宇宙のはなしと、ときどきツーリング

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2020年代を目処にNASAが国際宇宙ステーションの民間移譲を検討中

2016年08月26日 | 宇宙 space
アメリカ、ロシア、日本、カナダとヨーロッパ宇宙機関が、
1988年に建造を始めた国際宇宙ステーションは2011年に完成し、
少なくとも2024年まで運用が延長されることになっていました。

でもNASAは2020年代を目処に、
国際宇宙ステーションを民間企業へ移譲する計画を立てているようです。

地球低軌道での経済発展

18日に開催されたカンファレンスで、
NASAは火星探査計画の中で民間企業との協力にふれています。

そこで明らかになったのが地球低軌道の範囲において、
究極的には、2020年代半ばに国際宇宙ステーションを民間の手に移譲したいと考えていること。

それにより、地球低軌道での研究を続けることが出来るとしています。

NASAは火星探査でコスト的にも手が一杯になるので、
国際宇宙ステーションの運営は民間にまかせて、研究のみ進めて行こうということでしょうか。

国際宇宙ステーションと言えば、つい先日には民間による宇宙飛行士輸送に備えて、
新たなドッキングアダプターが設置されたばかりです。

  国際宇宙ステーションに民間宇宙船用ドッキングポートを設置

今後もその利用は続けられる予定なんですが、
その管理人がアメリカ政府から民間企業へと移るのかもしれません。

国際宇宙ステーションは1988年から建造が開始され、
当初の予定では2016年に運用が終わるはずでした。

また、国際宇宙ステーションの主幹企業であるボーイングは、
現在、2028年を超えてもステーションが運用できるのかの判断を行っています。

今後、国際宇宙ステーションの運用を請け負う民間企業が現れるのか、
そして、どのようにステーションが利用されるのかは不明です。

でも、民間企業なら宇宙を舞台にした観光ビジネスなど、
これまでに無かった発想で、国際宇宙ステーションの運用が可能になるかもしれませんね。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 国際宇宙ステーションの運用が2024年まで延長へ

惑星に生命が存在できる条件。 恒星からの距離以外にもあったようです…

2016年08月25日 | 地球外生命っているの? 第2の地球は?
“ハビタブルゾーン”にあるというだけでは、
惑星に生命が存在できる条件としては十分では無い、という研究論文が発表されました。

他の条件として何があるのでしょうか?

どうやら、惑星誕生時の内部の温度も重要になってくるようです。
惑星内部の温度測定のイメージイラスト


距離以外の条件

惑星上に生命が存在できるかどうかの指標として、
「中心にある恒星からの距離がほど良く、惑星表面に液体の水が存在すること」が、
重要だと考えられています。

太陽系の場合だと、金星は太陽に近すぎるし、火星は反対に遠すぎることになります。

まさに地球こそがこの範囲にある惑星になり、
こうした距離範囲のことを“ハビタブルゾーン”と言います。

でも、惑星が単に“ハビタブルゾーン”に位置しているだけで生命が存在できるのでしょうか?

どうやら“ハビタブルゾーン”だけでは条件としては十分では無いようです。


惑星の内部温度が重要

他の条件として、惑星が作られた時点での内部の温度も重要な要因になるようです。

これまで、地球のような惑星の内部の温度は、
マントルの対流によって自己制御ができると考えられてきました。

自己制御が働けば、誕生時に惑星が超低温や超高温の状態でも、
やがて適温に落ち着くことになります。

でも、これまでの地球の進化に関するデータを集めた研究の結果によれば、
地球のような惑星ではマントル対流の影響は、
わずかなものでしかないことが示されることになります。

地球のような惑星は巨大衝突を繰り返して作られたと考えられていて、
その場合、惑星の大きさや内部の温度は非常に多様なものになります。

マントル対流による自己制御が働けば、どんな惑星も適温になるのでしょうが、
この研究結果では、そうしたことは起こらないということになります。

つまり初期の地球の温度は、高すぎることも低すぎることもない範囲にあったので、
いまの適温な環境があるということです。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 太陽を2つ持つ惑星に生命は存在するか? 水が液体で存在できる領域に惑星を発見


