オーストラリアの電波望遠鏡で、“高速電波バースト”と呼ばれる謎の現象が新たに20件観測されたんですねー
“高速電波バースト”とは、膨大なエネルギーが数千分の1秒という短い時間に放出される現象で、初めて検出されたのが2007年のことでした。
今回の観測で検出数が約2倍に増えたのは、望遠鏡が“高速電波バースト”の観測に非常に適していたから。
今後、“高速電波バースト”の発生のメカニズムや、どの銀河を起源としているのかが分かってくれば、初期宇宙の研究に役立つようですよ。
膨大なエネルギーが短時間に放射される現象
高速電波バーストは、宇宙のある方向から突発的に電波が放射される現象です。
継続時間はわずか数ミリ秒で、全天のあらゆる方角で発生しています。
太陽が80年かかって放出するのと同じ量の莫大なエネルギーが、一度の高速電波バーストで放出されるんですねー
でも、これまでに報告されたのは34件しかなく、その正体は分かっていません。
“高速電波バースト”は遠くの宇宙からやってくる
今回の研究で用いられたのは、オーストラリア連邦科学産業研究機構の電波望遠鏡アレイ“オーストラリアSKAパスファインダー”。
オーストラリア・スウィンバーン工科大学の研究チームは、2017年1月から観測を行い、2018年2月までに20件もの“高速電波バースト”を新たに検出しています。
“高速電波バースト”が初めて検出されたのが2007年のこと、
今回の観測により検出数が約2倍に増えた。
研究チームが検出した事象には、これまでで最も地球に近い“高速電波バースト”や、最も明るい“高速電波バースト”も含まれています。
さらに、“オーストラリアSKAパスファインダー”の新技術を使うことで示されたのが、“高速電波バースト”が天の川銀河の近くではなく、ずっと離れた宇宙で起こっている現象だということでした。
“高速電波バースト”に適した望遠鏡“オーストラリアSKAパスファインダー”
今回の観測で用いられた“オーストラリアSKAパスファインダー”は、2020年代に観測開始予定で現在建設が進められている世界最大の電波望遠鏡アレイ“スクエア・キロメートル・アレイ”の先行プロジェクトとして、西オーストラリアのマーチソン電波天文台に設置されています。
口径12メートルの電波望遠鏡を直径6キロの範囲に36期配置した電波望遠鏡アレイです。
“オーストラリアSKAパスファインダー”で、これほど多くの“高速電波バースト”を検出できたのには2つの要因があります。
まず、“オーストラリアSKAパスファインダー”の個々の望遠鏡は、30平方度という非常に広い視野を持っていることです。
この視野は満月100個分に相当する広さなんですねー
さらに、それぞれのアンテナで空の異なる部分を同時観測するという斬新な方法を採用することで、視野240平方度、つまり満月の約1000倍の領域を一度に観測できるようになっています。
“オーストラリアSKAパスファインダー”は、“高速電波バースト”の観測に非常に適した望遠鏡と言えるんですねー
将来はダークバリオンの検出にも
“高速電波バースト”の電波は数十億年にわたって宇宙空間を旅しながら、ときどきガス雲の中を通過します。
ガス雲を通過するたびに、バーストの電波に含まれる様々な波長域の電波が異なる割合で減速することになります。
このため、バーストの電波は波長ごとにわずかに異なる時刻に地球に到着するんですねー
なので、波長ごとの到着時刻を計ることで、バーストが地球へやってくるまでにどれくらいの量の物質を通過してきたかを知ることができます。
今回の研究で確実になったのは、“高速電波バースト”がはるか遠くの宇宙からやってくることでした。
今後は、銀河間空間に存在していると考えられているダークバリオンの検出にも、“高速電波バースト”を利用していくようです。
遠方宇宙(初期宇宙)にある“高速電波バースト”の起源
宇宙の非常に遠いところからやって来る“高速電波バースト”ですが、発生のメカニズムやどの銀河を起源としているのかは、まだ分かっていません。
そこで、バーストの正確な位置を明らかにすることが、研究チームの次の課題になります。
今後は1度の1000分の1以下という精度で、バーストの位置を決定できるようにするそうです。
これは、10メートル離れたところから、人間の髪の毛1本の幅を見ることに匹敵すること。
個々のバーストを特定の銀河に結び付けるには十分な分解能になるようです。
“オーストラリアSKAパスファインダー”の観測により、さらに多くの“高速電波バースト”が検出されるようになれば、“高速電波バースト”の起源である初期宇宙についても詳しく研究できるのでしょうね。
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なぞの高速電波バーストを初めてリアルタイムで観測

