岩石との作用によるものなど、
多くの可能性が考えられます。


また、カンバーランドと名付けられた岩石に、ドリルで穴を開けて採取した粉状のサンプルからは、複数の有機物質も検出されています。
カンバーランドにドリルで開けられた穴

これは、火星の地表における初の決定的な有機分子の発見になるんですねー

これらの有機分子は火星で形成されたか、または隕石によってもたらされた可能性があります。

炭素と水素を含む有機分子は、生命の元となる物質になります。

過去に微生物が存在した! っとまでは言えないのですが、現在の火星が化学的に活性化していること、
また、過去の火星が生命にとって好ましい環境であったと言えそうです。


火星上に現在、生命が存在するかどうかを調べるための装置は、
“キュリオシティ”には搭載されていません。

でも、炭素、水素、窒素、酸素、リン、硫黄などの、
生命の形成に欠かせない要素とされる化学元素を探すことで、
火星で、かつて生命が発生したかどうかを明らかにすることができます。

火星でのメタンと有機炭素が確認されたことで、期待が膨らみますね。