NHK執行部は12年度から受信料を「5%」引き下げる案を経営委員会に提出した。だが現行の経営計画には「10%還元」をすべて値下げでおこなうと明記され、同委員会はこの案に反発を強めている。5%とすれば、毎月わずか70円(1ヶ月の地上波放送代が1345円)の引き下げにすぎない。それにNHK執行部では放送センターや仙台放送局の立替や移転に1000億円以上をかける計画で、これを「施設耐震強化」として「還元案」のなかに織り込む考えである。しかしこの屁理屈にはいい加減にしろ、という声があがっている。
NHKの値下げは、07年当時の菅義偉総務相が2割前後の引き下げを求めたことから検討課題となった。当時の橋本会長はこれを拒否し「7%の値下げ」を妥協案で出したが経営委は「内容が不十分」として却下。だが福地茂雄会長になってから値下げはするが、その幅を提示しない経営計画を提出。これに経営委が修正動議を出し、12年度から「10%還元」が決まっていた。
NHK執行部が値下げをしぶる理由はまず受信料収入減があげられる。今年度は、08年度にまとめた収支予測より2%減の6680億円となる。また大震災で受信料免除世帯が増加(約60億円に相当)、さらには地上デジタル放送への移行で10万件以上の契約解除の申し込みがあった。そのため松本会長は「10%還元」を決めた08年よりも環境が大幅に変わっているとして、値下げ幅の縮小を主張している。
現在、NHKで問題とされるのは「耐震強化」の名目による仙台放送局の立替などの不動産投資である。NHKは8月末に新たな土地を青葉区本町2丁目に35億円(1673坪)で取得した。ホテル仙台プラザに隣接し12年から6年かけて建設する計画で総工費を100億円計上している。だがこれに数土文夫経営委員長が次のように猛反発した。「これから契約して6年後に建物完成ということですが、普通では考えられないくらい期間が長いと思います。なぜこんなにかかるのかということです。製鉄所でも今、埋め立てから全部行って5年です。6年かけるというのは、それだけで経営の緊迫感や緊張感がないと思います。6年間もこれに関与すると必ずロスが出てきます。そんな余裕があるのかということです」
たしかに委員長の指摘の通りである。受信料で得た土地を6年も「寝かせておくこと」はとうてい考えられない。 さらに渋谷の放送センターを1000億円かけて立替する計画もある。09年11月、当時の福地会長を委員長とする「新放送センター建設検討委員会」が発足、検討に乗り出した。放送センターは代々木公園の南側にあり、敷地面積は約2万5000坪。本部機能をになう地上23階建ての本館や番組収録用のスタジオがある東館、報道部門の入る北館など4つのビルと、NHKホール(3600席)が立ち並び、延べ床面積は7万坪にのぼる。立替は、機能が1ヶ所に集中した今の形を見直すことも視野に入れている。スタジオなど教養・娯楽番組の制作拠点を用地代の安い場所に移したり、事務系部門を賃貸ビルに入居させたりする案も出ており、2015年頃にまとめるという。
だが、値下げをしぶる一方で1000億円以上かけて放送センターを立替とは言語道断というしかない。今後はワンセグなどPC利用者に対しても受信料をとるというからあきれる。それに職員の年収も1300万円(40代なかば)と高給で、まずは職員リストラなどに着手してから施設建設に入るべきだろう。子会社にも「埋蔵金」が数百億円もあると囁かれている点も無視できない。こうしたNHKの矛盾する経営方針と暴走にはさらなる監視が必要である。
NHKの値下げは、07年当時の菅義偉総務相が2割前後の引き下げを求めたことから検討課題となった。当時の橋本会長はこれを拒否し「7%の値下げ」を妥協案で出したが経営委は「内容が不十分」として却下。だが福地茂雄会長になってから値下げはするが、その幅を提示しない経営計画を提出。これに経営委が修正動議を出し、12年度から「10%還元」が決まっていた。
NHK執行部が値下げをしぶる理由はまず受信料収入減があげられる。今年度は、08年度にまとめた収支予測より2%減の6680億円となる。また大震災で受信料免除世帯が増加(約60億円に相当)、さらには地上デジタル放送への移行で10万件以上の契約解除の申し込みがあった。そのため松本会長は「10%還元」を決めた08年よりも環境が大幅に変わっているとして、値下げ幅の縮小を主張している。
現在、NHKで問題とされるのは「耐震強化」の名目による仙台放送局の立替などの不動産投資である。NHKは8月末に新たな土地を青葉区本町2丁目に35億円(1673坪)で取得した。ホテル仙台プラザに隣接し12年から6年かけて建設する計画で総工費を100億円計上している。だがこれに数土文夫経営委員長が次のように猛反発した。「これから契約して6年後に建物完成ということですが、普通では考えられないくらい期間が長いと思います。なぜこんなにかかるのかということです。製鉄所でも今、埋め立てから全部行って5年です。6年かけるというのは、それだけで経営の緊迫感や緊張感がないと思います。6年間もこれに関与すると必ずロスが出てきます。そんな余裕があるのかということです」
たしかに委員長の指摘の通りである。受信料で得た土地を6年も「寝かせておくこと」はとうてい考えられない。 さらに渋谷の放送センターを1000億円かけて立替する計画もある。09年11月、当時の福地会長を委員長とする「新放送センター建設検討委員会」が発足、検討に乗り出した。放送センターは代々木公園の南側にあり、敷地面積は約2万5000坪。本部機能をになう地上23階建ての本館や番組収録用のスタジオがある東館、報道部門の入る北館など4つのビルと、NHKホール(3600席)が立ち並び、延べ床面積は7万坪にのぼる。立替は、機能が1ヶ所に集中した今の形を見直すことも視野に入れている。スタジオなど教養・娯楽番組の制作拠点を用地代の安い場所に移したり、事務系部門を賃貸ビルに入居させたりする案も出ており、2015年頃にまとめるという。
だが、値下げをしぶる一方で1000億円以上かけて放送センターを立替とは言語道断というしかない。今後はワンセグなどPC利用者に対しても受信料をとるというからあきれる。それに職員の年収も1300万円(40代なかば)と高給で、まずは職員リストラなどに着手してから施設建設に入るべきだろう。子会社にも「埋蔵金」が数百億円もあると囁かれている点も無視できない。こうしたNHKの矛盾する経営方針と暴走にはさらなる監視が必要である。