普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

日本経済のこれから

2008-08-27 15:59:56 | 経済・財政

 昨夜のNHKのクローズアップ現代の拡大版の[グローバル・インフレ”の衝撃~転換する世界経済 日本は~」は大変に示唆に富んだものだった。
NHKの番組案内
 源インフレと景気減速の二つの困難に直面している世界経済。原材料の殆どを輸入に依存している日本は輸出主導の産業構造が限界にきている。世界経済の構造変化に迫る。
 出席者はキャスターの国谷裕子さん、早稲田大学教授の榊原英資さん、三菱UFJ証券チーフエコノミストの水野和夫さんだった。

 その内容のうち印象に残ったものを挙げると、
「資源インフレ」
・中国など新興国の台頭で、石油、鉱物、レアメタルなどの資源獲得競争で価格が上昇しインフレ状態になっている
 鉄鉱石に価格は前年比70%を越えるほど高騰している
・ひと頃はこの高騰は投機資金の流入のせいと言われたが、今は原油、食糧は金融商品化し、年金基金が商品の先物取引市場に参入しており、これらの価格の高騰は一時的なものではない(榊原さんの意見)
・鉄鋼石を取り扱う企業が寡占化して三社がその殆どを握っていることに、加えてその内の二者が合併してさらのその、影響力の強化を図っている
 日本ならこれは独占禁止法にかかるが、世界的な動きでは規制するものがない。
・そのために貿易立国の日本が高い資源を購入して、それを加工して価格競争で低下しつつある値段で輸出することになり、企業は厳しい経営を強いられ、日本としてはその富が流出を始めていること

景気減速
・サブプライムローンに端を発した米国経済の世界的地位が低下して、その経済を牽引するリーダーの地位は米国と中国とアジア諸国の二つに別れかかっている
・米国金融の危機にあたって上下両院は銀行救済のための米国の資金投入による支援を僅か二週間で決定した
・米国の住宅バブルは鎮静の方向に向かっているがその先行きが見えない
・米国の景気低迷で米国経済を支えてきた国内消費が低迷している

日本の経済のこれから
 榊原さんと水野さんの意見
・日本は世界の経済環境が全く変わってきたことを知りそれに対する経済戦略を練りなおすこと
・日本は原料高に関係ない技術やシステムなどのソフト輸出にも重点を置くべきだ

 榊原さんの意見
・今までは円安で安い製品を輸出していたが、これからは円高に持って行き、なるべく安い原料を輸入すべきだ
・日本が持っている外貨準備を運用すべきだ
・これから日本を担うのはエネルギーと農業だ

[私の意見]
米国追随からの脱却
・米国主導、日本が追随してきた、市場中心主義経済、自由主義経済が破綻しかけているのかどうか判らないが少なくとも大きな壁に突き当たっている
 日本は経済面でも今までの米国一辺倒の路線を見直すべきだ。

先物取引の規制
・資源メジャーの寡占化や投機資金の横行、先物取引など行き過ぎにならぬように、ある程度の規制について日本は世界に働きかけるべきだ

貸出金利引上げと円高政策
・榊原さんの言う貸出金利の引上げ→円高路線は国民に取っては預金金利の引上げ→収入の増加に繋がるが、金利引上げに伴う問題点もある。
 何よりも政府の米国一辺倒路線を脱却をする程の強い意志が政府にあるかどうかの問題が決定てきだ。
 貸し出し金利引上げについては、中小企業向けには今までの低金利を続ける代わりに、それが投機資金などに廻らぬように、その資金の行き先の報告を義務づけるなどの、公的なコントロールは欠かせない。

完全な自由化からある程度の規制の導入
 これは資源メジャーの寡占化、投機資金、先物取引の管理と同様に自由主義経済に反するがある程度の公的機関の管理なしには日本と世界経済は破綻してしまうと思う。

節度のある自国中心主義
・経済のグローバル化と言うが、各国は自国を護るのに一生懸命、資源メジャーなどの企業は世界経済への影響よりより自社の永続的な発展しか考えていない(ように見える)
 中東のオイルマネーがだぶついている国は、その金を貧困で苦しんでいる国に回そうとしない(ように見える)。
 中国は鉄鉱石か確保のたため、オーストラリア系多国籍鉱業・資源企業と従来より一気に70%も価格を吊り上げた。
・日本もグローバル化などお経のように唱えたり、日本のことはそこのけにして世界にためにどうするかなど奇麗事ばかり言っていては、日本は潰れてしまう
 日本は世界戦略を見直し、第一に経済的にも日本を護り、余った力で世界のために貢献することを考えるべきだ。

