akikoの「活動」徒然記

活動弁士佐々木亜希子の身の周りの出来事やふと感じたこと

中日新聞の取材~(株)テクノコア「AXIZ」

2007-06-20 | 取材・メディア
19日、中日新聞の取材を受ける。
文化面の『私を決める』というコーナーで、先日の大手町カフェ活弁ライブへいらして下さった記者の野村由美子さんがインタビューして下さった。今の自分の仕事に大きな影響を与えたものや出来事、おおげさにいえばターニングポイントを一つあげ、今の自分との関わりを語るというコーナーに、私は2001年の「下呂温泉チャップリン映画祭」をあげた。私にとって初の出張公演であり、その時の想いと体験が今の活動の礎になっているからである。掲載は7月上旬の朝刊とのこと。今秋には、浜松や岐阜でもまた活弁公演をさせていただくので、中日新聞の読者の方々に興味を持って頂けたら幸いである。

その後、(株)テクノコアを訪問。いつも私の活動を応援下さっている社長の鎌田修さんと、NPOニュースタートのスタッフ栗原隆志さんを引き合わせる。

(株)テクノコアは、システムの受託開発を行うIT企業で、数年前から事業の一つとしてIT技術者の教育を行っている。全くの未経験者でも「1から技術を身につけてIT企業に就職し、この業界で働きたい」と望む人、また、「スキルアップをはかりたい」という意欲的な技術者のために門戸を開くIT技術者養成スクールAxiZである。他にはない真摯で労苦の多い先駆的な試みは帝国データバンクNEWSに掲載された記事のとおり。

NPOニュースタートは、ニートや引きこもりの若者の再出発を支援する団体である。今年の年初に放送されたNHK土曜ドラマ「スロースタート」は、このNPOニュースタートの実話をモデルにしたもので、近年増えてきたこうした団体の中の先駆者である。
まずは、家庭でのひきこもりから、寮での共同生活へ誘導。人とのコミュニケーションの中で少しずつ社会に出て行くためのリハビリをする「学校ではない学びの場」「会社ではない働きの場」を提供している。最終的には、いわゆる社会人として自立してもらうことが目標である。
一人の人間の厚くなった殻を破るのは、容易なことではない。本人が自分の殻を破るために、早いうちに外側から手助けしてくれる人があるにこしたことはない。放置する環境にあっては、何もなさぬまま、時だけが過ぎて、殻は厚くなっていく。
同じような境遇にあった者どおしが集まる寮生活は、多分、最初は安心感が得られたり、共感を得られたりするだろうが、さらにそこから自信を持って社会へ出て行くためには、逆にそこが、妥協とあきらめに陥りやすいぬるま湯的環境になりかねない。60人もの寮生とともに生活しながら、サポートしている栗原さんは、「自立して社会に出て行くまでには、それぞれに段階があり、非常に時間のかかる支援作業」という。

自分に自信が持てない、目標ややりたいことが見えない、人と関わりたくない、どうしてもマイナス思考になる、それは、おそらくほとんどの人間が経験することだ。でも、なんらかの、そして何度かのきっかけがあって、自分に自信が持てるようになり、やるべきことが見え、もがいてやっているうちに一つ一つハードルを越えている。そんなもんじゃないか。
環境も大きい。自分が日常置かれている環境、周りにいる人々。何が「自分にとっての当たり前」になるか。

AxiZに来る入校生は、いわゆるフリータ-だったり、職場を転々としてきたり、学校を中退してなんの資格もなかったり、といった中で自分で再出発を決意した人たちばかり。年齢的体力的な限界を感じ、IT業界への確実な転身のため、ここを選んだアスリートもいる。彼らが、みんな、2、3ヶ月、必死で勉強し、お互いに励ましあい、だんだんと自信を持つようになって、企業に認められ、また自分の行きたい企業がみつかって就職していくのを、社長の鎌田さんは、厳しく温かく導く。これまで正社員として就職した卒業生は140人ほど。就職率100%、企業の信頼性も高い。

鎌田さんの言葉には迷いがない。
「技術以上に必要なのは、人間性と協調性。仕事や課題に真摯に取り組み、情熱とマナーがあること」だから、最初の面接から本人の姿勢に対しては厳しいし、入校したら徹底して面倒をみる。
リスクを背負いながらの教育事業への投資。「企業に対しては、技術、人格ともに望まれる人材を。若者に対しては、IT企業への技術者としての就職を望む人全てに、確実な道とチャンスを!」。会社の経営だけを考えたらやる必要のない事業だった。眠れない日々が続いた1年目、2年目、だが、巣立っていく卒業生の溌溂とした顔を見ながら、信念と情熱を傾け続け、徐々に事業も軌道に乗り始めた。

ニュ-スタートには、コンピュータ関係の仕事を請け負う関連会社もあり、その中で仕事をするうちにスキルアップと企業就職を考える人も出てくるという。「AxiZ」が、そういう人たちの選択肢の一つになったらいい。

継続的に自分を奮い立たせ、前に進み続けるのはたいへんなことである。「絶対にできる」そう思わせてくれる存在が身近にいることがエネルギーになったりする。
もう一つ。「人は『誰かに必要とされている自分、役に立っている自分』を感じて自己の存在価値を肯定できた時が転機になっていたりするよね」と、栗原さんと二人お茶しながら。「そうですね、多分、意識が自分の内側から外側に向く、ターニングポイントですよね。それが皆に早く訪れてくれるといいんですけど」
私自身も、多くの尊敬する人たち、周囲の応援してくれる人たちのおかげで、今立っている場所があり、前を向いている気がする。まだまだ、心配も迷惑もかけているが。
明快な鎌田さんの言葉の数々に、私も、栗原さんも、たくさんの刺激をいただいた。お忙しい時間を割いていただいたことに感謝するとともに、このパワーがニュースタートの寮にいる皆さんにも届く事を願う。

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