宇宙のはなしと、ときどきツーリング

モバライダー mobarider

赤色矮星を回る新たなスーパーアースを発見

2016年04月19日 | 宇宙 space
今回発見されたのは約170光年彼方の系外惑星“K2-28b”。
系外惑星探査機“ケプラー”のデータから発見されたんですねー

“ケプラー”の観測データから候補を選択し、
岡山天体物理観測所の口径188センチ望遠鏡と、
可視光線多色カメラ“MuSCAT”などを用いた観測で確認したそうです。


系外惑星“K2-28b”

“K2-28b”の直径は地球の2.3倍。

地球と海王星の中間のサイズをもつ、
“スーパーアース(巨大地球型惑星)”に分類されています。

そして中心星は摂氏約2900度と低温の赤色矮星で、
この周りを約2.3日周期で公転しているんですねー

赤色矮星は天の川銀河で最もありふれたタイプの星ですが、
小さくて暗いので惑星探索はまだあまり進んでいません。

そのため、赤色矮星を回るトランジット・スーパーアースは、
まだ発見数が少ないんですねー


トランジット・スーパーアース

地球から見て中心星の手前を惑星が通り過ぎる。
このような位置関係にあるスーパーアースがトランジット・スーパーアースです。

そして、このトランジット・スーパーアースが、
太陽系の比較的近傍(200光年以内)で発見されるのは“K2-28b”が2例目になります。

さらにこの“K2-28b”は、
2009年に発見された1例目のトランジット・スーパーアース“GJ 1214b”に、
サイズや温度環境が驚くほどよく似ているんですねー

“GJ 1214b”は、
これまでに唯一大気の性質が詳細に調べられたスーパーアースで、
大気の高層に厚い雲がかかっている可能性が高いことが分かっています。
惑星のサイズの比較

ただ、大気の性質が詳細に調べられたスーパーアースは“GJ 1214b”の他にはないので、
厚い雲の存在がスーパーアースに普遍的な性質かどうかはよく分かっていません。

今後、“GJ 1214b”の双子とも呼べる“K2-28b”の大気の性質を詳細に調べれば、
スーパーアースがもつ大気の一般的な性質を明らかにできるかもしれませんね。

探査機“あかつき”軌道修正に成功! 観測期間は2.5倍に増量

2016年04月18日 | 金星の探査
4日に実施された金星探査機“あかつき”の軌道修正が成功していたようです。

これにより“あかつき”の観測期間は2000日になり、
2倍以上に増えることになるんですねー


バッテリーの駆動時間の影響

昨年12月7日に金星周回軌道に入り、
軌道修正や試験観測を行ってきた探査機“あかつき”は、
今月中旬ごろから定常観測に移行する予定になっています。

これに先立ち、観測期間を延ばすことを目指した、
追加の軌道修正が4月の4日に行われたんですねー

この軌道修正が行われた理由は、
“あかつき”がバッテリー駆動時間よりも長く金星の陰に入ってしまうため。

これにより電力を得られなくなり、観測機器に影響が出てしまうんですねー

これまでの軌道では、
“あかつき”が陰に入るのは金星から最も離れたところでした。

遠いところでは探査機の速度が遅くなるので、
陰に入っているのが数時間にも及ぶことになります。

そこで今回の軌道修正で目指したのは、
“あかつき”が金星の陰に入るタイミングをずらすこと。
2018年夏ごろの長時間の日陰航行を回避する軌道(イメージ図)