国際宇宙ステーションに民間宇宙船用ドッキングポートを設置

2016年08月24日 | 宇宙 space
19日に国際宇宙ステーションに滞在している米国の宇宙飛行士2人が、
民間宇宙船用のドッキングポートを設置しました。

これは将来的に、国際宇宙ステーションを訪れる民間宇宙船の増加が理由のようです。

未来を開く扉

NASAのジェフ・ウィリアムズ飛行士とケイト・ルビンズ飛行しは、
5時間58分の船外活動を行い“インターナショナル・ドッキング・アダプター”と呼ばれる、
2つのドッキング機能のうち1つ目を新設。

両飛行士は2時間以上かけてアダプターを固定し、
その後、国際宇宙ステーションのロボットアームでアダプターを確実に固定する作業が、
行われています。
国際宇宙ステーションのドッキングポート付近で作業を行う
ケイト・ルビンズ飛行士。

船外活動の残りの時間では、固定したアダプターに電源とデータケーブルを接続。

これで、国際宇宙ステーションに到着した宇宙船が、
電力とデータをステーションと共有できるようになるそうです。

2011年のスペースシャトルの引退後、
NASAは宇宙飛行士の輸送をロシアのソユーズ宇宙船に頼らざるをえませんでした。

なのでNASAは“インターナショナル・ドッキング・アダプター”によって、
この依存から抜け出すことが出来るんですねー

何よりアメリカの地から、再び有人ロケットの打ち上げが行われることにもなり、
飛行士を国際宇宙ステーションまで輸送可能になることから、
このアダプターを“未来を開く扉”と評価しているます。

計画が予定通りに進めば、
来年の後半には国際宇宙ステーションにアメリカの飛行士を送り届けるのは、
スペースXとボーイングの仕事になります。

そう今回のドッキングポート設置は、
スペースX“ドラゴンV2”とボーイング“CST-100”のためのものなんですねー

2つ目のアダプターの打ち上げは2017年後半になるそうですよ。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 民間有人宇宙船の開発は、ボーイング社とスペースX社に決定。


超大質量ブラックホールの成長のカギは超新星爆発にあった?

2016年08月23日 | 宇宙 space
銀河中心の超大質量ブラックホールの周囲に広がる高密度分子ガス円盤。

この円盤が、ブラックホールへの質量の供給源として重要だということが、
初めて示されたんですねー

このことは円盤で発生する超新星爆発が、
ブラックホールの成長を駆動するという理論予測を観測的に支持するもので、
超大質量ブラックホールの起源解明につながる観測結果になるようです。


ブラックホールへのガスの供給源

多くの銀河の中心には、
太陽の100万倍以上もの質量を持つ超大質量ブラックホールが存在しています。

でも、その形成過程は謎に包まれていて、
現代の天文学が解決すべき最重要テーマの1つになっています。

また、中心部での星形成が活発な銀河ほど、
銀河中心ブラックホールへのガス質量降着率も大きいことが知られています。
(ブラックホールに落ち込むガスの量が多い)

でも、この2つの現象を結び付ける物理機構はまだ分かっていません。

今回の研究では、アルマ望遠鏡などで得た高解像度の電波観測データを解析。

近傍宇宙に存在する銀河10個の中心に潜む超大質量ブラックホールについて、
その周囲数百光年にわたって広がる低温・高密度の分子ガス円盤を調べています。
(左)今回調査された銀河の1つ、ペガサス座に位置するNGC 7469の可視光線画像、
(右)NGC 7469の中心領域におけるシアン化水素分子輝線の強度分布図(疑似カラー)。
中心の十字が超大質量ブラックホールの位置。

すると解析から、
シアン化水素分子輝線の電波強度から見積もった“高密度分子ガス円盤の質量”と、
別の観測で知られている“超大質量ブラックホールへのガス質量降着率”に、
強い正の相関があることが明らかになります。

また、別に見積もった“銀河全体の高密度ガスの総量”と、
“ブラックホールへのガス質量降着率”には相関が見られませんでした。

このことは、超大質量ブラックホール成長に重要なガス質量の供給源として、
中心部の小さな高密度分子ガス円盤こそが、重要な機能を果たしていることを示す結果でした。


超新星爆発がガス質量降着のカギ

さらに、“高密度分子ガス円盤内で形成された大質量星が超新星爆発を起こし、
ガス中に強い乱流が発生することで、さらに内側へのガス供給が促進される”という理論モデルと、
実際の観測データをもとに、高密度分子ガス円盤からさらに内側に流入するガス質量を計算。

