普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

絶不調の電機業界・回復の鍵は日本企業の長所を取り戻すこと

2012-11-05 20:50:33 | 企業経営

 ・現実離れした米国の年次改革要望書・企業は従業員のもの、社会のためにあるものを忘れた企業・技術の安全補償を忘れた日本
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月曜日の読売の1面と3面の見出しと各社の状況です。
・シャープ赤字拡大4.500億円、ソニー400億円赤字、脱テレビ暗中模索、電機業績悪化相次ぐ、海外税に遅れ鮮明という大きな見出し。
・日立:家電事業の収益悪化301億円の黒、東芝:液晶テレビ・ハソコン計画を下回る251億円の黒、ソニー:家電 事業の営業赤字で401億円の赤、バナソニック:携帯電話事業の失敗、リチュウムイオン電池の不振で68516億円の赤、シャープ:液晶在庫の評価損、、太陽電池事情の失敗で3875億円の赤
・アップル:iPhone、iPad販売好調で6600億円の黒字、サムスン:スマートフォン、液晶テレビの好調で4800億円の黒字
偶然ですが日本の上記黒字、赤字の集計が10,575億円、アップル、サムスンの集計が11,400億円とほぼ同じ数字なのは象徴的です。
「私の意見]
・経済環境の劇的な変化
 基本的には中国のように厖大な低賃金の人口を持つ途上国の台頭→日本企業の競争力低下→非正規社員を増やした結果、平均賃金の低下、貧困化、格差の拡大→それに対する国内の批判増加。中国などの賃金の増加でどの程度まで進めばバランスして来るか判りません。
・デジタル家電のプラモデル化
 日本が負けている原因の一つは機器のプラモデル化で、特に組立に技術の要らないものばかりです。これは日本の自動車がまだ健闘しているのをみれば判ります。
・それを上手く処理しているのはアップル社です。iPad, iphoneの圧倒的なシェアによる大きな購買力で技術を要するものは日本など先進国で廉価で調達し、組立は給料の安い途上国で行えば良いのです。逆に言えば大儲けをしているアップル社がどれだけ米国の雇用改善にどれだけ貢献していると思うのですが、自由競争の米国ではそれで良いのですが、日本ではそう言う訳には行きません。
・円高問題
 この円高の原因は既知のことなので省略しますが、経済学者の中には日本は拡大しつつあるサービス業に転換すべきだと言う人も居ます。
 然し製造業の不振の問題を取り上げたNHKの特集では、製造業のGDPはサービス業のそれの2倍に達しているそうで、日本経済はなお製造業・輸出に頼るしかないようです。
 そのためか政府・日銀とも金融緩和を更に進める方針のようですが製造業のカンフル注射にもならず円安にも効果が出ないようです。
 この際異論の多い積極財政派の意見に従って及び腰(詰まりいざと言う時には方針変換の体制を取りながら)で思い切った金融緩和や国債の増発に踏み切るしかないのかも知れません。
・技術保全の問題
 ネット上では韓国のサムスンやLGの技術は殆ど日本のものだと言っています。
 確かにリーマンショックの時に今まで放置していたホワイトカラーの人中心にリストラしたときに多くの日本人技術者が韓国に渡ったそうです。
 その一方では中国に進出した大企業が日本の中小企業に企業のノウハウが一杯詰まった金型の図面を提出させ、それを中国の下請けに流したとして問題になったことがありました。
 その最近の話題が新日鉄住金vs韓国ポスコの紛争ですがこれにも新日鉄の技術者が関与しています。
 日本の企業は余りにも技術保全に関して脇が甘すぎたようで、それがそのまま自分の首を締める結果になっています。
 それと日本企業はハードばかり重視して、ソフトや、ソフトとハードを応用した戦略を軽視したことで批判されています。
 その一番の原因と言うか原因の一つは日本で開発された「TRON」に就いてWindowsを持つ米国からのクレームで開発を中止し、日本企業のソフト開発の意欲をなくしたことですが、今後はiPadなどのように日本もソフトの開発やその応用に力を入れるべきです。
・販売戦略の問題
 世界へ眼を向けている韓国企業ととかく内向きな日本企業への批判があります。
 大きな世界市場→大量生産→製品価格低下で国内で小さいシェアを争っている日本企業が韓国企業に不利になるのは当然です。
・企業の無国籍化
上記のような諸問題は企業の無国籍化関係しています。
小泉さんは米国の年次計画要望書をそのまま採用して、中国始め開発途上国の台頭と言う経済の激変期に大規模な規制緩和をし、米国の言う通りに市場中心主義の自由経済を導入しました。
その流れに乗った企業の多くは一昔の「企業活動による域社会貢献」など忘れてグローパル化に載って次第に無国籍化し、中国などとの厳しい競争の中で目の前の金が総ての経営に走りました。 (そのよい例が大量のリストラされた人の国を挙げての救済を張本人の経団連が傍観してそいたことです。)
  そしてチームワークや愛社精神に基づく自主的に改善活動で伸びて来た日本企業は米国流の成果主義を導入し、今までの強力な武器を捨ててしまいました。
そして企業は株主のものとして今まで大切にされてきた従業員は施設と同列に扱われはじめました。 (その典型的なものが非正規社員は人件費でなく経費で処理されています。)
規制緩和の一方では政府、特に経産省の企業活動の関与のレベルが下がって来ました。
そしてかって言われていた日本株式会社は完全に消滅しました。
そうした風潮の中でリストラされた技術者が中国、韓国に流れても、企業の技術やノウハウが外国に流出しても、日本政府も企業もそのままにしていました。
米国の行き過ぎだ市場中心主義、自由主義経済の方向が少なくとも時勢にあっていなかったのは御本尊の米国やEUの今の停滞をみれば判ると思います。
 開発途上国を除いて今世界で元気がよいのは、ユーロ安の恩恵を受けているドイツと、国全体が株式会社化している中国と韓国です。
 中国は国策として東南アジアやアフリカ、南アメリカ、オーストラリアなどに手を伸ばし、資源獲得のために手を伸ばしています。
 韓国は実業界出身の李大統領の主導指導のもとに米国、EUなどとFTAを結ぶなど参照で示したような政策を結び実行しています。
私は米国、中国、ロシヤなど大きな領地とそれに似た経済圏を持つEUと対抗するためには、日本もかってのような日本株式会社化し、日本企業の良い所である従業員と技術を大切にすることして生きるか、このまま貧乏になるのを我慢するしかないような気がします。