データ解析から、軌道修正が計画通りに実行されたことが確認され、
見込まれる観測期間は、これまでの約800日から約2000日に延ばせたそうです。

ただ、機体の耐久性に問題がなければですが…

若い恒星の周りに、地球に似た軌道を持つ惑星の誕生現場を発見。

2016年04月17日 | 宇宙 space
若い恒星を取り巻く原始惑星系円盤で、
中心から太陽~地球間に相当する距離のところに隙間が見つかりました。

惑星が誕生する場所では、
チリやガスが材料として使われるので隙間ができます。

なので、この隙間は地球とよく似た惑星、
あるいはもう少し大きな“スーパーアース”が、
まさに今生まれている現場なのかもしれないんですねー


うみへび座TW星

地球から175光年の距離にある約1000万歳の若い恒星がうみへび座TW星です。

その周囲には原始惑星系円盤が広がっていて、
太陽系が誕生してから1000万年ほどたったころの姿に似ていると考えられているんですねー

円盤を真正面から見ることができるという好都合な点もあり、
盛んに観測が行われています。


隙間の存在

今回の研究では、
この恒星の周りにあるチリが放つ微弱な電波をアルマ望遠鏡で観測。

円盤の構造が非常に詳細に撮影されたんですねー

そして目をひいたのが、
中心から約1.5億キロ(太陽から地球の距離)のところに見つかった隙間でした。
うみへび座TW星の周りの原始惑星系円盤。
拡大図では星に最も近い円盤の隙間が写し出されている。

66台のアンテナで構成されたアルマ望遠鏡は、
そのアンテナの間隔を広げることで解像度を高めることができます。

今回の成果は、
それらのアンテナを14キロまで展開することにより達成された、
超解像度によるものでした。

円盤が詳細にとらえられたことにより、
同心円状のチリの帯と隙間が、はっきり見えてきました。

このことが意味するのは、
地球に似た軌道を持つ惑星がここで作られていること。

今回の画像は、
アルマ望遠鏡で原始惑星系円盤の最も内側を撮影したものになり、
これを超える画像は、そう簡単にはでてこないそうです。


隙間は他にもあった

隙間は、中心星から1.5億キロのところだけでなく、
30億キロと60億キロのところにもあることが分かりました。

この隙間の位置は、
太陽系では、それぞれ天王星や冥王星の軌道に相当し、
これらの隙間も、形成途中の惑星が周囲のチリとガスを集めることにより、
作られた可能性があるんですねー

アルマ望遠鏡は、うみへび座TW星よりさらに若い、
おうし座HL星(年齢は約100万歳)を取り巻くチリの円盤も、
非常に高い解像度で撮影し、惑星誕生の兆候をとらえています。

今後、この2つだけでなく、
他の原始惑星系円盤にも似たような構造があるかどうかを調べ、
年齢や環境によって、それがどのように異なるのかを詳しく研究するそうです。

そうすれば、私たちが住む地球の形成過程をより良く理解することができます。

地球に似た惑星がどのくらい存在するのか?
  という謎にも迫れるかもしれませんね。

4月中旬から本気出す! 金星探査機“あかつき”本格観測開始

2016年04月11日 | 金星の探査
昨年12月7日に金星周回軌道に入り、
軌道修正や試験観測を行ってきた探査機“あかつき”。

今月中旬からの定常観測の開始を前に、
追加の軌道修正が実施されたんですねー

これにより観測期間を2倍以上延びるようですよ。


追加の軌道修正

“あかつき”は12月20日に軌道を修正し、ほぼ予定通りの軌道に入っていました。

その後、機器を順次立ち上げて試験観測を実施。

ミッション達成における最低限の目標になる、
“ミニマムサクセス”に相当する観測が行われていました。

“あかつき”の場合の“ミニマムサクセス”は、
雲が東西方向に1周する1週間にわたって、
金星周回軌道上からいずれかのカメラによって画像を連続的に取得し、
全体的な雲の構造をとらえることになります。
4つのカメラによる金星疑似カラー画像(昨年12月撮影)。

そして今後目指すのは、
金星大気の3次元的な運動の解明や雷放電の確認、温度構造の観測といった、
打ち上げ前に予定していた“フルサクセス”。

この研究計画を進めるため、
4月中旬から定常観測へ移行することになっているんですねー

“あかつき”が定常観測前に行った追加の軌道修正により、
観測できる期間が約800日から約2000日と大幅に延びるそうです。

軌道修正の結果は後日。 成功していればいいですね。