「お値段以上…」ニトリの敷ふとんを購入されたお客様が、相談に来られました。持って来られたのは「羽毛+低反発敷ふとん シングル(ウモウ+テイハンパツ4 S)9,990円(税込)という商品です。お安いですね。一面ではキャッチフレーズの通りに「お値段以上」ですね。同じ商品を作ろうとすれば、この価格では到底できません。同じ商品をつくろうとは思いません。負け惜しみではないが()、もし作るなら、中芯は天使のオーバーレイを入れ、羽毛はダウン90%以上、そして、ゴアラミネート加工された綿100%の側生地を使用したいですね。羽毛の吹き出しも無くなり、アレルギーの方も使えるように。でも、価格は8~10万円と、一ケタ違ってくるでしょう。それでもご希望の方がお見えでしたら、ご相談ください。
ニトリHPより
羽毛(ダウン50%)と低反発ウレタンの組み合わせです。とてもソフトな敷ふとんです。柔らかいのをお探しであれば、その点では「良い」商品かもしれません。
相談というのは、写真(下左)のように畳むことができないと言われます。撥ねて広がってしまうと言われます。右の写真のように加工できないかとの相談です。弊店のお客様ではありません。初めてのお顔です。社員のfacebook繋がりの方です。友達の友達ですから、お目にかかるのは社員も今日がはじめてとか・・・。なんとか快適に眠りたいとの思いから、弊社社員に相談されたのでしょう。
ニトリHPより
当初、お電話での相談でした。中のウレタンが凸凹(プロファイル)加工されているとのことでしたから、普通のウレタンが入っていると思いました。そのウレタンをご自分で3分割されましたが、切っただけでは上手く畳めません。側にミシン掛けをし、三部屋にして欲しいということです。「今から、持って行く」と言われ、ほどなく来店されました。
側だけ持って来られ、中のウレタンは持って来られませんでした。初めに疑問に思ったのが、そのウレタンは本当に低反発商品か?という点でした。もし、低反発であれば、プロファイル加工はしないと思いますし、必要ないはずです。お客様の勘違いか、爺の聞き間違いでしょうか。
100歩譲ってプロファイルでは無いとしてもオカシイのが、「撥ねてしまう」ということです。低反発という性質からは考えられ無いので、 「低反発」以上「高反発」未満 の低反発に近い品質ではないかと思われます。低反発・高反発でも無いウレタンを最近では「中反発」と呼ぶところもあるようです。
次に考えたのが、低反発ではあるが、世間一般に流通している低反発ウレタンより、「硬い」が故に曲がらない、曲げにくいウレタンになってしまった可能性です。ウレタンは、発泡をする際の薬品の少しの差や、気温・湿度によっても、硬さに違いが生じます。ウレタンの場合は化繊わたなどと異なり「品質の安定」と言う意味ででは、もともと品質に誤差が生じやすい製品です。
ウレタンの密度を計算してみました。品票には、ウレタンの重量は記されていましたが、サイズは記されていませんでした。概算で、厚さが、4cmなら比重は約30kg、5cmなら比重は約24kg程度になります。一般な低反発ウレタンは35~40kgの密度ですから、やや品質が劣るような気がしますが、コレだけで粗悪品と断定はできません。
本題のお客様の希望(三折りにしたい・単純にミシンで縫う)通りにするということは、以下のような問題点が生じます。①広げた(敷いた)時に、隙間ができる。②マチ仕立てではないので角が潰れる。…の2点です。
隙間ができるなどの問題点を無視したとしても、一枚ものの商品を、後から、三つ折タイプにするのは手間が掛かります。上層部の羽毛の始末など、作業量からして請求する金額は、希望通りに再加工すれば、購入金額(9900円)以上になる可能性があります。
お客様は、ミシンで簡単に縫えると思ってみえたようです。縫うだけで良いと言われますが、折りたたみ易くすればウレタンとウレタンとの隙間は√2の2倍…すなわち厚さの2.8倍以上11㎝は必要となります。実際は低反発なので、この間隔はもう少し狭くなるとはいえ、10㎝前後の隙間は生じます。妥協した縫製であっても、購入金額の半分以上の金額になると思います。
折りたたみ易くすれば隙間が生じ、寝心地は最悪となるでしょう。
素材は良いモノであっても、製品化した時に期待通りの商品になるとは限りませんね、、、場合によっては「お値段以下…」の価値になることもあります。安物買いの銭失いとならないように気をつけて下さい。……イヤミなふとん屋の爺
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