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今回の観測で検出数が約2倍に増えたのは、望遠鏡が“高速電波バースト”の観測に非常に適していたから。
今後、“高速電波バースト”の発生のメカニズムや、どの銀河を起源としているのかが分かってくれば、初期宇宙の研究に役立つようですよ。
膨大なエネルギーが短時間に放射される現象
高速電波バーストは、宇宙のある方向から突発的に電波が放射される現象です。
継続時間はわずか数ミリ秒で、全天のあらゆる方角で発生しています。
太陽が80年かかって放出するのと同じ量の莫大なエネルギーが、一度の高速電波バーストで放出されるんですねー
でも、これまでに報告されたのは34件しかなく、その正体は分かっていません。
“高速電波バースト”は遠くの宇宙からやってくる
今回の研究で用いられたのは、オーストラリア連邦科学産業研究機構の電波望遠鏡アレイ“オーストラリアSKAパスファインダー”。
オーストラリア・スウィンバーン工科大学の研究チームは、2017年1月から観測を行い、2018年2月までに20件もの“高速電波バースト”を新たに検出しています。
“高速電波バースト”が初めて検出されたのが2007年のこと、
今回の観測により検出数が約2倍に増えた。
研究チームが検出した事象には、これまでで最も地球に近い“高速電波バースト”や、最も明るい“高速電波バースト”も含まれています。
さらに、“オーストラリアSKAパスファインダー”の新技術を使うことで示されたのが、“高速電波バースト”が天の川銀河の近くではなく、ずっと離れた宇宙で起こっている現象だということでした。
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“高速電波バースト”を観測する“オーストラリアSKAパスファインダー”(イメージ図) |
“高速電波バースト”に適した望遠鏡“オーストラリアSKAパスファインダー”
今回の観測で用いられた“オーストラリアSKAパスファインダー”は、2020年代に観測開始予定で現在建設が進められている世界最大の電波望遠鏡アレイ“スクエア・キロメートル・アレイ”の先行プロジェクトとして、西オーストラリアのマーチソン電波天文台に設置されています。
口径12メートルの電波望遠鏡を直径6キロの範囲に36期配置した電波望遠鏡アレイです。
“オーストラリアSKAパスファインダー”で、これほど多くの“高速電波バースト”を検出できたのには2つの要因があります。
まず、“オーストラリアSKAパスファインダー”の個々の望遠鏡は、30平方度という非常に広い視野を持っていることです。
この視野は満月100個分に相当する広さなんですねー
さらに、それぞれのアンテナで空の異なる部分を同時観測するという斬新な方法を採用することで、視野240平方度、つまり満月の約1000倍の領域を一度に観測できるようになっています。
“オーストラリアSKAパスファインダー”は、“高速電波バースト”の観測に非常に適した望遠鏡と言えるんですねー
将来はダークバリオンの検出にも
“高速電波バースト”の電波は数十億年にわたって宇宙空間を旅しながら、ときどきガス雲の中を通過します。
ガス雲を通過するたびに、バーストの電波に含まれる様々な波長域の電波が異なる割合で減速することになります。
このため、バーストの電波は波長ごとにわずかに異なる時刻に地球に到着するんですねー
なので、波長ごとの到着時刻を計ることで、バーストが地球へやってくるまでにどれくらいの量の物質を通過してきたかを知ることができます。
今回の研究で確実になったのは、“高速電波バースト”がはるか遠くの宇宙からやってくることでした。
今後は、銀河間空間に存在していると考えられているダークバリオンの検出にも、“高速電波バースト”を利用していくようです。
遠方宇宙(初期宇宙)にある“高速電波バースト”の起源
宇宙の非常に遠いところからやって来る“高速電波バースト”ですが、発生のメカニズムやどの銀河を起源としているのかは、まだ分かっていません。
そこで、バーストの正確な位置を明らかにすることが、研究チームの次の課題になります。
今後は1度の1000分の1以下という精度で、バーストの位置を決定できるようにするそうです。
これは、10メートル離れたところから、人間の髪の毛1本の幅を見ることに匹敵すること。
個々のバーストを特定の銀河に結び付けるには十分な分解能になるようです。
“オーストラリアSKAパスファインダー”の観測により、さらに多くの“高速電波バースト”が検出されるようになれば、“高速電波バースト”の起源である初期宇宙についても詳しく研究できるのでしょうね。
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