日本経済の活性化
・麻生さんなど、経済の活性化のために国内消費をあげるべきだと言っているが、少子化、平均給与の低下などで、その効果はしれている。
 また環境機器を輸出すべきと言う人もいるが、自動車の輸出量に比べたら、ほんの一滴に過ぎない。
 それでやはり日本の経済発展には榊原さんたちの言う原料の要らないソフトや農産物の輸出と、私の考える最新の技術と技能で武装した自動車など従来型の製品の輸出だ。
 武装した製品とは、その製品を輸出しても、それに用いられた特許や中小企業のノウハウでそれが他国に流れれば、同国の競争力の増加→日本の競争力の低下に繋がるものは飽くまで日本国内に留めることだ。
 前にも書いたが大企業が下請けの金型の設計図面を中国の下請けに渡して、その金型を作らせるなど馬鹿な真似をさせないことだ。

その場凌ぎの政治からの脱却
・福田首相は23日、20年後に国民1人当たりの国内総生産(GDP)を世界10位以内に押し上げるための中長期的な経済ビジョンを策定する方針を固めた。(読売新
より)
  しかしこの方針も
 中長期的な視野で政策課題に取り組む姿勢を示すことで、早期の衆院解散や首相交代を求める声をけん制する狙いもあるとみられる。
と揶揄される始末だ。

 普通のおっさんの私でも6年の8月にその場凌ぎの政治から抜け出すために
で地球温暖化などの問題とともに石油問題、少子化、米国一辺倒の見直しの問題を取り上げ、これを長期的視野で研究するシンクタンクの設立の必要性を書いた。
 このようなずぶの素人でも判ることがどうしてプロの政治家がその場凌ぎのことしかしないのか不思議だ。

政治家に望むこと
・今のような経済的な危機にあるときに、政界では日本は太田さんの事務所経費問題を取り上げて騒いでいる。
 自民党や民主党このようなことは社民党、共産党やマスコミに任せて、もう少し大所高所からこのような深刻な経済問題を取り上げるべきだ。
 米国の金融危機に際しては、上下両院で直ぐに銀行支援策を纏めた、共和、民主両党の政争は政争、政治は政治の姿勢を見習うべきだと思う。

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2 コメント

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資源は近くにあり (破れ傘)
2008-08-28 11:24:39
古い話で恐縮ですが、かつてイギリスも現在の日本と同じように不景気と文明病とでもいうような様々な問題に直面してあえいでいました。そのピンチを救ったのが、「北海油田」の発見でした。そのおかげで、財政はうるおい、サッチャーの活躍もあり、イギリスは長い低迷を脱したということです。

日本も遅ればせながらつい先ごろ、ノルウェーから輸入した資源探査船が就航の運びとなりました。私はこの船に期待しています。この探査船の名前は「資源」といい、いかにもお役所的ネーミングでつい笑ってしまいます。しかし、かなり高性能な船で、運用にはノルウェーからの指導員も長期間の契約で乗り込んでいるようです。

日本は周りを海に囲まれ、海洋資源の存在もある程度は知られていました。これをほおっておく手は無いと、以前から資源探査船の導入については検討されていたようです。やっと実現の運びとなったわけで、期待は高まります。

もし、この船が近海で巨大な油田なり、ガス田なりを発見すれば日本の財政問題は一気に解決するのではないかと思います。「資源」頼むぞ、と願わずにはいられません。
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素晴らしい (ろっし)
2008-08-28 08:24:56
 素晴らしい視点ですね。貴殿の方が、評論家より素晴らしいですね。評論家や政治家、アナリスト等であれば、失礼お許しください。

 オーストラリアにニューヨークに続き、鉄鉱石先物市場が出来ました。鉄鉱石の価格高騰に一役買うでしょう。後、日本の大手鉄鋼メーカーが、タッグを組んでブラジルの鉄鉱石採掘権を購入しました。ご指摘の件、日本企業も対応しているようです。

 ちなみに、アメリカで年金資金の先物規制の法案化の動きがあります。動向にもよりますが、下がると思われます。ソフトと農業ですか?これは、疑問です。インドは、レベルが高いですから。中国は、単純下請けですが。日本のソフトは割高ですから、パソコン本体と同じく国際競争力は、皆無です。農業も海外輸出額は増えますが、景気を左右するレベルには、ならないでしょう。環境ビジネスは、ヨーロッパ、アメリカに売れるはずです。いずれ、ブリクスにも販売するようになるでしょう。

 金利は、アメリカのFOMCが、上げる事を検討しています。日本だけ孤立しており、国の借金額の軽減を資産売却で早期に行う必要性がありそうです。 
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