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モバライダー mobarider

衛星イオの大気は凍結と昇華を繰り返している

2016年08月10日 | 木星の探査
巨大な木星を周回している衛星イオは、太陽系で最も活発な火山活動をもつ天体で、
木星に発生する地球より大きな巨大オーロラの原因とも考えられています。

大気は二酸化硫黄を主成分とする火山性ガスで出来ているのですが、
最新の研究では、大気が定期的に凍結と昇華を繰り返していることが判明したようです。

大気の変化

イオの1日は地球換算で1.7日相当なんですが、
1日の間には木星の後ろに隠れるタイミングが約2時間ほどあります。

この太陽光が届かないタイミングでは、
イオの二酸化硫黄からなる大気は冷やされて表面に定着してしまいます。

でも、イオが再び太陽の光に照らされると、
二酸化硫黄は暖められて上空へと浮上し衛星の大気を再び形作ることになります。

これまで、このような現象は予測されていたのですが、
具体的な観測例はありませんでした。

そして今回、アメリカのサウスウエスト研究所が、
ハワイのジェミニ天文台やテキサスの観測装置“TEXES”を利用して、
観測に成功することになります。

これまでイオの大気の変化をとらえることは難しいことでした。

今回、サウスウエスト研究所では2か所の施設を利用することで観測に成功。

具体的には“TEXES”でイオの大気の熱放射を、
そしてジェミニ天文台で大気の熱変化を観測しています。

今回の研究成果は、木星にも影響を与えるイオの火山活動について、
科学者により良いアイデアをもたらすものかもしれません。

先日、木星には探査機“ジュノー”が投入されているので、
今後もこの巨大な惑星やその衛星の仕組みが解き明かされていくのでしょうね。


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