普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

日本型経営で48期連続増収増益の企業

2009-07-24 16:06:26 | 企業経営

 昨夜のテレビ東京の ワールドビジネスサテライトのシリーズ企画の「オンリーワン社員を狙え」に関連して日本総合研究所副理事長の高橋進さんが、終身雇用、年功序例制の日本型経営で48期連続増収増益業績を伸ばしている伊那食品工業のことを紹介して居ましたので、ネット上に調べてみました。
 Wikipediaで見ますと、所在地:長野県、事業内容:寒天、ゲル化剤などの製造、販売、国内のマーケットシェア:約8割、代表者:井上 修、資本金: 9,680万円:従業員数 399名と言う中堅会社です。
 その経営の特徴はキーワードで言えば、終身雇用、年功序列、年輪経営(長期的視野に立った低成長を目指す経営)、高い利益率、高い商品開発力、地域貢献です。

 その会社を発展させてきた事実上の創業者である会長の塚越 寛さんの考え方を下記の資料から拾って見ました。
・企業再建の考え方
 普通は、経営状態の悪い企業を再建には、人を削減、機器を導入して合理化を図るが、もともと最低人員の12人しかいない、機器を導入する資金もない。結局、残っているのは「人」だけだった。社員みんながやる気がおきる企業にするしかない。
 「やる気がおきる会社」にするには、「自分の家と同じように思える会社」をつくることだ。
 (そのために取ったのが、終身雇用、年功序列、家族的経営、経営情報の共有、従業員の家庭までの細かい配慮です。)
・経営に対する基本的な考え
 会社は経営者や株主のために存在するのではなく、従業員全員のもので、会社は社員の苦労に報いるために発展し、利益を上げる必要がある、会社の発展を通じて、社員がみな幸せになり、社員の幸せを通じて社会に貢献するべきだ。
・企業の成長の考え方
  社員の幸せのためには、企業が永続すること、目先の利益だけを考え、(リスクを冒して)短期的に高い売上高を追い求めて高収益を上げても、長続きしなければいい会社とは言えない。永続するためにゆるやかな成長は不可欠だが、最低必要な成長でいい。
・企業戦略
 (経営安定のための)寒天という相場商品からの脱却→原料を海外に求める、それを備蓄して安定供給、相場があがるときは放出するなど相場の変動に対応
 新商品を開発してパイを拡げる。新しく用途開発したところは、同業他社が追いつくまでは全部うちのシェアだから収益性も高い。中小企業の生きる道は、開発型企業になることだと、従業員の1割以上を開発要員にあてている。
・開発の要点
 寒天の基本物性にとらわれずに、そこからどれだけ逸脱できるかを常に視野に入れる。たとえば寒天は固まる力があるという常識を打ち破って、固まらない特性を持ったもの開発する、現在化粧品のファンデーションや口紅などに使われている。今後は医薬品の分野も有望だ。
 異業種と研究開発面で提携、共同研究することで視野が広がるし、自分たちだけでは考えもつかなかったニーズがわかる。基礎研究の分野はとかくお金がかかって成果が出にくいが、将来の種まきとしては非常に重要だ。
・他企業との比較
 設立以来、連続増収を続けてきたが、それは無理をせず、ゆるやかに成長してきたからだ。急成長しようとすると、どうしても無理な投資をして、それを回収するために、大量に人を採用して、必死になって売上高を伸ばそうとする。けれど、業績が悪くなると一転、リストラをして人件費を削ろうとする経営者が多い。
 私は社員の人件費ははたして「人件費」という「コスト」なのか疑問に思ってきた。人件費は、幸せを求めて働く社員たちへの労働の対価であって、削減すべきコストではないはずだ。利益も成長も、会社の目的ではなく社員の幸福を実現するための手段にすぎない。

・業績がいいのに何故東京に出ないのか?
 当社は、地域に根を下ろした企業活動をこれまで続けてきたし、これからもそうありたいと思っている。地元にかわいがってもらって育ってきたのだから、地元に税金を納め、雇用をつくりだすことも企業の務めだと思っている。みんなが東京に出ていけば、いっそう都市の過密化が進行し、片方、地方ではますます過疎化が進んでいく。過密と過疎が共存する国なんて恥ずかしい話だ。
・「公」を意識すること
 会社には「仕入れ先を大切にする」「町づくりをしっかりやる」といった決めごとが10カ条あるが、その精神は、公を意識しながら会社を運営していくことの大切さだ。公を意識することは、すなわち自分自身の行動を客観的に眺めることにつながる。経営者や上司が公の意識を持ち、大きな視点で行動していれば、おのずと社員たちとのつきあい方にも節度が出てくる。

・会社の若い人について
 (会社に必要なのは)
和やかな人間関係の中で、自由にのびのびと自主的に働ける職場環境だ。私は社員に売上げなどの目標設定は一切しない。叱るときは従業員の怠惰なときだけだ。そのかわり、礼儀作法には口うるさい。例えばスーパーなどへ駐車するときは、決して入り口の近くに駐車するな、できるだけ遠くにおけ、といつも言っている。入り口の近くに駐車してしまうと、体の弱い人やお年寄りなどが入り口から遠くに車を止めなければならないからだ。クルマで通勤する社員には、本社の施設に入るときに右折するなとも言っている。朝の通勤時間の渋滞というのは、右折車があることが大きな原因だから、遠回りになっても左折して会社にたどり着けと言っている。

[私の感想]
 私は何度か「優良企業」のことを書いて来ましたがそれには下記の様な共通点があるようです。
経営者が自分なりの哲学を持っていてブレないこと
長期的な視野を持ちその企業の規模、業種に適応した経営をしていること
従業員大切にしその能力を最大限は発揮させていること
経営者、従業員が相互に信頼していること
他社に真似できない企業を支える技術を持ちそれに投資していること
企業活動を通じての社会貢献という理念を持っていること
 今回の金融危機で、大量のリストラをした企業の中には、単に企業を大きくすることで、総合的なコスト削減、規模による競争力の強化など安易な教科書通りの経営をしていた会社もあるかも知れませんが、伊那食品工業のやり方は一つの参考になり、今後とも厳しい経済環境が続く日本で生き抜くためには、同社の行き方が大きなヒントになるような気もします。、

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参照資料:
 トヨタも驚愕!伊那食品工業「48期連続増収増益」の秘密 | 社長の仕事術
 
伊那食品工業株式会社 代表取締役社長 塚越寛氏 - インタビュー
 
社員の幸せを露骨に追求する会社:日経ビジネスオンライン
 伊那食品工業 - Wikipedia 
 
伊那食品工業(株) - マイナビ2010


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1 コメント

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参考までに (クマのプータロー)
2009-07-27 22:18:00
「林原」の「戦略的非上場」も調べてみる良いかと…。
海外では「スコット・バーダー」なんかも参考になるかと…。
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