また不得意の経済問題なので、間違いや書き漏らしなどあると思いますが、ご遠慮のないご指摘やご批判をお願いします。
[ギリシャ危機で大儲けしたヘッジファンド]
昨夜のNHKスペシャル「ユーロ危機 そのとき日本は」でギリシャの財政危機で大儲けした(100億ドルを運用している)イギリスのヘッジファンドのルイ・キャルゴア氏の話を紹介していました。
その手口は国債の信用がなくなるに連れてその利回りが上がる。
その利回りの上昇と(企業が倒産して借金が棒引きになるかもしれないことに対する保証・保険を金融商品化したものである)CDSの値段が連動しての上昇する傾向を利用したものだそうです。
つまり彼がギリシャの国情と、ギリシャを支援するEUの首脳会議の成り行きを見て、ギリシャ国債の状況が改善されないとしてCDSを購入→それを見ていた他のファンドもそれを追随でCDS価格が上昇(それに連れて国債金利も上昇)→その最高値で売りぬけて投資額の4倍の利益獲得したそうです。
彼は「ギリシャ危機を煽ったわけではない、その危機を設けただけだ」と言って次のターゲットをイタリーに絞ってもう動きだしているそうです。
(追記:24日の欧州債券市場では、イタリアの金利が年7.1%に、スペインも年6.8%まで上がりました。21.00現在)
彼はまた「どこの国が大きな借金をしているかを見ぬきそれを脱出できか否かが投資利益につながるのだ」と言う趣旨のことを言っていました。
一国の国民が困ろか否かは無関係、儲けさえすれば良いという、文字通りの禿げタカァンドです。
[日本のヘッジファンド対策は]
一方日本の現状はどうでしょう。
一頃までは国債残高は800兆円と言われていましたがもう900兆、そろそろ1000兆円の話がでています。
今回の大震災の復興費は致し方ないとして、財政収入の半分は国債、財政支出の25%近くは国債費です。
個人資産は1400兆円と言われていますが、その大部分は預貯金で、銀行をそれを元にして国債を買っています。
国債を買い支えているのは海外投資家ではなく国内の金融機関だから、対GNP比が高いにもかかわらず安定しているのはそのためだと言われています。
然し国の借金が個人の金融資産を超えれば世の中は一変するでしょう。
国債が供給過剰になれば外国人にも消化して貰わねばならず、今までのような安定状況が変わり、金利は上昇し価格が下がることになります。
正に前に書いたヘッジファンドの餌食になる可能性がたかくなります。
ギリシャよりも酷くはないと思いますが、年金、健康保険など低福祉、中負担の経費の差額を国債で埋めていること、増税の話が一向に進みません。
ヘッジファンドの言うように、「どこの国が大きな借金をしているかを見ぬきそれを脱出できか否かが投資利益につながる」国として日本が投機の対象になる可能性もないとは言えません。
そのときの日本攻撃の戦略はどうなるし、それに対して日本はどう防御するのでしょう。
・二大政党の民主・自民とも消費税増税や国会議員定数削減などの公約をだしているのですが、一向に進みません。
・政権与党の民主党では小沢さんの増税反対の意向が判って、野田さんの財政再建、福祉と税の一体改革にまた大きなブレーキが掛かりそうです。
特に後者の消費税の税率が低いのは先進国では米国と日本だけです。
米国の何でも個人責任の国ですが、日本はお互いに助け合いの国です。
だから欧州並みの消費税増税は避けて通れない道だとおもいます。
先進国で図抜けて大きい借金。
ギリシャのようなデモはないが、一向に進まない財政健全化や公務員制度などの改革。
ヘッジファンドは禿げたかの眼でこう言う日本を見ていると思います。
・日本のもう一つの問題点は円高の問題です。
日本はこれに介入して不発に終わり、6~7兆円の資産を減らしたと言われていますが、損失の同数の儲けた人や国が入るはずですが、これに投機資金が含まれているような気がします。
・私は仮にPTTに日本が入るとすれば(もちろん入らなくても)、この交渉の場を利用して多分米国を含むどの国も投機資金の動きに悩まされている筈なので何らかの規制の必要性を訴え、もしそれが通らなければこの条項を外すよう主張すべきだと思います。
・私は景気対策に金利をゼロ近くまで下げるのは良いとしても、少なくとも投機資金の資金供給を止めるためには、紐付きを条件にすべきだと思うのですが。
・日本がもっと主張すべきと書くと、必ず日本、もしくは民主党政権にはにはそのような交渉能力はないという批判がでますが、この問題ばかりは日本経済の破綻を防ぐためには、絶対に粘り抜く覚悟が必要な気がします。
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*注記:CDSとは
「CDS」とは「Credit default swap」の略称。リスクを回避するために開発された金融商品の中でも、企業の債務不履行(デフォルト)を対象にしたもの。要は「企業が倒産して借金が棒引きになるかもしれないことに対する保証・保険を金融商品化したもの
ブログ主にとって経済を語るには荷が重すぎます。
投稿者:副島隆彦
投稿日:2011-11-24 04:18:08
私の新刊書の 「金・ドル体制(=ブレトンウッズ体制)の終わり もうすぐ大恐慌」(祥伝社刊)が、18日の夜から発売になりました。もう全国すべての書店に並んでいるでしょう。
私が、この本を書き上げて、最後のゲラの「手離れ」をしたのが、10月26日でした。その翌日27日に、ギリシャ国債のデフォルト(破綻)の回避、ギリシャ国救済のための 包括合意(コンプリヘンシブ・アグリーメント)がEU首脳会議で出来た。 日本のNHKでさえ、「(借金の)棒引き 50%で合意」と報じていた。
やれやれと思ったら、翌週の11月9日に、イタリア国債の暴落(利回りの急騰 7.46%へ)が始まった。これで 全ヨーロッパどころか、世界中が肝(きも)を冷やして、「いよいよヨーロッパはダメだ。世界恐慌は避けられない。次は、フランス国債の投売りだ」 という 空気になった。
私のこの本では、11月4日の金融統計の数値(株価、為替などの金額)を載せている。
それが18日にはもう書店に並んでいる。
事態の急変と、これから襲い来る世界恐慌、世界規模の信用危機(ヨーロッパの大銀行の次々の破綻と緊急の国有化、そして、不足分の資金の供給を理由とする 緊急での 資本注入=公的資金の投入 )が、年末から起きるだろう。
そして、”金融核爆弾(きんゆうかくばくだん)”である、CDS(シーディーエス)という 恐ろしい 店頭デリバティブとも呼ばれる、奇っ怪な金融工学が作った「人(大銀行、国も)殺しの保険商品」が大破裂して、それをたくさん組み立てて売ってきた アメリカの大銀行までがバタバタと、連鎖倒産(=緊急の国有化宣言)を来年の2月にかけて、することになるでしょう。
なんとか日本国民に、世界の現状で起きている悲劇の、大きな真実を伝えなければ、という気迫で書きました。
「副島隆彦の学問道場」
http://www.snsi.jp/bbs/page/1/
現実には、ローンなどで担保分の預貯金もひっくるめての数字なので1400兆フルには使えない
んじゃないかなと思いますよ。
1100兆くらいじゃないでしょうかね・・・
それ以降は、外国勢に買ってもらう分を増やす
か国内にわずかにのこった会社のなけなしの
内部留保を吐き出させるか
現役世代を資源代わりに、じっさまばっさまの
養分にするか
まあ、選択肢は限られますね。
福祉も手厚い医療も、金があって出来ること
(先進諸国は今、借金でこれをまかなっている
段階ですね、いずれどこもドクターストップがかかります。消費税増税も以前はやむなしとは思っていたのですが、あんまりにも手厚い年金、医療に回りすぎれば経済を破壊するだけです。ここは老世代にもご協力を願いたい部分です。少なくとも財政再建を旨となされるなら
ブログ主は積極的に年金の減額等を言い出さねばスジが通りませぬ・・・)
ブログを拝見いたしました。
最近はギリシャが債務超過で財政が破たんするのなら、
「早く消費税をあげないと、日本国債もデフォルトする。」という話がでまわっています。
テレビの番組で借金時計というものを見た人も多いと思います。
刻一刻、借金の額が増えていく時計です。
あれを見ていると、日本の財政はとんでもないことになっていると素人は思います。
でも、「国の債務」と「政府の債務」は別物ですが、混同されやすいのです。
日本に国の借金はありません。日本は経常黒字国です。
よく言われる、日本は財政赤字で円安になるとか、消費税を上げないと国債がデフォルトするというのは、
「国の債務」と「政府の債務」を混同しているのからなのです。
現実は、日本は先進国主要国では数少ない「経常黒字」で、失業率も極めて低い国です。
それで、次に日本政府の債務について説明したいと思います。
政府の債務の内訳について
外貨準備が 100兆円、財政投融資 170兆円、
社会保障基金 260兆円等は資産の裏付けがあるということです。
2007年度の国のバランスシートをみると、負債は978兆円で資産は695兆円、
その差額は債務超過の283兆円ということになります。
債務超過というと、民間なら破綻ですが、国は簿外に課税権があるので、破綻とは言いません。
国には簿外に課税権があるので完全に国内問題です。
小泉内閣の構造改革の1つは相続税の最高税率の引き下げです。
2003年に相続税の最高税率を70%から50%に引き下げました。
対象となったのは、遺産の総額が3億を超えている部分だけで、3億円以上の資産を残している金持ちだけを優遇した税率引き下げです。
金持ち優遇、庶民増税の構造改革でした。
所得税も1800万円以上の最高税率が20%下がっているのです。
役員報酬の平均は年6000万円ですから、単純に1800万円を超える4200万円で、
その20%の減税額は、840万円になります。
これは年間の額ですから、役員は毎年840万円の減税の恩恵を受けます。
これを見ても小泉政権の構造改革は、金持ち優遇、サラリーマン増税でした。
それを元に戻した試算すると、金持ちの減税をやめるだけ財政赤字は消えるのです。
相続税に至ってはわずか4%の人が増税になるだけで国の財政赤字が減るのです。
では、なぜ、政府やマスコミは財政赤字で年金が破たんしそうだ、と言うのか、 それには理由があります。
政府はなんとしても大衆、特にフリーターやニートから税金を取りたい。そのためには消費税しかないのです。
だけど、増税なしでも財政再建可能という声が大きくなってしまうと消費税を上げられなくなります。
では、なぜ消費税率を上げようという話が消えないのかというと、
法人減税や相続税、所得税の最高税率を下げるための財源として必要だったからなのです。
いつまでたっても、財政赤字は減らないことになっています。
さらに社会保障費を削って法人税、所得税、相続税の減税に使ってきたのが財政赤字の原因です。
これが、小泉政権の構造改革ですね。
社会保障費はどんどん削っているのですから、金持ち優遇の減税で、作った財政赤字を 1日10時間働いても年収200万円に満たない人たちがなぜ負担しなければいけないのでしょうか。
そして、消費税が社会保障の財源になると、低所得者の負担が今より重くなります。
具体的な数字とデータを緑苑日記の「消費税率引き上げについて」に載せております。
よろしくお願いします。
本当の危険は物の供給の破綻。TPPなどで食料をアメリカなどに依存していると、ごみ処理を他市に依存した小金井市民みたいになる。餓死してしまうかもしれない。敗戦直後みたいに。ご愁傷様となりかねない。
日本の場合、その個人預金1400兆円のうち
3分の2以上が、確か65歳↑ですからね・・・
そっからローンの担保分を差し引いて稼いでる奴から徴収しろーと言っても、多分多少延命できるかなーって程度だと思いますよ。
(私個人は、震災からすこし考え方を変えており少々の負担増は担保する覚悟はありますが・・・)
それに、国債を今後も国内でまかなえるかどうかは=円の預貯金が今後も増えるかどうかに
かかってるわけでしょ。
はっきり言って、そう増えるとも思えないんですよ・・・
まあ、外国勢に買われだしたとしても、債権国の日本のほうがまだ欧州あたりと比べれば借金の質はマシというのは、私も同意しますがね。
当時はまあ、国民も貧しさに慣れてたでしょうし(良い意味でも、悪い意味でも・・・姥捨て山まがいの事だってあったくらいですし)
なにより、贅沢(手厚い福祉とも言う)できた
国の人口ってせいぜいが欧米の列強諸国くらいのものでしょう。
今は、中国、インドんで、東南アジア諸国
これにもうちょっとしたらアフリカの出遅れ組みが贅沢を目指して富を(資源なり材料なりも
当然含まれますね)かき集めだすことでしょう。
その時、工場だけあってもねえ・・・
紙くずでだれも日本になんか売ってはくれないんじゃないでしょうかねえ・・・