この値を超大質量ブラックホール近傍で実際に消費されているガスの総量と比較したところ、
これら2つの量は一致しました。

  ガスの総量とは、ブラックホールの成長に使われる質量と、
  ブラックホール近傍で発生する強い放射で外部に吹き飛ばされてしまう質量の合計。


この理論モデルでは、
超新星爆発(星形成と関連する現象)がガス質量降着のカギになっていて、
「中心部での星形成が活発な銀河ほど、銀河中心ブラックホールへのガス質量降着率も大きい」
ことを自然に説明できるんですねー
銀河中心部で起こっている超大質量ブラックホールへのガス質量降着過程(イメージ図)。
高密度分子ガス円盤中で発生した超新星爆発が周囲に強い乱流を引き起こし、
安定な運動を妨げられたガスが中心に向かって流入する様子を表している。

今回の結果は、観測からこのモデル予測を裏付けるものになります。

超大質量ブラックホールと星成分の研究に、低温高密度分子ガスの観測を加えることで、
銀河中心数百光年以内の小さい領域におけるガス質量の流入・流出の収支が、
初めて整合的に説明されました。

今後、アルマ望遠鏡を用いた遠方ブラックホールの詳細な観測から、
宇宙の昔と今にわたるブラックホールの成長の包括的な理解が進むと期待されています。


こちらの記事もどうぞ ⇒ 初めての直接観測。 ガス雲が秒速300キロで超大質量ブラックホールに向かって落下している様子

アメリカ版“はやぶさ”9月に打ち上げ! NASAの“オシリス・レックス”ミッション

2016年08月22日 | 宇宙 space
2010年に小惑星イトカワからサンプルを持ち帰った“はやぶさ”。

日本の“はやぶさ”の成功は記憶に新しいのですが、
アメリカのNASAも小惑星からのサンプル・リターン計画を進めているんですねー

小惑星探査機“オシリス・レックス”を9月8日に打ち上げるそうです。


サンプル・リターン(試料の持ちか帰り)

直径約500キロの地球近傍小惑星ベンヌからのサンプル・リターンを目指すのは、
ロッキード・マーティン社で開発された小惑星探査機“オシリス・レックス”です。

ベンヌのサンプルからは初期太陽系の姿が解明されることが期待されていて、
それを解明することで惑星の誕生や生命の起源についてのヒントを得ようとしています。

予定では“オシリス・レックス”は2018年にベンヌに到着し、軌道上から2年間観測を行います。

そして2020年6月にベンヌに降り立ち、ガスを噴射することで60グラムのサンプルを採取。
ベンヌへの接触は実際には5秒程度になるようです。

小惑星ベンヌからサンプルを採取する
NASAの探査機“オシリス・レックス”(イメージ図)。

サンプルの入ったカプセルが地球に到着するのは2023年9月を予定していて、
“オシリス・レックス”自体は小惑星と一緒に太陽を周回し続けることになります。

近年は小惑星からのサンプル・リターン計画が注目されています。

“オシリス・レックス”は、NASA初の小惑星探査機によるサンプル・リターン計画になりますが、
日本では“はやぶさ”の成功に続き、
“はやぶさ2”が打ち上げられ、小惑星リュウグウに向けて順調に航行を続けています。

“はやぶさ2”がリュウグウに到着するのは2018年の6月から7月頃。

約1年半にわたって探査活動を行い、2019年11~12月ごろに小惑星を出発し、
2020年の11~12月ごろにサンプルを持って地球に帰還する予定になっています。
(飛行は約6年で、全行程は太陽の周りを周回するため約52億キロに及ぶそうです。)

“オシリス・レックス”が打ち上げられるのは2016年9月。
ケープ・カナベラル空軍基地から、
ユナイテッド・ローンチ・アライアンスのアトラスVロケットで地球を旅立ちます。

両探査機がもたらす成果によって、
太陽系の成り立ちや生命の起源についての研究が、さらに進むことが期待されますね。


こちらの記事もどうぞ
  小惑星探査機“オシリス・レックス”、システム統合審査を通過。
  リュウグウへ向けて! “はやぶさ2”が追加イオン・エンジン運転で軌道修正に成功