2015年1月に観測されたガンマ線バースト“GRB150101B”の残光が、2017年8月に検出された重力波“GW170817”の残光とよく似ていることが分かりました。
調べてみて分かってきたのは、この2つは同じ種類の天体現象ということでした。
驚くほど一致したガンマ線バーストと重力波の現象
2015年1月のこと、NASAのガンマ線天文衛星“フェルミ”がガンマ線バースト“GRB150101B”を検出します。
この現象について、NASAゴダード宇宙飛行センターの研究チームが調べたのは、検出時の観測データや、その後にガンマ線以外の波長で行われた追観測のデータでした。
すると、2017年に電磁波での残光が初めて観測された重力波“GW170817”と“GBR150101B”との間に、類似点があることが明らかになります。
まったく別々に見えるこれら2つの現象が、実は親戚同士の天体である可能性が出てきたんですねー
研究チームによると、“GW170817”と“GRB150101B”の観測データは驚くほど一致していたそうです。
どちらの現象でも、極めて暗く継続時間の短いガンマ線バーストが発生し、その後に青色の明るい可視光線の放射が数日続き、X線の放射がさらに長く続いていたそうです。
ガンマ線バーストと重力波は同じタイプの現象から生じたものかも
また、ハッブル宇宙望遠鏡とディスカバリーチャンネル望遠鏡による観測から、これらの現象が検出された母銀河も非常に似ていることが分かります。
どちらも数十億歳程度の星からなる明るい楕円銀河で、特徴は新たな星が生まれている兆候がないということ。
また、“GW179817”と“GRB15010B”のどちらも、X線の増光が他の多くのガンマ線バーストに比べて緩やかだということも分かります。
このことが示しているのは、バーストで放出されたジェットが地球の方向からズレているということ。
このようにジェットの向きが地球からズレている短時間ガンマ線バーストが検出されたのは、“GRB150101B”が2例目のことでした。
この2つの天体はいわば「宇宙のそっくりさん」、見た目や振る舞い、その発生元の銀河も似ているんですねー
最もシンプルな解釈は、2つは同じ天体の一族に属しているということ。
そこで、研究チームが考えたのは、“GW179817”と“GRB15010B”は実は同じタイプの現象から生じたものである可能性が高いということでした。
2個の中性子星が合体して、重力波を放出するとともに高エネルギー粒子の細いジェットが作られる。
このジェットから、数秒間だけ続く強力なガンマ線バーストが生み出され、これが短時間ガンマ線バーストとして観測された。
っというのが、今回の現象が発生したシナリオになるようです。
多くの共通点があるけど重要な違いもある
“GRB15010B”で見られた可視光線の残光は青色の光が大部分を占めています。
これは、“GW170817”の場合と同様に、“キロノバ”という現象がこのバーストに関わっていることを示す重要な証拠になっています。
“キロノバ”は新星と超新星の中間の明るさで輝く強力な爆発で、莫大なエネルギーを放出するだけでなく、金・白金・ウランのような、他の爆発現象では作られない元素を生み出します。
高密度天体同士の合体で起こる“キロノヴァ”を初観測
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ただし、“GW179817”と“GRB15010B”には多くの共通点がある一方で、重要な違いも2つあります。
1つは、現象が発生した場所です。
“GW170817”が発生したのは地球から約1億3000万光年の距離。
でも、“GRB150101B”の発生は地球から17億光年も離れた場所なんですねー
仮に2015年初めに重力波検出器“LIGO”が稼働していたとしても、これほど遠いと“GRB150101B”からの重力波を検出することはできなかったでしょう。
もう1つの重要な違いは、“GRB150101B”からは重力波が検出されていないので、合体した2つの天体の質量が分かっていないことです。
合体したのは中性子星どうしではなく、ブラックホールと中性子星だった可能性もあります。
中性子星とブラックホールの合体例を発見するためには、“GW170817”のように重力波と電磁波の両方のデータを組み合わせられる検出例がもっと必要になります。
さらに、“GW170817”の素晴らしい点は、この現象が様々な波長で見せる一連の特徴を教えてくれたこと。
このおかげで、同種の現象が重力波を検出できないほど遠くで発生したとしても、これらの特徴から、その現象が同じ爆発現象の仲間であることを判定できるようです。
