普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

地域格差と「ふるさと納税」

2007-05-19 08:22:39 | 地方分権と再生

地域格差と「ふるさと納税」に関する報道を列挙してみた。

1.拡がる地域格差
昨夜のNHKの「どうする日本」で地域格差の問題が取り上げられていた。

印象的なのは東京のある区では、中学生以下の医療費がゼロと言う恩恵を受けているのに、財政の苦しい他府県の市町村民は、老人への福祉にかかる経費の切り捨てや減少に苦しんでいる状況が描かれていた。

中学生以下の医療費がゼロは非常に良い事だが、日本全体としては地方での老人への福祉経費の切り捨てなど明らかにバランスを欠いている。

この報道を見て、さらに東京への一極集中が起こって良いのだろうか。
このままでは、日本になんらかの混乱が起こりはしないか。
こんな状況で日本が「美しい国」と言えるのか。

2.石原都知事の意見(産経新聞)
石原都知事は11日の定例会見で、個人住民税の一定割合を出身地などに納める「ふるさと納税」構想について、「何をもって『ふるさと』とするかは、法律で決められるものではなく、住民税で払うのは極めておかしい。税体系としてナンセンス」と批判した。
 石原知事はさらに、自治体間の税収格差是正の動きにも、税収格差がそのまま財政上の格差とはいえないと牽制。格差を唱える各自治体は東京と同じようにすべき努力をしたのか、例えば人員整理、歳出節減したか。と強く反発した。

確かに石原さんの言うように、他の府県が人員整理や歳出削減をしたと言う話は殆ど聞かない。

しかし、福岡県在住の私にとって、かって隆盛を誇った北九州市が新日鉄の主力工場が、君津にシフトしてからの低迷に喘いでいるのに比して、財政逼迫に苦しんでいた福岡市が官庁機能の一極集中に伴う、商業施設の集積で今日本で一番元気な都市と言われているのを見ると、必ずしても府県庁の努力不足とばかり言えない気がする。

3.塩崎官房長官のコメント(産経新聞)
塩崎官房長官は15日午前の会見で、個人住民税の一部を出身地などに収めることができる「ふるさと納税」制度について「これから地方分権が議論になるが、国の形として地方税収を含めた日本の姿をどう考えるのか、そこから説き起こさなければいけない」と述べ、制度設計には根本からの議論が必要との認識を示した。
 その上で、地方への税源移譲との関連については「税源移譲だけをしても、税を払ってくれるだけの体力がその地域経済になければ、その地域に税収は入ってこないということになる。そうなれば、行わなければいけない行政的な仕事も十分にできないということもあり得るので、やはり、民(間)主導で地方が活性化していくことが基本だ」と語った。

確かに塩崎さんの言うように、ふるさと納税制度の前に根本からの議論が必要と思う。
然し政治の中枢の官房長官なら、このような分かりきった事を国民に言う前に、政府内でもっと議論すべきでなかったのか。

いつもの塩崎さんの施政に関する他人事の様な発言に首を捻るばかりだ。

民間主導で地方が活性化していくことが基本だと言うが、前北九州市長の「ルネッサンス計画」が不発に終わった例のように限界があり、政府の中枢の人がこんなことを言うとは、政府の無策や無能さを証明するような物だ。

小泉さんの三位一体の改革で、地方分権、税源移譲、地方交付金の削減が喧伝されたが、今、はっきりと形となって現れているのは、地方交付金の削減だけだ。
それが地方を苦しませている最大の原因だ。

勿論それを放置した政府、与党の政治家の責任だ。
そして出てきたのが欠陥だらけの「ふるさと納税」制度。
いつも言う事だが、安倍さんのやり方は思いつきが多すぎる
基本的なビジョンもないし、戦略もない。(あるのかも知れないが国民の前に出て来ない。)

<<地域格差を防ぐために>>
それで考えられるのは、
1.三位一体政策の見直し
地方交付金の増額とそれに伴う税源移譲と地方分権の見直し。

2.官庁機能や(特に新しく出来る)設備の分散
東京、福岡の例が示すように、官庁機能や(特に新しく出来る)設備の分散
これなら政府がその気になれば出来る事だ。

3.所得税増税と法人税の使い方
地方格差の軽減に必要な税源として、国税の税収に占める割合の大きい所得税法人税の税率とその使い方の見直し。

(1)所得税については議論が尽くされており、これが一番公平で判りやすい税である事。
いずれ誰かが何時かは上げなければならない事ははっきりしている。
近頃、強引なやり方が目立つ安倍さんだが真に国の為を思うのなら、その政治生命をかけてもやったらどうだろうか。

(2)法人税の使い方
Wikipedia によれば、
日本の法人税率が下がっただけではなく、2002年度から連結納税制度が導入され、グループ企業がまとめて法人税を納税できるようになり、これによって大企業が節税できるようになった。
さらに、IT投資促進税制、研究開発促進税制と二重三重の特例をつけることで、大企業から得られる莫大な税収を政府は失っている。
率上げがしばしば議論される消費税と比較しても、「政府は企業に甘いのではないか」という意見も少なくない。
一方で、企業側は日本の法人税率の高さが生産の海外移転につながっていると主張し、法人税引き下げを求めている。

そうで、税率そのものの決定は難しいと思うがその使い方だ。

それこそ「ふるさと納税」の精神を活かして、本社は東京にある国内企業が日本各地に工場や事務所を持つ場合は、その従業員数に比例して、法人税の一部をその所在都道府県に分配したらどうだろうか。

石原都知事は、他の府県知事は、企業の集中する東京に集まってくる財源を均等に分配せよと言うが、都はそれだけのサービスを企業に提供していると主張している。

それと同じ様に企業の地方の工場や事務所にも、所在の県や市は何らかのサービスを彼らに提供しているのだ。

それで、法人税の一部をそれら工場や事務所を持つ県や市町村に廻すことも、別に悪い事ではないし、 「ふるさと納税」制度よりずっと筋が通っているし、財務省の反対を押し切っても、やろうと思えば直ぐ出来ると思うのだが。

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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは (memaido)
2007-05-19 09:42:51
はじめまして、memaidoともうします。
楽しく拝見させていただきました。
またちょくちょく拝見させていただきます。
よろしくおねがいします。
返信する
memaidoさんへお礼 (無党派日本人の本音)
2007-05-20 12:38:38
ご来訪頂きましてて有り難うございます。
今後ともご助言とサポートをお願い致します。
返信する

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