普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

米国紙が見た民主党の子ども手当て

2009-08-25 14:13:33 | 民主党

 ネット上で表記のような報道を見ましたので紹介します。
 新聞社はNEWSWEEK、タイトルはThe Penalty for Saving・Why Germany and Japan are in pain.です。  
 

[内容の概要]
・勤勉な蟻と、遊び好きなキリギリスの寓話を覚えているだろうか。然し世界的な不況の教訓は、イソップが言ったように実生活では蟻のように勤勉に働き、貯えた人に報いることは無かった。米国や他の国のキリギリスの経済は傷ついたかも知れないが、日本やドイツのように多く貯えた国の経済は生命維持装置に頼っている。OECDは今年の米国の経済は2.8%、英国は4.3%の縮小と見ている。今まで大きな業績を上げてきた日本は6.8%、ドイツの6.1%だ。
・一体どうしたのか? 端的に言えば、もし米国の消費者がモールに行かなければ、日本とドイツの作業者に仕事に行かなく(行けなく)なる。キリギリス経済国の人達は彼らが生産できる以上のものを消費して生活してきた。一方、蟻経済国では、消費出来る以上のもの生産し節約して来た。  
・今までの所キリギリス国の修正の動きは経済の苦痛を和らげている。彼らは消費を減らし、もっと投資をしなければならない。そしてそれは米国の貯蓄率の急激な上昇が示すように、かなり急速に達成できる。その一方蟻の国は生産を減らさねばならないが、そのことは工業生産量の厳しい落ち込みの引き金を引くことになり、そのダメージは戦後の不況の経験を遥かに超えている。日本とドイツは全体的な戦略を見直す必要がある。
 ドイツのようにユーロという経済的なバッファー・ゾーンをもたない日本はもっと早くもっと柔軟に見直しを行うべきだ。
・そのゴールは何であるべきか?
 彼らは国内経済を強化すべきだ。日本は金持ちの国で、比較的に輸出に頼る割合は多くない。(対GDP比では英国の28%、フランスの28%に対して日本は17%だ。)国内需要が余りにも少ないため、最近迄かってないほど輸出や輸出関連の投資に頼っていた。今や名目賃金は1992年のそれに近くまで落ちている。
・日本ではこれらの問題は殆どここ十年に亙って、トニー・ブレアと比較される小泉純一郎の政治的支配のよって表にでなかった。小泉の稀代のカリスマ性はサッチャー・リーガンの供給重視と金融引き締め政策、それと財政官僚や大企業が好きな「弱い円」を組み合わせた(彼流の)やり方を実行するのを可能にさせた。
・小泉改革は有効だった。然し平均的勤労者への影響は、(収入の減少などで)彼らの税金、社会保障への負担を大きくし、仕事をよりへ不安定にし、日本の真の競争力に貢献するする筈の、彼らの貯金を価値を下げたことだ。
・自民党の勢いの低下傾向は回復不能のように見える。野党の民主党のリーダーは決定的にカリスマ性に欠けているが、彼らは重大な問題について理解しているように見える。
  彼らの月に子ども一人当たり2万6千円の子ども手当て支給と言う、フランス流の気前良い計画は国の出生率を上げようとするものだ。(それはフランスでは巧く機能し、ヨーロッパ一番の出生率を持っている)。
  日本の惨めな人口構成は、長期的に見て住宅価格や一般的な経済の信頼性に暗い影を投げていることを考えれば子ども手当ては良い考えだ
 要点は民主党の計画はここ10年の日本の政治的優先事項に突破口をあけたことだ。
  それは更に進めて行く必要がある。
 次期政権は日本銀行を登場させ、インフレーション目標を設定し、バーナンキ流の金融操作をすべきだ。
・政権は税金の重荷を財政縮小の犠牲者である家庭から会社にシフトし、信頼出来るセイフティー・ネットを提供することにより、経済的な不安定の問題に取り組まなければならない。
・日本は最終的に戦後のバブル後の沈滞状態を抜け出ることが出来るのだろうか?
 真実は日本は今までのところ実際にトライしようとはしていない。
 然し日本の蟻たちが危機のショックで、幾らかのキリギリスのトリックを学ばぶとしたら、一般の日本人にとっても、世界に取っても良いことに成るだろう。

[私の意見]
・正直言って、米国が同国発の大不況で、日本だけでなく、世界中に大迷惑を掛け散らしておき、今まで米国流のやり方を小泉さんに押しつけた日本に就いて良くも批判出来るものだと思いますが、これが欧米人の特徴でしょう。
・子ども手当て支給についてはも目新しい視点だと褒めている日本の評論家もいるようです。
・民主党は独自の経済政策がないとの批判に、子ども手当て、高速道路無料化、ガソリン税などの暫定税率廃止により、国内需要増大に経済政策をシフトさせると言っているようです。
 然し前にも書きましたが、野村証券金融経済研究所は前記の諸施策により、個人消費が22年度に0・3%、23年度に0・5%しか押し上げられないと試算しているようです。
・この事実は、民主党の子ども手当ては、高速道路無料化とともに選挙対策としてのばら蒔きの一貫として決定されたもので、ニ・ウ紙が指摘した様に子ども手当てが日本の歪んだ人口構成を変えるとか、また下記のように結婚する人が増えて住宅の建設やそれに伴う家具の購入を増えるなど、長期的、総合的視野に立った経済回復など考えて無かったのが民主党経済政策の評価を押し下げた一番の原因だと思います。
 
・地域のテレビで子ども手当てを貰っても、託児所に余裕がないので手当ての使いようがないなど話がでていましたし、私の属するグループの小母さんたちに訊いても、消費性向の強い若い母親に的を当てたのは良いが、対象になる若いカップルの半数近くは、将来の子どもの進学や老後のために貯金して置く人達が多く、即効的な内需拡大は余り期待できないのではないかと言って居ました。
・私は民主党はの下記のような、マニフェストにばらばらに書かれている政策を、経済回復の項目で纏めて訴えておけば良かったのにと思います。
  詰まり、ニ・ウ紙が言うように、子ども手当て、託児所の増設、産婦人科医の増員→人口増→日本に今の歪んだ人口構成の正常化
 子ども手当て→内需拡大
 介護施設の増設、施設の職員の給与改善→介護要員増大→雇用機会の増大→内需拡大と、老後の不安の減少→若者の消費の増大
  非正規職員の安定化(待遇の改善、地位の安定、雇用保険の整備、失職したときのセイフティーネットの整備)→結婚する人の増大、老後の不安の減少→結婚する人の増大→住宅の需要増加、消費の拡大
 託児所や介護施設の増設や有効利用→内需拡大
などなど思いついただけでも、子ども手当てとその他の諸施策を併せた相乗効果がかなり期待出来るでしょう。
  民主党は政権獲得の暁には、日本経済の回復と言う大きな視点からもう一度マニフェストを総合的に見直し、修正すべきだと思います。
  そして狭い国土と乏しい資源、そこに住む多くの国民を考えると、ニ・ウ紙が言うように内需拡大だけで済む訳なく、蟻ではありませんが、現在の生活水準を保つためには、今までのような勤勉と、資源のない日本では、何かを産み出す製造業の強化や、その製品輸出のための企業の競争力強化は、国として避けて通れない道だと思います。

このブログを、より多くの人にも見て貰いたいと思っています。どうぞご協力をお願い致します。

政治ブログランキングへ

政治ブログへ