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調べてみて分かってきたのは、この2つは同じ種類の天体現象ということでした。
驚くほど一致したガンマ線バーストと重力波の現象
2015年1月のこと、NASAのガンマ線天文衛星“フェルミ”がガンマ線バースト“GRB150101B”を検出します。
この現象について、NASAゴダード宇宙飛行センターの研究チームが調べたのは、検出時の観測データや、その後にガンマ線以外の波長で行われた追観測のデータでした。
すると、2017年に電磁波での残光が初めて観測された重力波“GW170817”と“GBR150101B”との間に、類似点があることが明らかになります。
まったく別々に見えるこれら2つの現象が、実は親戚同士の天体である可能性が出てきたんですねー
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ガンマ線バースト“GRB150101B”の検出位置にある楕円銀河。 (ハッブル宇宙望遠鏡による可視光線画像) 右上の2枚の画像はX線天文衛星“チャンドラ”が撮影した“GRB150101B”のX線残光。 (2015年1月9日、2月10日) 楕円銀河を囲む枠線が“チャンドラ”のX線画像。 |
どちらの現象でも、極めて暗く継続時間の短いガンマ線バーストが発生し、その後に青色の明るい可視光線の放射が数日続き、X線の放射がさらに長く続いていたそうです。
ガンマ線バーストと重力波は同じタイプの現象から生じたものかも
また、ハッブル宇宙望遠鏡とディスカバリーチャンネル望遠鏡による観測から、これらの現象が検出された母銀河も非常に似ていることが分かります。
どちらも数十億歳程度の星からなる明るい楕円銀河で、特徴は新たな星が生まれている兆候がないということ。
また、“GW179817”と“GRB15010B”のどちらも、X線の増光が他の多くのガンマ線バーストに比べて緩やかだということも分かります。
このことが示しているのは、バーストで放出されたジェットが地球の方向からズレているということ。
このようにジェットの向きが地球からズレている短時間ガンマ線バーストが検出されたのは、“GRB150101B”が2例目のことでした。
この2つの天体はいわば「宇宙のそっくりさん」、見た目や振る舞い、その発生元の銀河も似ているんですねー
最もシンプルな解釈は、2つは同じ天体の一族に属しているということ。
そこで、研究チームが考えたのは、“GW179817”と“GRB15010B”は実は同じタイプの現象から生じたものである可能性が高いということでした。
2個の中性子星が合体して、重力波を放出するとともに高エネルギー粒子の細いジェットが作られる。
このジェットから、数秒間だけ続く強力なガンマ線バーストが生み出され、これが短時間ガンマ線バーストとして観測された。
っというのが、今回の現象が発生したシナリオになるようです。
多くの共通点があるけど重要な違いもある
“GRB15010B”で見られた可視光線の残光は青色の光が大部分を占めています。
これは、“GW170817”の場合と同様に、“キロノバ”という現象がこのバーストに関わっていることを示す重要な証拠になっています。
“キロノバ”は新星と超新星の中間の明るさで輝く強力な爆発で、莫大なエネルギーを放出するだけでなく、金・白金・ウランのような、他の爆発現象では作られない元素を生み出します。
高密度天体同士の合体で起こる“キロノヴァ”を初観測
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ただし、“GW179817”と“GRB15010B”には多くの共通点がある一方で、重要な違いも2つあります。
1つは、現象が発生した場所です。
“GW170817”が発生したのは地球から約1億3000万光年の距離。
でも、“GRB150101B”の発生は地球から17億光年も離れた場所なんですねー
仮に2015年初めに重力波検出器“LIGO”が稼働していたとしても、これほど遠いと“GRB150101B”からの重力波を検出することはできなかったでしょう。
もう1つの重要な違いは、“GRB150101B”からは重力波が検出されていないので、合体した2つの天体の質量が分かっていないことです。
合体したのは中性子星どうしではなく、ブラックホールと中性子星だった可能性もあります。
中性子星とブラックホールの合体例を発見するためには、“GW170817”のように重力波と電磁波の両方のデータを組み合わせられる検出例がもっと必要になります。
さらに、“GW170817”の素晴らしい点は、この現象が様々な波長で見せる一連の特徴を教えてくれたこと。
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