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参照:管政権と韓国政府の政策の比較
竹中平蔵さんの「いまこそ李明博の“政治主導の”経済政策に学べ」 と言う記事に出くわしたのでその概要を纏めて見ました。
・韓国経済の強さを語るうえで欠かせないのは、現大統領・李明博の政治的リーダーシップであろう。李明博政権発足直後、韓国の未来戦略や公共部門の改革などについて大統領に助言を行なう私の他にビル・ゲイツ会長、シンガポール前首相のゴー・チョクトン氏を含む経済人15名から成る「大統領国際諮問団」を組織。
・大統領選挙のマニフェスト作成には、約400名もの専門家を民間から集めた。
・マニフェストの内容
 国内企業が投資意欲を取り戻して経済成長を導くことができるように規制の撤廃、税率の引き下げ、企業関連サービスのグローバル・スタンダード化、労使関係の法制化を推進
 法人税を競争国水準(20%)に引き下げ、税額控除を拡大。
・金融分野においても、大規模な規制緩和
・韓国はすでに米国とは2007年にFTAを締結済みだが、現在、EUとも仮締結を終え、さらに中国・インド・ロシアとも締結に向けた交渉を進めている。
・環境、最先端エネルギー産業、先端保健医療産業など、高付加価値の産業を掘り起こし、支援
・研究開発の投資をGDPの5%に拡大するために、R&D投資に対する予算支出の拡大、研究開発資金に対する税額控除を7%から10%に拡大 
・教育政策では、「グローバル青年リーダー10万人養成」を掲げ、「5年間で3万人の大学生らを先進国の職業現場に派遣して、実務経験を積ませる」
 これらの政策に就いて竹中さんはこれ等の政策が勘違いしてはならないのは、ここまで述べた韓国の政策が、他国に比べ飛び抜けて優れているわけではない、ということだ。
 たとえば、現在、韓国における法人税率は27.4%である。これは、他の先進国より特別に低いわけではない。当たり前のことを行なわない日本のほうが、自ら自分の首を絞めているのである。
と書いていました。

竹中さんの記事の後の動きとして、韓国はノーベル賞受賞者の輩出を目指し、今年大学院博士課程に入る成績優秀な韓国籍学生300人に、2 年間で約440万円ずつ支援し、特別チームの指導・助言制度を始めた。
 民社党の経済無策、高校無償化などの一律ばら蒔きのマニフェストとは天と地の開きがあります。
 もっとも李大統領は辞める前に天皇陛下に謝罪要求発言をしたり、今までの大統領に倣って近親者が逮捕されるなど晩節を汚しかかっていますが。


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