普通のおっさんの溜め息

戦前派から若い世代の人たちへの申し送りです。政治、社会、教育など批判だけでなく、「前向きの提案」も聞いて下さい。

日本経済のこれから(2)

2009-07-21 17:07:24 | 企業経営

 昨夜、NHKで[NHKスペシャル マネー資本主義 最終回「危機を繰り返さないために」]がありました。
 その番組の趣旨は案内によると、NHKで世界的な金融不安が実態経済に深刻なダメージを残している一方で、景気の落ち込みも底を打ったとの声が出始めている。再び、バブルの誘惑に飲み込まれていくのか、それともあらたな経済システムをつくりだしていけるのか、今、私たちは岐路に立っているといえる。最終回ではこれまでのシリーズを振り返りながら、世界の賢人たちから寄せられたメッセージをもとに、これからの経済のあり方について探っていく。だそうです。
 その内容は
・米国の不況→低金利政策→これで得た資金と金融工学を利用した金融資本のギャンブル的経営→バブルの傾向増大→これを放置した自由主義経済を信奉するIMFのグリーンスパンさん→バブル崩壊・未曽有の金融危機の発生
・元西ドイツ首相のヘルムート・シュミットさんの行き過ぎた自由主義経済批判
・ノーベル経済学者でコロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツさんを中心とする国連での世界の共通通貨制定動きと米国の反対
 中国の清華大学国情研究センター主任胡 鞍鋼さんの「事実上の世界通貨を管理するIMFのトップは全て米国の有力政治家や財界の出身が占めており米国の意のままになる世界通貨はおかしい」として国連の動き支持

・一方、日本でも銀行本来の業務に戻ろうと、鹿児島銀行の地域の産業振興への協力の動き
・企業は株主のものでない、企業活動を通じて社会に貢献すべきと言う、日本的経営を主張する原丈人さん(NHKの案内より推定、間違っていたら御免なさい)率いるベンチャー企業の世界的展開の状況

・3人の識者の総括
 自ら金融機関をもつ米国の金融工学の専門家:自由主義経済が破綻したからと言って、政府が銀行の支援をするなど社会主義を持ち込むことは事態の解決を遅らせるだけだ。自由主義経済で格差が生れるのは当然だ
 東京大学名誉教授で数理経済学の権威の宇沢弘文さん:金融工学には人の心が入っていない、全て確率をもとに数学的に処理したもので、結果としては曖昧なものになっている
 米国コロンビア大学教授:自由主義経済の中に人の良心がなければこの体制は崩壊してしまう

・出席者のゲストが考えるこれからの資本主義とはの質問に対して
  経済小説の作家の江上剛さん:(国や社会や人との)絆の資本主義
  FXのトレードで失敗した経験を持つ漫画家の西原理恵子さん:ものづくりの資本主義
   机で座って金を扱っている人達でなく実際に社会のために働いている人達にそれなりの報いがあるべき、
  コピーライターの糸井重里さん:あたたかみの資本主義 
(人間的に温かみをもたらす資本主義)

[私の意見]
 NHKは台湾問題の報道でケチを付けましたが、この番組も明らかにNHKの意図を感じます。
 しかしこの番組は前者のように政治的な問題でないので、その意図も抵抗なくく納得出来ますし、私の持論の日本型市場中心主義、米国一辺倒の経済の見直し、適度のブレーキのかかった市場中心主義経済、企業活動による社会貢献などの線に沿ったNHKの主張に同意できます。
 また自由主義経済の主張者のような資本主義の世界では格差社会の発生は当然と言う考え方は日本人の心情に合いません。

 但し問題はそう簡単でなく下記のような問題が発生仕掛かっているし、また今後予想されます。
・中国、インドなどの台頭→日本企業の競争力の低下→低賃金で何時でも採用、リストラが出来る非正規社員の増加→日本平均賃金の低下と格差の発生
・国内の需要の飽和化、少子高齢化の進行、環境意識の浸透などで、内需拡大による財政収入が期待出来ず、やはり輸出に頼る他ないが、上記のような企業競争力増強とそれに伴う社会問題をどう折り合いをつけるか?
・最近、世界的に経済活動に何らかのコントロールが必要と言われているが、その実現が難しい中、世界の巨大金融資本や企業、国を上げての外国への経済活動の拡大する中国企業、自由主義経済を信奉する巨大な金融資本や企業と、NHKが示唆する(私も賛成の)日本型資本主義の企業が太刀打ちできるか?
など難しい問題が山積しています。
・前にも書きましたが巨大な領土を持つ中国、インドなどは膨大な低賃金の人口を武器に輸出により外貨を稼ぎ、世界的不況が起これば遅れている内地の開発で内需を拡大できます。
 それで余程政治や人種問題のなどの発生が無い限りそのGDPが日本を追い抜きそしてその発言権がますます増大するのは時間の問題でしょう。
 このようなことはある程度予測できても政治家も経済評論家も、不景気なことを言えば政治家は落選、評論家は飯の食い上げになるので言おうとしません。

 私は狭い国土と資源のない日本は、外国の真似でなく、今までのように優れた技術と人材、家族的運営、従業員の能力を最大限に発揮させる管理手法、長期的視野にたった経営、政府・企業・金融機関の緊密な連携と世界戦略、日本的経営を脅かす投機資金の排除、など針ねずみのように武装するほか、今までのような世界的地位に留まることはできないと心配しています。
 私は日本が今までのように余所の国の真似をするだけでは、コペルニクス的な大変化が世界や日本に起こらない限り、日本を取り巻く環境と日本人の性情からすれば、日本は北欧の国が理想とする、世界に対する経済的影響力はなくても、国民は少しは収入が減っても、心は豊かな国な、互いに助け合うコミュニティー、格差の少ない国に限りなく収斂して行きそうな気がするのですが。(戦前から戦争直後の貧乏を経験した私は、それも悪くないと思うのですすが、豊かな生活に慣れた人達が受け入れるでしょうか?)

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