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白色矮星と赤色矮星の奇妙な連星“さそり座AR星”

2016年08月06日 | 宇宙 space
宇宙に無数に存在する、複数の恒星がお互いを軌道運動している“連星”。

今回、ヨーロッパ南天天文台の超大型望遠鏡VLTなどを使った観測で、
これまで見たことがない連星の奇妙な姿が明らかになってきました。
さそり座AR星(イメージ図)


さそり座AR星

さそり座の方向380光年彼方にあるのが“さそり座AR星”です。

さそり座AR星は40年以上前に発見されていたのですが、
2015年に観測を始める前は、誰もがこんな星だとは気付いていませんでした。

最初は単一の星だと思われていたのですが、
太陽質量の3分の1の赤色矮星と地球サイズの白色矮星(地球質量の20万倍)の連星だと分かります。

最初にこの奇妙な現象に気付いたのは、
ドイツ、ベルギー、イギリスのアマチュア天文家のグループ。

天文学者らがさまざまな望遠鏡で観測してみると、
詳細な様子が明らかになってきます。

さそり座AR星は通常の連星とは違い、白色矮星が猛烈な勢いで回転することで、
電子を光に近いスピードまで加速させていたんですねー

そして加速された高エネルギーの粒子を、
まるで灯台のように周囲に放出し、赤色矮星を照らしだしています。

このような不思議な白色矮星の活動により、
さそり座AR星は1.97分ごとに明暗の状態を繰り返しています。

1970年代から、さそり座AR星の明るさの変動は観測されていました。

でも、その時は1つの星の内部物質が明暗の状態を作り出していると、
考えられていました。

ところが、その後の発見や観測により、
今回の連星の奇妙な動きが判明したということです。
 

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