akikoの「活動」徒然記

活動弁士佐々木亜希子の身の周りの出来事やふと感じたこと

江戸小紋の染め工房へ

2006-04-10 | 映画・芸術・エンターテインメント
とても親しい染師の友人がいて、彼女のいる染め工房(富田染工芸)に、見学したいという友人4人をお連れしました。神田川沿い、面影橋のすぐそばにある工場は、現役のもっとも規模の大きな小紋染め工場です。
江戸時代には浅草近辺に多かった染め工場は、明治に入ると、神田川の清流を求めて下流から上流へ、高田馬場界隈に移転します。この工場は、大正3年に建てられた建物そのままで、中での作業システムもほとんど当時と変わりません。機械化とプリント技術の進んだ大量生産時代に、今も、色糊の調整から染め、蒸し、水洗いまで、全てが職人さんの手で丁寧に行われています。

所有する型紙はなんと10万枚! 
伊勢で彫られたこの和紙製の型紙(柿渋で補強してあります)は、江戸時代からのものも多く使用できないものも含めてといいますが、それにしてもすごい数です。

友人はここで染めの仕事を始めて12年目。ようやく伝統工芸士の受験資格を得られる年となりました。東京染小紋の伝統工芸士としては女性第一号となるので、周囲の期待もひとしおです。
彼女はとても腕がいい。技術も、センスも抜群。肌理の細かさと大胆さを合わせ持ち、上品で落ち着いた配色が持ち味です。(でもそれだけではだめで、この仕事、男並みの体力がいるのです。一枚40キロの板を一日何十回も上げ下ろしするのですから!脱帽です)
彼女が先日美川憲一さんに染めた着物もとても好評だったとか。

型染めの難しさと苦労、そして魅力は、実際に見るのが一番です。「やはり手で染めた本物がいい!」と必ず思います。その精緻な染めの技術と、奥の深さと、職人の世界の変化と、現在の流行や大量消費社会に逆行した伝統工芸の厳しい現実を垣間見つつ、みんなが染めの世界に魅了されて帰ってきました。工房のあの独特のにおい、空気、光。
彼女は「ここは本当に、先達が試行錯誤して改良を重ねてきた智恵の固まり。一つ一つの道具や配置は、より使いやすく、より美しく染めるために工夫されて受け継がれてきた。私達はそれを引き継いで使わせていただいていることに感謝」という。

今は職人さんたちも、
お客さまに、着物の染めの行程を見ていただいて、どうやって染められるのかを知っていただき、好きな型と色を選んでもらい(組み合わせやグラデーションなども自在)、オーダーメイドデザインで、その人の好みのものを作っていただきたい、と望んでいるようです。

私も、今年は彼女に着物を染めてもらいます。その着物で舞台に立つのが楽しみです。

富田染工芸の敷地内には、東京染ものがたり博物館(月曜休館)もあります。
ぜひ一度、訪れてみて下さい。
とっても味のあるおじさまが、丁寧に説明して下さいますよ!
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