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宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

謎のガンマ線信号は、暗黒物質由来ではないのかも…

2014年12月21日 | 宇宙 space
「暗黒物質(ダークマター)の決定的な証拠になるかもしれない」
っと科学者たちが望みをかけていた信号…

またしても期待外れだったようで、
宇宙を満たす目に見えない粒子をめぐる、もどかしい探索は、
また続けられることになるようです。
NASAの赤外線天文衛星“スピッツァー”がとらえた
天の川銀河の中心画像。

今回の研究では、
天の川銀河を周回している小規模な矮小銀河で、暗黒物質が対消滅する際に放出されるガンマ線を探しています。

でも、フェルミ広域望遠鏡(LAT)では検出できなかったんですねー

研究チームでは、このガンマ線を、
WINP(物質との電磁気的な相互作用がほとんど無い思い粒子)の形を取った、
暗黒物質に由来する可能性があると考えていました。

WINPは、宇宙の質量のうち7分の6を占める目に見えない物質の有力候補。
密度の高い銀河の中心で2つのWINPが衝突すると、対消滅を起こしてガンマ線を放出するんですねー

この興味深いガンマ線信号が、対消滅したWINPの残骸だという期待は、
その後5年で、どんどん高まっていくことになります。

でも、ミリ秒単位で電波を放出する天体、パルサーの未知の集団が銀河の中心にあり、
同じ信号がそこからも出ている可能性は、専門家の間では知られていました。
明るく高速で回転するパルサーも、ガンマ線を宇宙に放出しているんですねー

2つの可能のうち、どちらが正しいのかを見極める方法を探すことになります。

そして研究チームが注目したのが、
暗黒物質が多く存在するが、パルサーはないと考えられている矮小銀河でした。

矮小銀河からガンマ線があふれ出ていることが分かれば、
パルサーに由来する可能性は否定され、WINPの強力な証拠が得られるはずです。

でも5年を費やして、近傍の矮小銀河15個から得られた最高品質のデータの中には、
そのような信号は検出されませんでした。

矮小銀河は、天の川銀河の中心に見られる信号が何なのかを、
はっきりと確認できそうな数少ないターゲットの1つ。

なので、この確認が取れなければ、
銀河中心のガンマ線超過を暗黒物質と解釈する主張は、
かなり無理が出ることに…

矮小銀河から得られた新たな発見により、暗黒物質モデルは危うい状況になったのですが、
暗黒物質によるガンマ線超過の説明は、今のところまだ見込みがあるようですよ。

彗星からきたチリを地上で初めて発見

2014年12月20日 | 宇宙 space
北極で採取した氷の中に、大きさが数十μmのチリ微粒子が発見されました。

当初そのチリは、隕石によってもたらされたものだと考えられることに…

でも、詳しい分析の結果、
微粒子はコンドライトのような粒上の構造をした多孔質の惑星間チリで、
NASAの彗星探査機“スターダスト”が採取した彗星のサンプルに、
ほぼ一致するものであることが分かります。
氷の中から発見された彗星由来のチリの微粒子。

これまでチリの微粒子は、
大気圏突入という厳しい条件に耐えられないだろうと考えられていたのですが、
今回の発見により地上に到達することが明らかになります。

彗星は、太陽系で最も古い天体の代表と考えられています。

なので、彗星について理解が深まれば、太陽系の起源に迫ることができるんですねー

また、「彗星が地球上に生命の種を撒いた」という説の正当性についても、
答えが得られるかもしれません。

彗星のチリの粒子については、詳しい研究が必要とされていて、
今回の発見は、地上でもそうしたサンプルが得られることを示したことになります。

地球の水は小惑星が運んできたのかも…

2014年12月19日 | 彗星探査 ロゼッタ/フィラエ
彗星探査機“ロゼッタ”
彗星探査機“ロゼッタ”の観測により、
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の水が、
地球のものとは異なることが分かりました。

これは地球の水は、彗星ではなく小惑星から運ばれてきたということなのでしょうか?


彗星や小惑星が水を運んできた

46億年前に生まれたころの地球は、
ひじょうに高温で、水が存在したとしても、すべて蒸発してしまったと考えられています。

現在、地表を広く覆う海の水は、
「冷えた後の地球に、彗星や小惑星などの小天体が衝突し、
もたらされた」という説が有力なんですねー

ただ、彗星と小惑星のどちらが、主な水の供給源だったのか、
といった詳しいことは良く分かっていませんでした。

この問題に大きな手がかりをもたらしてくれると、期待されているものがあります。


チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星がカギをにぎる?

