私たちは真夏など日差しの強い日に、暑さや日焼けを気にして、日傘をさして日光を遮ろうとしますよね。
今回の研究は、宇宙空間に“日傘”を設置して、地球に入射する太陽光の量を減らそうというもの。
ハワイ大学天文学研究所の天文学者István Szapudiさんが、日傘をさして歩くハワイの人たちの様子を見て思いついたアイデアです。
地球も日傘をさすことで、温暖化がもたらす気候変動を緩和できるのかもしれません。
このアイデアは“ソーラーシールド”と呼ばれ、過去にも提案されたことがありました。
でも、単純な方法が簡単な方法とは限らないんですねー
重力の釣り合いを考慮しつつ太陽の放射圧に飛ばされないシールドを作ろうとすると、構造物は相当な重量になってしまうことに…
シールドの材料は地球からロケットで打ち上げて運ばないといけないので、たとえ最も軽い素材で作ったとしても、とてつもないコストがかかってしまいます。
1つ目は、巨大で重いシールドを作る代わりに“カウンターウェイト(釣り合いを取るための重り)”をシールドにつなぎとめる方法を採用していること。
この方法を用いることで、シールド全体の重量は、これまでの想定と比べて100分の1以下に抑えることができます。
2つ目は、カウンターウェイトに小惑星を使用すること。
小惑星を捕獲してシールドと接続することで、その分だけ地球から材料を打ち上げる必要がなくなります。
また、小惑星の代わりに月のレゴリス(月面を覆う砂やチリ)を使うことも考えられています。
Szapudiさんによると、シールドとカウンターウェイトからなる“繫留式シールド”の総重量は、約350万トンに達するんですねー
ただ、その99%はカウンターウェイトとして使用される小惑星(または月のレゴリス)の重量になります。
なので、シールド本体の重量は、残りの1%に相当する約3万5000トン。
地球から打ち上げる必要があるのは、この部分だけということになります。
より軽い新素材を使えば、この重量をさらに減らすこともできます。
そう、この新たなアイデアだと、他の設計と比べても迅速かつ低コストで済むことになります。
とはいえ、現在の最大クラスのロケットを使っても、地球低軌道へ打ち上げることができるのは1回当たり50トン程度に過ぎません。
これまでの設計よりも軽いとはいえ、現在の打ち上げ技術からすればソーラーシールドの建設は挑戦的なプロジェクトになり、このアイデアが実現するには、まだまだ時間を要することになります。
でも、以前のアイデアがほとんど実現不可能だったのに対し、今回のアイデアはシールドの設計を現在の技術でも実現可能な領域に持ち込んだと言えます。
ただ、その実現にはシールドとカウンターウェイトを繋ぐ軽量かつ強靭なグラフェン(※)を用いたテザー(つなぎ綱)の開発が極めて重要になるようです。
こちらの記事もどうぞ
今回の研究は、宇宙空間に“日傘”を設置して、地球に入射する太陽光の量を減らそうというもの。
ハワイ大学天文学研究所の天文学者István Szapudiさんが、日傘をさして歩くハワイの人たちの様子を見て思いついたアイデアです。
地球も日傘をさすことで、温暖化がもたらす気候変動を緩和できるのかもしれません。
小惑星につながれた“シールド”のイメージ図。(Credit: Brooks Bays/UH Institute for Astronomy) |
地球と太陽の間に配置する構造物
日射による暑さから身を守る最も単純な方法が日傘をさすことであるように、地球の気温を下げる最も単純な方法は、地球と太陽の間に構造物を配置して、入射する太陽光の量を少しでも減らすことです。このアイデアは“ソーラーシールド”と呼ばれ、過去にも提案されたことがありました。
でも、単純な方法が簡単な方法とは限らないんですねー
重力の釣り合いを考慮しつつ太陽の放射圧に飛ばされないシールドを作ろうとすると、構造物は相当な重量になってしまうことに…
シールドの材料は地球からロケットで打ち上げて運ばないといけないので、たとえ最も軽い素材で作ったとしても、とてつもないコストがかかってしまいます。
小惑星を捕獲してカウンターウェイトとして利用する
今回、Szapudiさんが提案した新たなアイデアは、2つの点で独創的と言えるものでした。1つ目は、巨大で重いシールドを作る代わりに“カウンターウェイト(釣り合いを取るための重り)”をシールドにつなぎとめる方法を採用していること。
この方法を用いることで、シールド全体の重量は、これまでの想定と比べて100分の1以下に抑えることができます。
2つ目は、カウンターウェイトに小惑星を使用すること。
小惑星を捕獲してシールドと接続することで、その分だけ地球から材料を打ち上げる必要がなくなります。
また、小惑星の代わりに月のレゴリス(月面を覆う砂やチリ)を使うことも考えられています。
太陽に向けて設置された“シールド”のイメージ図。(Credit: István Szapudi/UH Institute for Astronomy) |
ただ、その99%はカウンターウェイトとして使用される小惑星(または月のレゴリス)の重量になります。
なので、シールド本体の重量は、残りの1%に相当する約3万5000トン。
地球から打ち上げる必要があるのは、この部分だけということになります。
より軽い新素材を使えば、この重量をさらに減らすこともできます。
そう、この新たなアイデアだと、他の設計と比べても迅速かつ低コストで済むことになります。
とはいえ、現在の最大クラスのロケットを使っても、地球低軌道へ打ち上げることができるのは1回当たり50トン程度に過ぎません。
これまでの設計よりも軽いとはいえ、現在の打ち上げ技術からすればソーラーシールドの建設は挑戦的なプロジェクトになり、このアイデアが実現するには、まだまだ時間を要することになります。
でも、以前のアイデアがほとんど実現不可能だったのに対し、今回のアイデアはシールドの設計を現在の技術でも実現可能な領域に持ち込んだと言えます。
ただ、その実現にはシールドとカウンターウェイトを繋ぐ軽量かつ強靭なグラフェン(※)を用いたテザー(つなぎ綱)の開発が極めて重要になるようです。
炭素原子が1原子の厚さで結合した、ハチの巣のような六角刑格子構造のシート状の物質。
こちらの記事もどうぞ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます