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全て解けると火星が深さ1.5メートルの水で覆われる? 北極の地下に大量の氷を発見

2019年06月11日 | 火星の探査
火星の北極の地下に氷の層が存在することが確認されました。
太古の極冠の名残りと考えられ、火星で最大級の水源の1つかもしれないそうです。


北極の地下に大量の水の氷

今回、火星の北極の地下に広がる氷の層を発見したのは、テキサス大学地球物理学研究所とアリゾナ大学月惑星研究所のチーム。
研究で用いられたのは、NASAの火星探査機“マーズ・リコナサンス・オービター”に搭載されている浅部レーダー“SHARAD”で観測したデータでした。

この氷の層がある深さは地下約1500メートルで、砂と氷が交互に堆積した互層になっていて、場所によっては水分を90%も含んでいます。
この氷の層が全て融けると、火星の全球が深さ1.5メートルの水で覆われるほどの量になるそうです。
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火星の北極にある極冠。垂直方向の凸凹を強調している。
火星の北極の地下に、これほど大量の水の氷が見つかることは予想していなかったこと。
南北の極冠に次ぐ、火星で3番目に豊富な水源と考えられているんですねー


水の氷は氷河期に作られていた

研究チームが考えているのは、太古の火星で氷河期に極域に堆積した氷が、この層の元になったということ。

火星の氷河期は、火星の公転軌道や自転軸の傾きが周期的に変動することがで生じます。
なかでも自転軸の傾きは、約5万年の周期で大きくなったり小さくなったりします。

自転軸が立つと赤道での日射が増え、極域の日射は減って極冠が成長。
自転軸の傾きが大きくなると逆に極冠は小さくなり、ときには完全に消滅することもあったはずです。

温暖な時代には極冠は砂で覆われてしまい、この砂の層は氷が日射で蒸発するのを防ぐ働きをすることになります。

これまで、温暖な時代には極冠は消滅したと考えられてきました。
でも、今回の研究で、かなり大量の氷床の名残りが地下で生き残っていて、氷と砂の交層の中に閉じ込められていることが明らかになったんですねー
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“マーズ・リコナサンス・オービター”の高解像度カメラ“HiRISE”で撮影された、
火星表面に露出している砂と氷の互層。
白っぽい色の層が水の氷、濃い青色の層が砂を表している。
火星の北極域の地下にもこのような互層の形で水の氷が存在することが明らかになった。


太古の火星に生命が存在できる環境はあったのか?

極の地下の堆積物に閉じ込められている水の総量は、驚くべきことに火星の低緯度地域に存在する氷河や地下氷床の量とほぼ同じで、できた年代も同じだそうです。

氷の層は木の年輪と同じように、火星の過去の気候を記録しています。

なので、氷の層の厚さや面積、分布範囲、組成などを調べることで、火星の昔の気候が生命の存在に適していたかどうかを知ることが出来るんですねー

さらに、過去の火星全体にどのくらいの水が存在していたか、またどのくらいの水が極域に閉じ込められているかを知ることは、火星の表面で生命が液体の水を利用できるかどうかという点で重要になってきます。

仮に生命が生きられる条件がすべて揃ったとしても、水の大半が極域に閉じ込められていれば、赤道付近の領域で十分な量の液体の水を得るのは難しくなるからです。

太古の火星に生命は存在したのでしょうか? 過去の気候や水の分布が気になりますね。


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