それは、今年の8月からチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の観測を行っている、
ヨーロッパ宇宙機関の探査機“ロゼッタ”です。
水を含むガスやチリを噴き出す
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星から噴き出す水のデータを分析したところ、地球の水と大きく異なることが明らかになります。

水の起源が同一かどうかを知るには、
水に含まれる“重水素/水素”の比率が測定されます。

これは、普通の水素より中性子1個分だけ重い重水素の割合が同じであれば、同じ起源を持つと見なすことができるからです。

チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星の水は、
この重水素比が地球の水の3倍も大きかったんですねー

太陽系の天体における重水素の比率。
“木星族彗星”は地球に比較的近い傾向を見せていたが、
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星はそれに当てはまらなかった。


地球の水は小惑星が運んでくれた

これまでに調査が行われた11個の彗星では、
重水素比はまちまちでした。

唯一地球と同じ結果が出た、
ハートレー彗星と同じ“木星族彗星”であるチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星が、
大きく異なる数値を見せたのは興味深いことでした。

“木星族彗星”とは、
太陽からもっとも離れたときに木星軌道付近に来る短周期彗星の総称です。

海王星の外側のカイパーベルトで形成されたものが、
内側に移動してきたものと考えられています。

でも、今回の結果からすると、
“木星族彗星”が生まれた場所は、思ったよりもバラバラなのかもしれません。


“木星族彗星”はカイパーベルト(左)でできたものが、
太陽系の内側に引き寄せられたもの、
“オールト雲彗星”は天王星や海王星付近でできたものが、
太陽系の彼方に追いやられたものと考えられている。


今回の観測結果から、
“木星族彗星”の水が、必ずしも地球の水に近い重水素比ではないことが分かり、
「地球の水の起源は小惑星だった」という説が、少し有力になったんですねー

超大質量星は、2つの巨大恒星の合体で誕生する?

2014年12月18日 | 宇宙 space
双子の巨大恒星の合体。 

もし、このようすが観測できれば、
長年の学説である、超大質量星誕生の秘密が明らかになるのかも…
きりん座MY星系の2つの恒星(イメージ図)
あまりに接近しすぎて、最終的には合体して、
1つの超巨大恒星が誕生するはず…

恒星食を繰り返す連星系“きりん座MY星”。

この連星系は、地球から見た2つの巨大な恒星が、きわめて小さな軌道を周回しながら、ほぼ日替わりで重なり合って恒星食を起こしているんですねー

今回の研究では、
スペインのアルト天文台にある2.2メートル口径の強力な望遠鏡を使用。

2つの星の高分解能スペクトルを分析し、
表面温度やサイズなど、それぞれの星の物理的特性を割り出しています。

2つの高温の青い恒星は、それぞれ太陽の38倍と32倍の質量を持ち、
互いの軌道を1周わずか1.2日以下という急速度周回。

あまりにも近すぎているため、
研究チームでは、この2つが近いうちに合体して、
太陽の60倍という質量を持った1つの超巨大恒星になると見ています。


“きりん座MY星”が連星であると分かったのは、わずか10年前でした。

“きりん座MY星”を長年観測していると、光の輝きが常に変化するので、
はじめは1個の変光星だと考えられてきました。

でも光の変化が、実は2つの星が互いの軌道を回っているせいで、
互いを覆い隠す恒星食を起こしているためだと分かります。

2つの星は、誕生してから200万年も経っていないので、
誕生時の姿は、現在とほぼ変わらなかったようです。

この連星が、今後どうなっていくかは分からないのですが、
もし2つが合体すると…

理論モデルでは、急激に、そして極めて大きな衝撃を伴って、
膨大なエネルギーを発しながら起こることが予想されます。

このように急接近した連星が合体することで、
超大質量星の誕生を説明できるのだとしたら…

なので天文学者たちは、
“きりん座MY星”のようすを、関心を持って見守っているんですねー

火星のシャープ山は、湖の堆積物で形成された?

2014年12月17日 | 火星の探査
火星探査車“キュリオシティ”が採取したデータから、火星のシャープ山が、湖の堆積物によって長い時間をかけて形成された可能性があることが分かりました。

今回発表された最新の分析結果は、
シャープ山の裾野で発見された岩に基づくものです。
水がたまったゲール・クレーター
(イメージ図)

シャープ山は奇妙なことに、火星のゲールクレーターの内部に位置しています。

そして、155キロのゲールクレーターを満たす巨大な湖、
もしくは湖群がかつて存在したようです。

この湖は十分な大きさを誇っていたので、
数百万年にわたって存在し続けた可能性があるんですねー

これは、生命が発生し、繁栄するのに十分な時間であり、
湖の堆積物が蓄積されて、シャープ山を形成するのに十分な時間になります。


火星が歴史上のある時期に、湿潤だった期間がどのくらいあったのか?
ゲール・クレーター内部で、
シャープ山の方向に傾斜する砂岩。

これについては、
まだ解明されていないのですが、
クレーター内に湖床が存在することを示す、傾斜した岩盤や土は発見されているんですねー

傾斜層として知られるこの種の地層について、惑星の地形がどのように形成されたかを理解するために重要になります。
でも、明確な例は地球上でも見つかりにくいそうです。

標高約5000メートルに達するシャープ山の堆積層最下部から、
キュリオシティが採取したデータと画像を基に、
科学者チームは、かつて河川が砂や泥を湖に運び、
河口に土砂を堆積させたようすを示す名残りを調査。

この堆積作用が何度も繰り返され、三角州が形成されたと考えられています。

NASA考えているのは、
  クレーターを満たす水の深さが少なくとも数百メートルに達し、
  堆積物が固まって岩になった後、積み重なった堆積層は風食作用で形を変え、
  長い時間をかけて山の形になった。
というもの。

クレーターの外周と、現在の山裾の部分との間の物質は、
この作用で浸食されたということです。